WEB拍手用SS......"Visit of spring"









Proposal by telephone......by.VIGGO












チラっと時計を見ると夜中の12時半。


そろそろかな・・・・・・




私はベッドに腰をかけて電話を側に持ってきた。
ロスから帰国して一ヶ月。
向こうで付き合った恋人からの電話を待っているのが日課になっていた。


はぁ・・・海外勤務の辞令が出たのはいいけど彼に会えるまで残り半年ほど・・・・
早く会いたいなぁ・・・・・・



そんな事を思いながら、ボーっとしていると不意に電話が鳴り出し、慌てて受話器を取った。


「Hello?」
『やあ、おはよう。あ、そっちは今晩わかな?』
「そうよ?日本は真夜中。ヴィゴの方は、おはようだね?」


愛しい恋人の声を聞きながら私はベッドに寝転がって窓の外を眺めた。


『そっちはもう暖かい?』
「ええ、すっかり!おかげで眠くて仕方ないけど」
『そうか。君はよく寝るからな、子供みたいに』


そう言ってヴィゴは受話器の向こうで笑っているようだ。
その言葉に私は思わず頬を膨らました。


「だって・・・ロスってカラっとしてて暖かくて、あれなら眠くもなるわ?」
『それも分かるが・・・・・君はどこでも寝るから危ないよ。まさか日本でも、あんなことはしてないだろうね?』


ヴィゴは少し心配そうに聞いてきて私は思わず笑ってしまった。


「まさか!日本では無理よ。寝るのはちゃんと家だけにしてます」
『なら、いいけど』


ヴィゴはホっとしたように、そう言って息をついている。
まあ彼が心配するのも無理はないんだけど・・・



ヴィゴと出会った時、私はスヤスヤと寝ていたのだから。
仕事の関係で行ったロス。
やっと取れた休みに映画を見に行った。
だけど思ったより面白くなくて途中で思い切り寝てしまったのだ。
それを、たまたま近くに座っていたヴィゴが映画が終わった後、一向に起きる様子のない私を起こしてくれたのがキッカケだった。


「女の子が、こんな場所で寝ていたら危ないよ」


そう言って微笑んでくれた彼の笑顔は今でも覚えている。
あの日の映画はつまらなかったが、自分がまるで映画のような出会いをしたと後になって思ったものだった。





「早くヴィゴに会いたい・・・・・・」



つい寂しくなって、そんな言葉が口から出ていた。
こうして毎日電話をくれようと、彼の出ている映画を何本見ようと、本人の温もりさえ感じられない現実は私を寂しくさせる。


『私も早く会いたいよ・・・。君を一人にしておくのが心配でね』
「・・・また子供扱いする・・・・・・」
『ああ、君は甘えん坊で我がままな子供だろう?ヘンリーより手におえない』


ヴィゴは笑いながら、そんな事を言っている。
それには私も顔が赤くなった。


「だって・・・・・・ヴィゴが甘えさせ上手なんじゃない・・・・・・」
『そうかい?君と付き合えば誰でもそうなるさ』
「ひどいなぁ、もう・・・・・・ヴィゴはいっつもそうなんだから・・・・・・」


ちょっとスネながら、そう言うと、ヴィゴはクスクス笑っている。
そして私が飛び上がるような事を口にした。





『その文句の続きは来週、会った時に聞かせてもらうよ』



「・・・・・・へ?」




一瞬、意味が分からなくて体が固まった。
だがヴィゴはもう一度、


『来週、日本に行く事になったんだ。だから、その時にいくらでも話を聞くよ』


と言った。




その言葉の意味を理解した時、私の口から出たのは、


「ウソ・・・・・・」


というムードも何もない一言。


それを聞いてヴィゴは苦笑いを浮かべてるんだろうなと想像できた。
だけど、その後に私が更に固まるような言葉が受話器の向こうから聞こえてきた。










『来週、君を攫いに行くから・・・・・・それまでいい子で待っていてくれないか?』




「・・・・・・っ」










春の訪れと共に、私の元にも愛しい人がやってくる。


どうやら、その彼に私は攫われるらしい。


でも、それもいいかもね?


だって私は、その言葉をずーっと待っていたんだから。







こうして電話を待つ夜が終わるのも、そう遠くない未来の話――――















......END.....























sleepy in spring....by.DANIEL






今日は待ちに待った彼女とデートの日。
ここのとこ忙しくて、なかなか二人きりで会う時間がなかったけど、やっとオフになった。
だから僕は約束の一時間前には彼女の家の前に来てしまっていた。


「ちょっと早すぎたかなぁ・・・。ま、いっか」


その分、長く一緒にいられる。
そう思って家のチャイムを鳴らした。



キンコーン・・・



聞きなれた音が中から少し洩れてくる。
僕はドキドキしながら彼女が出て来るのを待っていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・」



(あれ・・・おかしいな・・・)


いつまで経っても顔を出さない彼女に僕は少し心配になり、前に預かっていた彼女の家のキーをポケットから取り出した。
それで鍵を開けて静かにドアを開く。
途端に彼女の家の香りがして、中にゆっくり入って行った。


(何だかいる気配がしないんだけど・・・)


そう思いながら一度、彼女の名前を呼んでみたが返事はない。


(まさか・・・今日の約束を忘れて出かけちゃったとか・・・?)


一瞬、そんな不安が頭を過ぎる。
でも一応リビングを覗いてみた。
だが奇麗に片付けられた部屋には彼女の姿はなく、僕はガッカリして軽く溜息をつきソファに腰をかけた。


「何だよ・・・凄く楽しみにしてたのに・・・」


そう呟いてから再び、立ち上がると奥にある寝室へと向う。
もしかしたら・・・夕べも遅かったし寝てるのかも・・・


ふと、昨日の彼女の言葉を思い出した。


彼女は僕の映画のスタッフで他の皆とは内緒で付き合っている。
なのでスタジオで会っても気軽に話したり出来ないが、確か夕べは遅くなる・・・と一言だけ言葉を交わしたのを思い出した。
少しだけホっとして寝室のドアを開けてみれば、やっぱり彼女はベッドの中にいた。
その姿を見て思わず笑みが零れる。
静かにベッドの方まで近づいていって顔を覗き込めばスヤスヤと眠る彼女。
その顔は年上とは思えないほどにあどけなくて可愛い。


「全く・・・デートも忘れて君は夢の中なんだ・・・」


苦笑気味に呟いてベッドの端に腰をかけた。
彼女の髪をそっとはらい額に軽く口付ければ、少しだけ顔が動いてドキっとする。
そして、ゆっくりと瞳が開かれるのを待って声をかけた。


「おはよう、お寝坊さん」


「・・・・・・ん・・・?ダン・・・・・・?」


彼女は寝ぼけ眼で何度かパチパチと瞬きをして僕を見上げてきた。


「あ・・・れ・・・?今、何時・・・・・・?」
「今は朝の9時過ぎだよ?ちょっと早く来ちゃったんだ」
「え・・・9時過ぎ・・・?」


彼女は驚いたように呟くと、


「やだ・・・目覚まし9時にセットしておいたのに・・・」


と溜息をついて目を閉じた。


「・・・・・・ん〜眠い・・・・・・・・・」
「ねぇ・・・起きないの?」


一向にベッドから出ようとしない彼女の肩を揺さぶり、そう言うも彼女はますます布団の中に潜っていく。


「あと一時間だけ寝かせて・・・?」
「えぇ〜?僕が来たのに、まだ寝るの?」


彼女の言葉に思わず、口を尖らせた。
だが彼女はモゾモゾと目だけ出して、


「だって凄く眠いんだもの・・・・・・」


と子供のような返事。
これには僕もつい笑ってしまった。


「このポカポカ陽気じゃ眠いのは分かるけど・・・。でもじゃあ一時間だけだよ?」


彼女の寝ぼけた顔が可愛くて仕方なく、そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。


「うん、ありがとう、ダン・・・。起きたらダンの好きな物、何でも作ってあげる」
「ほんと?じゃあ約束」


僕は笑顔でそう言うと彼女の口元を隠している布団をそっと避けて唇にチュっとキスをした。
すると彼女の頬が薄っすらと赤く染まる。
だが次第に瞼は閉じられ、彼女は夢の世界へと戻って行った。


「はぁ・・・寝ちゃったよ・・・」


苦笑しつつ彼女の寝顔を見て、それでも僕は幸せだった。
あんな会話をして、こうして彼女の寝顔を見ていると一緒に住んでるみたいでちょっと嬉しくなる。






「ふぁぁ・・・」


暫く彼女の寝顔を見ていると、何だか僕まで眠くなってきて特大の欠伸が出てきた。


今日は春の陽気で暖かく、彼女じゃないけど、ほんとに眠くなる。
そこで目覚ましを一時間半後にセットして、彼女の隣に潜り込んだ。
そっと彼女を包むように抱きしめて頬に軽くキスをする。


「お休み・・・」


そう呟いて僕も彼女と一緒に寝る事にした。


出来れば、いつまでも、こうして彼女と同じ時間を共有していたい・・・


そう思いながら僕も夢の中へと落ちて行った。







起きたら彼女の手料理が僕を待っている―――











......END.....







 

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Comment


□VIGGO MORTRNSEN


ハルの訪れと共にプロポーズ♪みたいな感じで(笑)
遠距離はキツイですよね。

□DANIEL RADCLIFFE

ダンも一緒にお昼寝っていいですよねーv