君 が 好 き...
いつものロケ現場、いつもの僕のトレーラーの中、いつものように彼女と二人きりの時間。
それは僕が最高に幸せだと感じる大切な時間だ。
「わ、凄い。ダンってば全問、正解!」
「まーね。これくらい軽いよ」
「うわー生意気っ」
得意げに、そう言えばは笑いながら、僕の額を指で突付いてきた。
それだけでドキドキしてるなんて、君は知らないだろ?
「いいわよ。今度はもっと難しい問題、出すから」
「いいよ? 受けて立つから。でもそれは明日にしてくれる? そろそろ休憩!」
「え? あ、ちょっとダン!」
僕がサッサと教科書を閉じると、は子供のようにぷぅっと頬を膨らませた。
「もう二時間たったよ? お茶くらい飲もうよ」
僕がそう言って椅子から立ち上がると、は軽く苦笑を洩らして肩を竦めた。
「仕方ないなぁ。じゃあ美味しい紅茶淹れてくれる?」
「お安い御用です。先生」
「わ、そんな時だけ先生だって。気持ち悪い」
はそう言って僕の背中をバンっと叩くと自分も教科書をしまい出した。
そんな彼女を横目で見つつ、僕はこっそり笑みを洩らした。
彼女、は僕の家庭教師だ。
仕事のせいで、なかなか学校へ行けないからって両親が知り合いの娘さんに僕の家庭教師を頼んでくれた。
そこで来たのがだった。
彼女はスタジオやロケ先にも一緒に来てくれて、こうして休憩時間には僕に勉強を教えてくれる。
本当なら彼女は他にも教えてる生徒がいるんだけど、僕の親が給料を倍払うから、
僕の専属としてついてやって欲しいなんて頼んだらしい。
まあ、それは彼女がついてくれたせいで僕の成績が上がったからなんだけどね。
も、僕の仕事先に来てから他の生徒さんの家に回るのは大変だからって、それを承諾してくれた。
まあ僕が思うに高い給料も魅力だろうけど、一番の目的は彼女のミーハー心だと睨んでるんだけどさ。
(だってってばハリーポッターの大ファンだったらしいし)
そうして僕の専属の家庭教師となったは、こうして毎日僕に勉強を教えてくれる。
僕が撮影をしている間は問題を作ったり、宿題を作ったりして、時々は撮影を見ているんだ。
彼女は年齢の割には(こんなこと言ったら殴られそうだけど)子供っぽくてキャーキャー言いつつ他のキャストを見て騒いでるし、
監督やスタッフからも、すぐに気に入られ、一緒になって僕にイタズラを仕掛けてくるんだから、困るよ、ほんと。
それに・・・は結構モテるから嫌になる。
何で嫌になるかというと・・・
僕は彼女が好きだから。
スタッフと仲良さそうに話してるのを見ているうちに何だか胸の奥がモヤモヤするようになって、
自分が彼女を好きなんだと、ある日、突然気がついた。
はっきり言って自分でも凄く驚いたんだけどね。(だって彼女は僕よりはるかにお姉さんだし)
でも会う度に、どんどん彼女を好きになってく。
子供みたいなところも、ドジなところも、ちょっとお姉さんぶるところも、全て僕に言わせると、"可愛い"。
こんなこと言えば、「年上に向って可愛いって何よ」なんて怒ると思うけどさ。
紅茶を淹れ終り、ふと静かだな・・・と思い後ろを見てみた。
「あれ・・・」
振り返って見て僕は思わず、吹き出しそうになった。
だって彼女はテーブルに顔を伏せて眠ってしまってたから。
「何で寝ちゃうかなぁ・・・」
カップを静かに置くと、僕はそっとの隣に座り、顔を覗き込んだ。
彼女はとても気持ち良さそうにスヤスヤと寝ていて、ほんとに子供みたいだ。
「きっと夕べ、遅くまで問題作ってたんだね・・・」
彼女の前髪を指で避けながら、僕はちょっとだけ微笑んだ。
じゃあ、また予習、復習しないとなぁ。
だって成績を下げるわけにはいかないんだ。
こうしてと一緒にいる時間を失いたくないから。
「いつか・・・僕が気持ちを伝えたら・・・君は何て言うのかな・・・」
そう呟いて、そっと彼女の額に口付ける。
『君が好き 僕が生きるうえで これ以上の意味はなくたっていい』
彼女を好きになって世界が変わった僕には
SONG BY:Mr.Children
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Postscript
暑中お見舞いシリーズ第三弾!ミスチルの「君が好き」をダンで。
この設定、実は今、連載中の話を書く前に考えていたお話です。
この関係で連載を書こうと思ってたんですが、その前にチラっとお題を書いたところ、
ダン夢はダンと同じ歳くらいがいいという声が多かったもので、お蔵入りのようになっておりました^^;
まあ、でもダンより年上って設定も書いてみると案外いいかも、なんて思っております(笑)
問題はどのくらい年上がいいかって事ですかね・・・むむ。
皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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