ダニエルの誕生日の一ヶ月前、ルパートとエマにサプライズの話を持ちかけられた。



でも今は撮影も終えて一時のオフ。
撮影中なら、まだしも何もない時に限りなくエキストラに近い私までが彼のサプライズパーティに参加してもいいんだろうか。
いや、私にしたら大好きなダニエルの誕生日を祝えるチャンスだから凄く嬉しかったのだけど・・・
でも、やっぱり立場というものもあるし・・・なんて、ちょっと渋っていると、エマに怒られた。







「何言ってるの!はもう私達の友達でしょ? 立場なんて関係ないじゃないっ」






彼女は腰に手を当て、まるでお姉さんが妹を叱るような感じで、そう言いきった。


(ほんとは私の方が実は三つ年上なんだけど)


一緒にいたルパートもエマの言葉に大きく頷いてくれて結局、私はそのサプライズに参加する事にした。


























そして一ヵ月後、ダニエルの誕生日前日・・・














「えぇ? 私が?!」


「そうよ」







明日の打ち合わせや準備もかねて会場となるルパートの家に呼び出された私はエマの言葉に紅茶を吹きそうになった。
慌ててカップをテーブルに置くと、得意げなエマとルパート、そしてトムに双子のジェイムズ&オリヴァーはニヤニヤしている。
(当然、彼らも明日、参加する事になった)







「ちょ・・・無理!そんなバレないように呼び出すなんて・・・」
「大丈夫よ!ダンに上手く言って、ここまで連れてくるだけなんだから」
「だ、だって私、ダニエルとは、そんなに話したことないし・・・!エマか、トムが呼び出した方がいいんじゃない?」







必死にそう言うと、エマとトムは顔を見合わせ、そして再び私の方を見た。








「ダメダメ、俺らが行けばダンの奴、すぐ感づくよ」
「そうよねぇ。逆に怪しまれちゃうわ?」
「で、でも特に親しくもない私が呼び出すよりは・・・」
「大丈夫よ!この前の撮影で少しは仲良くなったんでしょ?」
「そ、それは・・・そうだけど・・・」






エマにそう言われ、私は言葉を詰まらせた。
確かに最初の頃に比べたらエキストラ仲間だけじゃなく、こんな風にメインキャストの皆とも仲良くはなれた。
私が唯一、日本人だからなのか、よく日本語を教えて、なんて言われるようになったのだ。
でもダニエルとは未だ、こんなラフには話したことがない。
やっぱり主役だし、凄く有名になってるし・・・それに・・・彼を前にすると、心臓がドキドキしちゃって、マトモに顔すら見れないんだもの。
そんな私が彼を呼び出して、ここへ連れてくるなんて出来っこない・・・。







〜お願い!大丈夫よ!何か用事作って、ダンを誘えばいいだけだから」
「「そうそう!」」




エマと双子は声を揃えて、そんな無謀な事を言ってくる。
ルパートやトムもニコニコしながら私を見ていて、これは決定と言われてるようなものだ。
その場の空気に私は仕方なく溜息をついた。






「分かった・・・やってみる・・・」
「ほんと? ありがとー!助かるわ!」





私の一言にエマがガバっと抱きついてきて後ろにひっくり返りそうになりながら、それでも内心、どうしよう!と変な汗が出て来る。
するとトムがニヤっとして私のバッグを持ち上げた。






「じゃ、早速、ダンの奴に電話してみてくれる?」


「は・・・? い、今?!」


「「そう!膳は急げと言うだろ?」」


「ゴーゴー♪!」


「ちょ・・・」






ふ、双子&ルパート!そ、そんな貧血起こしそうなこと、呑気に言わないで!!







「だ、だって何て言えば・・・」
「だから、"ダン、明日、時間ある? 暇ならどこかへ行かない?" でいいわよ!それでOK!」
「エ、エマ・・・!そんな簡単に・・・それに、それってデートのお誘いみたいじゃない・・・っ」
「そうよ? デートのお誘い♪ホラ、早く早く!」
「デ、デートなんて誘えないよ・・・っ」
「お芝居なんだから気にしない気にしない!」






そう言ってエマは強引に私に携帯を持たせた。
しかも、ちゃーんとダニエルの番号が入れてあり、後は通話ボタンを押すだけ・・・
まあ彼の番号が分かって嬉しいんだけど・・・その前に。






「で、でも電話番号、何で知ってんの? って思うんじゃない?」
「そんなの私に聞いたって言えばいいのよ。仲がいいの知ってるんだし」
「・・・でも・・・いきなり、そんな電話したら迷惑じゃ・・・」
「平気だってば!どうせお芝居なんだし明日の夕方にはバレるんだから!」





エマはそう言って私の背中をバンっと叩いた。
他の皆も、「そうそう。早くかけてみなよ」なんて人ごとだと思って呑気にせっついてくる。
私はと言えば、すでに血の気が引いて、本気で倒れそうだった。


何で、こんなに渋るのかって言うと・・・私は会った時からダニエルに憧れているから。
年下なんだけど、凄くシッカリしてて演技も上手いし、何より、あの奇麗な瞳・・・
会う度に見惚れて、つい撮影中でも目で追ってしまっていた。
だから、お芝居でも何でも、もし誘って、ズーズーしい奴と思われたら・・・とか、断られたら・・・って考えると怖いのだ。
でも、この状況だと、かけないわけにはいかないようだ。



もう・・・もし振られたら皆のせいなんだから・・・!




そう思いながら思い切って少し震える手で通話ボタンを押した。
プルル・・・っと呼び出し音が鳴るのが聞こえ、また心臓がギュっと縮む。
皆も黙ったまま、様子を伺っていた。


そして数回目かのコールが鳴った後・・・不意にそれが途切れた。







『Hello...?』
「あ、あの・・・!ダ、ダニエル・・・?」





いつも聞いてた声よりも少しだけ低い声が受話器の向こうから聞こえて来て私は緊張がピークに達した。
今すぐ切ってしまいたいという衝動にかれそうになったが、皆が口パクで、"ガ ン バ レ"なんて言ってるからグっと我慢をする。
ダニエルは何だか戸惑ってるようで、(そりゃ知らない番号から突然かかってきて相手が女の子だったら警戒するだろう)





『・・・えっと・・・誰?』






なんて聞いてくる。
そこで私は、"これはお芝居"と自分に言い聞かせ、思い切って口を開いた。








「あ、あの私、です・・・。・・・」
『・・・・・・えっ? ・・・?!』






ダニエルは思った以上に驚いた声を出して、それだけで私は泣きそうになりながらエマの方を見たが、彼女はニコニコしながら見てるだけ。
私は一瞬、こんな役なんて受けなければ良かった、と後悔した。






「えっと・・・・・・急にごめんなさい。今・・・・・・大丈夫?」
『あ、うん・・・・。って僕の番号・・・・・・』
「あ、エ、エマに聞いたの」
『あ、そっか・・・。ビックリしたよ』
「ご、ごめんね?」






ダニエルは苦笑しているようで、ちょっとくぐもった声が聞こえてくる。
迷惑と思ってるのか、その口調からは伺う事は出来なかった。
そして、ここからが本番。
明日、空いてる? と誘わなければいけない。


覚悟を決めて私は思い切り息を吸い込んだ。






「あ、あのね・・・実は・・・ダニエル・・・明日、暇かなって思って・・・」
『え? 明日? 明日は・・・特に仕事もないけど・・・』
「そ、そう、良かった」



(なんて、ほんとは明日、彼はオフだってエマたちから聞いて知ってたんだけど)





『でも、どうして?』
「あ、あのね・・・。もし・・・良ければでいいんだけど・・・明日、CDショップに付き合って欲しいなと思って・・・」
『え? CD・・・』
「う、うん。従兄弟の男の子で・・・ダニエルと同じく音楽が好きな子がいて・・・
その子にプレゼントを買いたいんだけど何を買えばいいのか分からなくて」






これは咄嗟にでた嘘だった。
ダニエルを怪しまれずに誘う方法が思い浮かばず、ふとダニエルと共通の趣味があれば・・・・・・と思ったのだ。
まあ従兄弟だと言えば、それほど変でもないだろう。


ダメ元で、そう言ってみたつもりだった。
なのにダニエルは意外にも、






『何だ、そういうこと。全然いいよ? 』






なんてアッサリOKしてくれて、私はお芝居という事も忘れて飛び上がりそうになった。






「あ、ありがとう・・・助かる・・・っ」






そうお礼を言って、固唾を飲んで見守ってた皆に指で"OK"と出す。
すると皆は無言でガッツポーズをしたり、ハイタッチをしている。
私は心の底からホっとしつつ、明日の待ち合わせ場所と時間を決めて、何とか電話を切った。








「はぁ〜〜っっ」
「よくやった、!」
「これで明日はバッチリね!」
「「ダンの好きなものをネタにするなんて、冴えてるじゃん!」」







ガックリと項垂れている私の横で、皆はそれぞれはしゃいでいる。
だけど私には今のたった数分の電話だけで、いっぱい、いっぱいだった。
それに、まさかダニエルがあんなにアッサリとOKしてくれるなんて思わなかったので驚いたのもある。






「じゃあ明日は頑張ってダンを連れて来てね?」
「う、うん・・・。でも・・・どうやっていいのか・・・」
「ああ、じゃ僕に借りたものを返しに行くって言えば? ほら、この本貸しておくからさ」
「何よ、それ。漫画じゃない。はこんなの読まないわ?」
「うるさいなーエマは。実際に読むとか関係ないだろ? 要はダンをここへ連れてくることがメインなんだからさ!」






ルパートはそう言って私に漫画を差し出した。
確かに男の子の好きそうな漫画で私は苦笑したが、それでも何でも口実を作ってくれるのはありがたい。



私は、その漫画を受け取り、覚悟を決めた。








             




























「今日は本当にありがとう」
「ううん、いいよ。僕も買おうと思ってたNEWアルバム買えたしさ」






CDショップを出た所でダニエルは優しい笑顔を見せ、そう言ってくれた。
それだけで胸の奥がドクンと跳ね上がって顔が赤くなってないかと心配になる。


午後に待ち合わせ、すぐにCDショップに来たが、ダニエルと二人でこんな風に会うのは初めてで、かなり緊張した。
彼は思ってた以上に気さくで色々とオススメのCDを教えてくれたのだ。
こんなに良くしてもらって、後で嘘とバレた時、何だか気まずいな、とさえ思ってしまった。
でも・・・ここからが、ほんとに本番。
ダニエルを何とかしてルパートの家まで連れて行かなくてはならない。



通りを歩きながら私はいつ切り出そうかと考えていた。
するとダニエルが腕時計を見てドキっとする。
このまま、"じゃあ"なんて言われたらまずいと思って、私は立ち止ろうとした、その時、ダニエルが先に足を止めた。






「あのさ」
「・・・えっ?」
「まだ時間・・・あるかな?」
「じ、時間・・・?」
「うん。もし急がないなら・・・ちょっとお茶でも飲んでかない?」
「・・・・・・え?」






いきなりダニエルから、そんな事を言われて私は驚いた。
てっきり帰ると言われるかと思っていたのだ。
私は一瞬、皆との約束も忘れ、彼の言葉に頷いていた。






「良かった。じゃあ近くにいいカフェがあるんだ。行こうよ」






ダニエルはそう言うと前を歩いて行った。


そのカフェは歩いて数分の場所にあり、ルパートの家からも近く、ここなら何とか連れて行くやすいかもしれないと内心ホっとする。
だけど、よくよく考えてみればダニエルと本当のデートみたいにカフェにいるなんて凄い事だ。
私は再び緊張してくるのを感じていた。








「美味しいだろ? ここの紅茶」
「あ、うん。雰囲気も素適ね? ダニエルはよく来るの?」
「うん、まあ。ルパートの家がすぐそこなんだ。だから時々一緒に来るよ?」
「そ、そう・・・」





(今だ・・・ルパートの家に誘わないと・・・)





そう思いながら口を開きかけた時、ふとダニエルが顔を上げた。





「そう言えば・・・とこうして話すのって初めてだね?」
「え? あ、そ、そう・・・だね」
「撮影中だと時間もなかなか合わないしさ」
「うん・・・ダニエルは一番、撮影が長いしね」






目の前に、あの奇麗なダンの顔があると思うと何だか照れくさくて顔を上げられない。
私は紅茶を飲みながら何となく窓の外に視線を向けた。
そして、ふとこの前終ったばかりの撮影を思い出した。







「撮影は・・・どうだった?」
「え?」
「あ、ほら・・・私達、エキストラが終った時、何だか上手くいかなくてダニエル元気なかった、って聞いたから・・・」
「ああ・・・。まあ、ちょっとスランプでさ。でも、あの後に何とか撮り終えてホっとしたよ」
「そう・・・なら良かった」





私はそう言ってちょっと微笑むとカップを置いた。


そう、私が撮りを終える頃、何だかダニエルは上手くいかないと悩んでたようで元気がなかった。
いつもの明るい笑顔が消えて、ちょっと声もかけづらくなり結局、挨拶も出来ないままだったのだ。
でも今、ダニエルを見れば吹っ切れたのか表情も明るい。


そう思いながら時計を見れば、そろそろ約束の時間になろうとしている。
早く言わなくちゃ・・・と思って顔を上げた。





「あ、あのダニエル・・・」
「ダンでいいよ?」
「え・・・?」





その言葉に驚いて彼を見れば、何だかニコニコして私を見ている。
やっぱり蒼い瞳が奇麗で、まともに目が合わせられないのだけど・・・





「ほら、だけ僕のことダニエルって呼ぶしさ。ダンでいいよ」
「で、でも私は・・・」
「そう呼んで欲しいんだ」
「・・・・・・」





何となく真剣な彼の言葉にハっとすると、不意にダニエルが微笑んだ。





「今日は誘ってくれて嬉しかった」
「え、あの・・・・・・」
「僕もさ・・・・・・とこうして、ゆっくり話してみたいと思ってたんだよね」
「・・・・・・?」





ダニエルはそう言って照れくさそうに笑った。
それだけでドキドキしてきて私は何も言えなくなってしまう。
ダニエルにそんな風に言われたなんて夢かもしれない、なんてバカな事を考えた。







「わ、私も・・・まさかOKしてくれると思ってなかったわ?」
「そう? いつでも言ってよ。あのジャンルなら詳しいからさ」
「う、うん」






そう言われてちょっとドキっとしたが、そこは笑顔で頷いておく。
それにダニエルが好きな音楽なら聴いてみたいと思った。


っと、いけない・・・
そろそろ言わないと約束の時間に遅れちゃう・・・





「あ、あのダニ・・・ダン・・・?」
「ん? 何?」





呼びなれない彼の愛称を呼ぶのは照れくさかったが思い切って声をかけてみる。






「えっと・・・これからルパートの家に借りた本を返しに行かなくちゃいけないの」
「え? そうなの? ってが読みそうな本なんてルパート持ってた?」
「・・・・・・えっと・・・まあ・・・」






ダニエルの言葉に顔が引きつったが何とか頷いておく。
するとダニエルは紅茶を飲みながら、





「そんな事、あいつ言ってなかったけどな・・・」





と呟いている。






「え?」
「あ、ああ・・・何でもない・・・。あ、じゃあ僕も付き合うよ。僕もルパートに借りたいソフトがあったからさ」
「そ、そう? じゃあ一緒に行きましょ?」






言おうとしてた事をダニエルから言ってくれてホっとしながら私は微笑んだ。
これで何とか皆との約束を守れる。






「じゃあ、そろそろ行く?」
「うん」





ダニエルが先に席を立ち、私もすぐに後を追った。
自分で払うと言ったのに、ダニエルは「僕が誘ったんだから」と言ってくれて支払いを済ませると店を出て行く。
何となく、おごって貰うのですらデートみたいでドキドキしながら、私もダニエルの後を追った。






「ご馳走様」
「いいよ、あのくらい。それより・・・さ」
「え・・・?」
「ルパートとは結構、仲いいの?」
「・・・え、ルパート・・・?」
「うん。ほら、何だか本とか借りてるしさ」






ダニエルは先を歩きながら少しだけ私の方に振り返り、微笑む。
その言葉のニュアンスに、私は慌てて首を振った。






「そ、そういうわけじゃ・・・。た、ただ前にスタジオで会った時に借りただけで・・・」
「何だ、そっか。じゃあ僕が一緒に行っても平気だね?」
「うん。それは・・・全然大丈夫よ?」





ちょっと誤解されたかな・・・と不安になりつつ、それでもルパートの家に行けば皆がいるし、そこで、この気の重い役は終わりを継げる。
後で、色々説明すれば大丈夫だろう。


そう思いながら歩いて行くと、ルパートの家が見えて来た。





「あいつ家にいるかなぁ。すぐ遊びに出ちゃうんだ、ルパートの奴」
「そ、そう・・・いるといいけど・・・」





なんて、いるのは知ってるんだけど。
あと数分でダニエルの驚く顔が見れるんだ、と思いながら彼の後ろからついていった。
するとダニエルが家の門の前で立ち止り、ふと私を見た。






「ダン・・・?」
「あのさ・・・また・・・こうして会えるかな・・・」
「え?」







少し照れくさそうに、そう言ってきたダニエルに私は何のことか分からず、首を傾げた。






「あ、いや・・・後で話そう」
「う、うん・・・?」







ダニエルはちょっと苦笑を零し、そう言うと門の中へ入り、玄関まで歩いて行ってしまう。
それを追いかけながら、私は今の言葉を頭の中で何度も繰り返していた。




"また・・・こうして会えるかな・・・"




それって、どういう意味で言ったんだろう・・・と考えながら、それでも鼓動の方が自然と早くなっていく。
そして頭の整理がつかないうちに、ダニエルはチャイムを鳴らしてしまった。





『はい』
「あ、ルパート? 僕だけど」
『開いてるよ〜』






インタホン越しからルパートの声が聞こえて来ると、ダニエルは私の方を見て肩を竦めた。






「家にいたらしい。良かったね」
「あ、うん・・・」
「僕とが一緒にいたらビックリするかな」






ダニエルはそう言って笑いながらドアを開けた、その瞬間―






















パン!パーン!!










「「「「「「「Surprise〜〜〜〜!!!!!」」」」」」」

















「ぅあ!!」













ドアを開けた瞬間、クラッカーが鳴り響き、皆の声が聞こえて来た。
ダニエルは本気で驚いたのか、目の前で固まってるものの、それでも状況を把握したのか目を丸くして私の方を振り返った。







「ちょ・・・これって・・・」


「Happy Birthday!ダン!」


「え? あ・・・っ」






私が笑顔でお祝いを言うと、ダニエルの顔が赤くなり、やっと気づいたようだった。







「も、もしかして・・・サプライズパーティ?!」
「そうなの。皆で計画して・・・」
「そーだぞーダン!、よくやった!」






皆の間からルパートとエマが顔を出し、こっちに歩いて来る。
だがダニエルはルパートの言葉に更に驚いたような顔で私を見た。






「じゃ、じゃあ・・・まさかからの電話も・・・」
「そういうこと♪悪いな、ダン」
「ガッカリした? ダン」


「ルパート、エマ!」




二人はニヤニヤしながらダニエルの事を肘で突付いていて、彼はMAXで赤面しているようだ。






「ごめんね? 皆に頼まれて・・・ここへ連れて来てって言われてたの」
「じゃ、じゃあ・・・従兄弟の話も・・・本を借りたって事も・・・」
「嘘だよ? ダンを連れてくる為のさ」
「ル、ルパート・・・。ご、ごめんね? ダン・・・せっかく選んでくれたのに・・・」





私は申し訳なく思い、ダニエルにそう言うと彼は未だ驚いていたが軽く息をつくと苦笑を洩らした。






「なぁーんだ・・・。が電話くれて嬉しかったのに・・・」


「え・・・?」



「でしょ? だからに誘って貰ったのよ?」



「は?」







私を無視してダニエルとエマが、そんな事を言い出し、意味が分からない。
そこでルパートを見れば、いつものニコニコ顔でダニエルを突付いていた。





「僕らからのささやかなプレゼントだよ。気に入ってくれた?」
「うるさいよ、ルパート!余計なことして・・・」
「何だよー。キッカケになるだろ?」


「あ、あの・・・?」





そんな二人の会話に首をかしげているとダニエルは頭をかいて顔を反らした。
だがルパートが彼の背中をバンっと叩くと、諦めたように私を見た。








「さっきも言ったけど・・・また・・・僕と会ってくれるかな・・・。もちろん撮影以外で」




「え・・・?」




「前から・・・さ。そう言いたかったんだけど、なかなか言い出せなかったんだ」




「――っ?」








ダニエルは照れくさそうに、そう言うとルパートとエマはニコニコしながら、






「そうそう。ダンの奴、と話したかったんだよな?」
「だから誕生日プレゼントもかねてチャンスをあげたのよ」





なんて言いだし、私はギョっとした。








「嘘・・・」
「嘘じゃないよ。二人の言ってることは本当」
「ダニエル・・・」
「ダン」
「あ・・・」







呆然としてる私に、ダニエルはクスクス笑いながら、







「僕と・・・ちゃんとデートして欲しいって事なんだけどな」





「・・・え・・・え・・・?!」










私が再び驚くと、その場にいた全員が一斉に笑い出した。
だけどダニエルだけは真剣な顔で私を見つめている。







「ダメ・・・かな・・・?」






少し不安げな面持ちで、そう聞かれ、私は慌てて首を振った。






「ダメじゃない・・・。ただちょっと・・・驚いちゃって・・・」





そう言った私にダニエルはちょっとだけ笑うと、













「どうやら・・・僕だけがサプライズじゃなかったみたいだね」














なんて言って固まったままの私を見てクスクス笑い出した。













本当のサプライズをもらったのは、どうやら私の方だったみたい。











でも、それもいいかも。だって――ダンの嬉しそうな笑顔が見れたから。






































あなたが笑える世界であること、




           それだけがすごく嬉しいから

























※ブラウザバックでお戻りください。


ぅきゃー時間なくて遅くなった上に、こんな出来ですみませ・・・っ;;
脳も汚染され、何も思い浮かばなかった・・・(*TェT*)
今ロンドンでは大変な事件が続いてるし、ちょっとダンも心配ですよね。ほんと好きな人には笑顔でいて欲しい。
あぁーでもでもダン、祝!16歳!!これで免許も取れる?!(笑)
はぁ・・・このノリで連載も書こう・・・(オイ待てッ)


皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…

【C-MOON...管理人:HANAZO】