WEB拍手用SS......"Animal"










Time of sharing.....by.DANIEL













いつもの学校の帰り道。


見慣れないものが目につき、私はそっと”それ”に近寄っていった。






「ミャァ・・・・・・」



「わ・・・子猫・・・っ」




そっとダンボールを開ければ、その中には小さな小さな子猫が入っていて、私を見るなりニャーニャーと必死に鳴いて来る。
私は慌ててしゃがみ込んで、その子猫の頭を優しく撫でてあげた。
子猫は人見知りもせず、頭を撫でられると気持ち良さそうに目を瞑って、そのうち喉をグルグル鳴らし始めた。


「可愛い・・・」


思わず笑顔になり、暫く、その子猫を撫でていると、ふと私の視界に影が落ちてドキっとして顔を上げた。


「その猫・・・どうしたの?」


「・・・・・・っっ?!」






振り返って驚いた。


そこには隣のクラスの・・・・・・いや、世界的にも有名な男の子・・・・・・ダニエル・ラドクリフが立っていたからだ。



「あ、あの・・・・・・」



私が慌てて立ち上がると、子猫は行ってしまうと勘違いしたのか、凄い勢いでニャ〜ニャ〜と鳴きながら
ダンボールの中から出ようと必死にガリガリやっている。
それを見てダニエルが今度はしゃがみこみ、その子猫の頭を撫でてあげている。


「可愛いね?この子捨て猫・・・・・・?」
「あ、えっと・・・・・・そ、そうみたい・・・・・・」


私は動揺しながらも子猫を撫でているダニエルを見ながら何とか答えた。
だいたい彼とは同じ学校でクラスも隣だが一度も話をした事がない。
それは彼が子供の頃からACTORという仕事をしているから、時々しか学校に来ないのと、
後は女の子の間で抜け駆けはなしという暗黙の了解があるため、ミーハー目的で話し掛ける子が殆どいないのだ。
私だってカッコいい彼には憧れていたけど、クラスも違うし、ますます彼との接点がないため、彼を学校で見かけるだけで満足していた。
その彼が今目の前にいて子猫を撫でている。
確かに今日は学校で一度、見かけはしていたが、まさか、こんな場所で会うなんて思ってもみなかった。


私は周りに誰かいないかキョロキョロ見渡してしまった。
するとダニエルが不意に振り返って私を見上げた。


「この子、どうするの?」
「え?あ・・・・・・」
「まだ目が開いたばかりだよね、きっと」
「う、うん・・・・・・誰が捨てたんだろう・・・・・・」
「酷いよな・・・・・・」
「うん・・・・・・」


私もそっと彼の隣にしゃがみ、子猫の方を覗き込んだ。
今まで話したこともない有名人が隣にいると思うと少し緊張したが、子猫が心配なのも確かで、
こんな場所に置いたまま帰れないと途方に暮れてしまう。


「君・・・・・・隣のクラスの子だよね?」
「えっ?」
「時々見かけるから」
「・・・・・・っ」


ダニエルはそう言って優しい笑顔を見せてくれた。
それはスクリーンで何度も見ていた彼の笑顔で不覚にもドキっとしてしまう。
しかも私の事を知っていてくれたなんて・・・・・・



「よ、よく覚えてるのね?クラスも違うのに・・・・・・」
「ああ、だって日本の子だし目立ってるから」
「・・・・・・っ?」


め、目立ってる?!私が?!
それを言うなら、あなたの方じゃない?


そんな事を言いそうになったが、何とか押し留めた。
するとダニエルが子猫を眺めつつ、


「こいつ・・・・・・どうしようか?」


と聞いて来て私は顔を上げた。


「ど、どうするって・・・・・・?」
「このまま置いておけないしさ」
「あ・・・・・・うん・・・」
「僕んちは飼えないんだ。母さんが猫嫌いだし・・・僕は大好きなんだけどさ」
「そ、そう。うちは両親とも大好きだから・・・頼んでみようかな・・・」


彼の心配そうな顔を見てると、つい、そんな言葉が出てきてしまった。
だがダニエルは本当に嬉しそうな顔で、


「ほんと?大丈夫?」


と聞いて来る。
それには私も笑顔になった。


「分からないけど・・・でもこんなに小さかったら、お母さんもいいって言うかも・・・」


そう言って子猫を抱き上げ頬を寄せる。
フワフワしていて気持ちがいい。
子猫も喉をグルグル鳴らしながらニャァ〜と可愛い声を出した。


「じゃあ・・・君にお願いしてもいいかな?」
「うん。何とか説得してみるから・・・」
「そっか。良かった〜」


ダニエルは心底ホっとしたように息を吐き出すと一緒に立ち上がった。


「それじゃ・・・」
「うん」


少し名残惜しい気もしたが、私は子猫を抱いたまま、家に向って歩き出した。
話すことすらないと思っていたダニエルと、こうして少しでも会話を交わすことが出来て私は満足だった。
だが、その時、


「ねぇ!」


と声がして私は振り返った。


「え?」


「今度・・・その猫、見に行っていいかな・・・・・・?」


「・・・・・・ぇっ?!」



彼のその言葉に心の底から驚いた。



どことなく恥ずかしそうに視線を反らしているダニエルは靴で地面をグリグリしながらチラっと私を見ると、更に信じられない言葉を言った。






「実は・・・・・・僕、前から君のこと知ってて・・・一度話してみたいなぁって思ってたんだよね・・・・・・」


「・・・・・・わ、私と・・・・・・?」


「うん」




やっぱり恥ずかしそうに微笑む彼に、今度は私の顔が赤くなった。





「だから子猫・・・・・・見に行っていいかな?」





彼の言葉に、私は気づけば静かに頷いていた。




これって夢かな・・・?
一方的に憧れていた彼に、こんな事を言われるなんて・・・・・・・・・・




不意に訪れた彼との共有の時間・・・・・・
この子猫に感謝しなくちゃ・・・。





そんな事を思いながら、腕の中の猫をギュっと抱きしめれば苦しかったのか抗議するかのようにニャァ〜っと鳴き声を上げる。




それを聞いてダニエルが楽しそうに笑っていた。







......END.....















I love dogs.......by.ORLANDO







今日もカリフォルニアは、いい天気だ。
しかも久し振りの、まとまったオフ。


となれば・・・・・・






「シディ!散歩行こうか?」


「ワゥワゥ!」



名前を呼べば、すぐに真っ黒い顔で尻尾を振りながら飛んで来る。
僕はシディの頭を撫でながらリードをつけて家を出た。
ここロスには去年から家を借りて仕事がある時には、こっちに滞在している。





「はぁ〜!いい天気だなぁ・・・」


空を見上げて伸びをすると、シディも嬉しそうに尻尾をブンブン振っている。


「さ、行こうか」
「ワゥ!」


元気な一吠えをしてシディはグイグイと先を歩くように僕を引っ張って行く。
それを後ろから見ながら僕は比較的ノンビリ歩いた。


彼女と別れてからの数ヶ月、オフの時はシディと、こんな風に過ごす事が多くなった。
と言っても仕事先にも連れていくので、四六時中一緒ということになるんだけど。
彼女がいた頃、オフの日には一緒に過ごしていたけど、一人になった今となっては何をするでもなく、
シディと一緒にプラプラとするのが日課になっていた。


「今日は平日だし人も少ないぞ、シディ」


いつものように家の近くにある"パン・パシフィックパーク"に行き、拾い場所でシディのリードを離す。
するとシディは嬉しそうに広場を駆け出した。
僕はそれを見ながら近くのベンチに座ってサングラスをズラし、目を細めながら楽しそうに駆け回っているシディを眺めていた。


(一人もいいなぁ、こんな風に過ごすのも)


忙しい時間の中に出来るオフは僕には貴重な時間だ。
前なら彼女と会う時間に当てていたが、いつも彼女とばかり会ってもいられず、友人と出かけたりすることも多くなった。
そうなれば彼女との気持ちの擦れ違いも増えて結局、アッサリと振られてしまったのだ。
何とか元に戻ろうと努力はしたけど彼女は受け入れてくれなかった。
散々、文句を言われて勝手な事を言われて、僕も最後には面倒になって別れる事をOKしてしまった。


(はぁ・・・何で女の子って何でも比べるのが好きなんだろう?)




”友達と会うのと私と会うのと、どっちが大事なの?”




別れる少し前から、よくそんな事を言ってくるようになった。


僕はどっちも大事なのに・・・
と言うか比べられないよ・・・




「はぁぁぁ・・・」



思い出すたび特大の溜息が出るのも日課になっている。


「やめやめ!せっかくのオフなんだし・・・」


そう呟き、サングラスを直すとベンチに寄りかかった。
そして、ふと視線を戻せば、さっきまで視界にいたシディの姿が見えなくなっていた。


「あれ・・・シディ?」


キョロキョロ見渡しても黒い犬の姿は見えず、僕はベンチから立ち上がった。
すると少し先にある茂みの方から、シディの


「ワゥワゥ!」


と吠える声が聞こえて来て、そっちに歩きかけた瞬間。






「キャァ・・・!」





「―――っ!!」






何だ?





「シディ!!」




(もしや人を襲ったとか?!)


一瞬、そんな事が頭をよぎり、僕は女の子の悲鳴が聞こえた方に慌てて走り出した。
そしてバっと茂みの向こうを覗けば・・・・・・








「くすぐったいよぉ〜!うぁ・・・」


「ワゥ!ワゥ!」


「シ、シディ・・・?!」






僕の目に映ったのはシディが女の子に覆い被さり、顔をベロベロと舐めている光景・・・・・・


それには呆気に取られて立ち尽くしていると、女の子が僕に気付き、体を起こした。
シディも僕に気づき、すぐに走ってきて目の前でジャンプをしている。


「ワゥワゥ!」

「うわ、こらシディ・・・っ」




「その犬・・・あなたの犬・・・?」

「あ・・・う、うん。あの・・・ごめんね?怪我とか・・・」

「全然!凄くいい子ね?」



そう言って笑顔で立ち上がった彼女は小柄で華奢な感じの可愛い子だった。
奇麗な黒髪を腰まで伸ばしている。
日本の子だろうか。
公園の芝生にシートを敷いて、そこで読書でもしていたのか、横には本が置いてあった。
だがシディが暴れてシートの上には土がかぶってしまっている。


「ほんとごめんね?シディ、人見知りしない奴で・・・」
「あ、いいの。私も犬は大好きだから」


彼女はそう言って笑顔でシートの上にある土を払っている。
それを僕も手伝った。
シディはと言えば呑気に後ろでお座りしたまま尻尾を振りつづけている。


「ったく・・・お前、誰にでも寄ってくの悪いクセだぞ?」
「ワゥ・・・ン」


僕が振り返って、そう言うとシディは悲しげに耳を垂れている。
するとクスクス笑い声が聞こえた。


「その子、シディって言うの?」
「え?あ、うん」
「そう。頭のいい子ね?」
「そ、そんな事はないよ?何もしつけてないし・・・・・・」


僕がそう言った時、シディは誉められたと分かったのか、スクっと立ち上がって彼女の方へ歩いて行った。


彼女も嬉しそうにシディの頭を撫でている。
そしてシートの上に座ると僕の方を見上げて、


「いつも、ここに散歩に来るの?」


と聞いて来た。
太陽が眩しいのか目を細めながら、顔を上げた彼女の表情に一瞬ドキっとしてしまう。


「うん。ここ近いし散歩するのはいい場所なんだ」
「そう。私は最近引越してきたの。こうして公園もあるし、いい場所よね?」
「そうだね。僕も気に入っているんだ」


そう言って僕もしゃがむとシディの背中を撫でてやった。


「じゃ、ほんとごめんね?シディ行くぞ?」
「ワゥゥ・・・」
「・・・おいシディ・・・」



僕が呼んでも、ちっとも動こうとしない。
それには彼女もクスクス笑っている。


「もう少しここにいてもらってもいい?」
「え?でも・・・読書の邪魔になるし・・・・・・」
「そんな事ないわ?シディも、まだいたいって。ね?」

「ワゥ!」

「・・・・・・・・・・・・・・」


張り切って吠えるシディに僕も苦笑するしかない。



「じゃあ・・・少しだけ」
「ありがとう。あ、ここで良ければどうぞ」


彼女は少し動いてシートを開けてくれた。
僕もそこに座らせて貰う事にする。


何してるんだろう?と一瞬、自分で驚いてしまう。
この仕事をしてから一般の人と、こんな無防備に話したこともない。


(でも彼女は僕の事を知らないみたいだし、シディも懐いてるし、まあ、いいか・・・)


そう思いながら太陽の光でキラキラしてる奇麗な髪を見ていた。
そして、ふと置いてある小説に目がいく。
それは詩集のようなもので失恋がテーマのようだった。


「あ・・・これ?」


僕の視線に彼女が恥ずかしそうに本を手にした。


「ちょっと最近、失恋しちゃって・・・」
「え?」


彼女は少し目を伏せて微笑んだ。
その横顔が寂しそうで、だからなのか、


「実は僕もなんだ」


という言葉が自然に出ていた。


今度は彼女が驚いたように顔を上げた。
僕はそんな彼女に笑顔を見せると、


「失恋仲間だね」


と言った。


それには彼女も一瞬キョトンとした顔で僕を見つめる。
大きな黒い瞳に見つめられ、何となくドキドキしながら、”日本の子も可愛いな”なんて思ってしまう。



「僕・・・明日も休みで、ここに来る予定なんだけど・・・君は?」


「え・・・?」




不意に、そんな言葉が口から出ていた。


当然、彼女は更に驚いている。



名前も知らない会ったばかりの子に、こんな事を言っている自分が不思議だった。



だが彼女の返事を聞く前に、またしてもシディが元気に、「ワゥワゥ!」 と吠え出して、互いに顔を見合わせ噴出した。




「じゃあ・・・私もシディに会いに明日も来ようかな・・・」




笑いながら、彼女がそう言ってくれて、僕はちょっとだけ明日が楽しみになった。




たまには、こんなオフもいい・・・。シディに感謝かな・・・・・?












......END.....







 

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Comment


□DANIEL RADCLIFFE

今回は動物がキッカケでの出会いをテーマに書いてみました^^
これはダンも実は彼女の事が気になってたという感じで・・・v
でも振り向いてダンがいたら驚くでしょうね(笑)

□ORLANDO BLOOM

ちょっとシディを書きたくなりました(笑)
シディは今やオーリィに一番近い存在ですしねーv あぁ、シディになりたい・・・・・・(笑)