WEB拍手用SS......"Rainy season"









Quiet sleep by telephone....by.JOSH









目が覚めたら雨の音がした。
その静かに響く雨音がまた私を眠りの中に引きずり込んでいく。
すると不意にドアが開く音がして彼の溜息交じりの声が耳に届いた。




「まだ寝てんの…?」
「んーもう少し…」
「俺、腹減ったんだけど」





ジョシュは子供のような事を言いながらベッドの端に座り、私の頭をそっと撫でる。
言葉はぶっきらぼうだけど私に対する仕草はいつも優しい。




「…雨の日って眠くなるのよ」
「ふーん。まあ分かるけど」
「日本って梅雨ってのがあって、その時期は一ヶ月ほどなんだけど毎日がジメジメして嫌いだった。
でもその時期はグッスリ眠れるの」
「気分が滅入らない?雨の日って」


ジョシュの大きな手がゆっくりと髪を撫でていくリズムはやっぱり眠気を誘う。
ジョシュはそれを分かっていないのか、私を撫でながらも、「おい、起きろよ」なんてスネたように言って髪に口付けた。


「ん〜もう少し…」
「…もう少しってどのくらい」
「…もう少し…」
「だから、どのくらいだよ」


すぐ近くで苦笑気味のジョシュの声がする。
その瞬間、唇に柔らかいものが触れて彼の体の重みを感じながら、私は小さく笑った。


「…やめてよ。眠れないじゃない」
「寝せないようにしてんだよ」
「…眠いんだもん」
「起きろよ」
「もう…我がまま」
「どっちが」
「…じゃあ…もう一回キスしてくれたら起きる…」


目を瞑ったまま、そう呟くと、ジョシュは、「甘えん坊だな」なんて言ってちょっと笑ってるようだった。


「ま、そんなことは言われなくても何度でも」


優しく触れてくる彼の唇を受けていると、やっぱり安心して睡魔が襲ってくる。


ああ、これじゃ逆効果だったかも。

















......END.....























Flower language....by.ORLANDO







「ねぇ、オーランド」
「ん?」


隣にいる彼は返事をしながらもすれ違ったブロンド女を目で追っている。
私と相合傘してるってのに他の女に目を向けるとは、どういう恋人なのだ。
舐めてるんだろうか、コイツは。


そう思いながら、頭にきてわざと水がはねるように歩いてやる。


「わ、何だよ。濡れるだろ」
「あら、ごめんなさい」
「…何怒ってんの」
「さあ?何ででしょうね」



チラっとオーランドを見上げれば、彼はキョトンとした顔で首を傾げている。
あらやだ、可愛いじゃないの。
そんな事を思いながらも、先ほどの事を思い出しすぐに、そんな思いを振り切った。


今日は朝から雨で、ただでさえ気分が滅入るっていうのに。
デートをしている恋人は私よりもナイスバディなブロンド女に目を奪われていて。
そりゃ怒りたくもなるってものよね。
あげくオーランドはそんな私の気持ちにすら気付かなくて、今も目をくりくりさせて、「ほんとに怒ってるの?」なんて訊いてくる。


トボケ顔のオーランドにムッとしていると、道端に綺麗に色をつけた花を見つけた。


「ねえ…よく分かんないけど機嫌直してよ。今日はデートなんだし」


いつまでもブスっとしてる私に寂しくなったのか、オーランドはそっと肩を抱き寄せる。
でもそんなんじゃ今の私の機嫌は直らないんだから。


「ねえ、オーランド」
「何?」


私が名を呼ぶと、オーランドはパっと笑顔になった。
凄く嬉しそうで少し機嫌を直してやろうかなんて思ってしまう。
いや、でも。
そもそも、この男が無意識で私以外の女に目移りしているのが問題なのだ。


「紫陽花の花言葉って知ってる?」
「へ?紫陽花?」
「そう。あの花」


そう言って目の前のカフェの窓際に咲いている紫色の花を指差した。


「さあ…バラとか胡蝶蘭の花言葉なら知ってるけど…」


さすがハリウッドスターさまさまだわ。
女の子を口説ける花、ナンバーワンとナンバーツーの花言葉だけはしっかりインプットしてるんだから。
内心ムっとしてる私に気付かず、オーランドは紫陽花の方に歩いて行くと笑顔で私を見た。



「紫陽花は何なの?綺麗な色してるしロマンティックな言葉かな」
「そうね…ロマンティックかどうかは知らないけど…オーリーにはピッタリね」
「嘘、俺に?何、何?どんな花言葉?」


わくわくしたように顔を覗き込んでくるオーランドを私は溜息交じりで見上げた。
そして紫陽花の花を一厘摘むと、それを彼に押し付ける。





「"移り気"」


「へ?」


「紫陽花の花言葉よ」





私の言葉にオーランドが目を丸くした。



ね?今のあなたにピッタリでしょ?












......END.....

















The day of rain....by.DANIEL






ベッドの中でまどろみそうになりながら寝返りを打った。
外はまだ雨が降り続いてる。
こんな日は外に行かないで、ずっとベッドの中で過ごしたい、なんて思う。
だって憂鬱な気分になるじゃない。


「ねぇ、ダン…」
「ん?」
「何でロンドンって雨が多いの…?」


隣で私を抱きしめる彼に意味もなく問いかける。
別に答えを求めていたわけじゃない。
ただ何となく口から出ただけだった。


ダンはちょっと笑うと窓の外を眺めている私を自分の方に向けて唇にキスをした。


「後で教えてやるよ」
「…じゃあ今は何するの?」
「さあ…何しようか」


意地悪な笑みを浮かべてダンは私にキスを繰り返す。
触れるだけの優しいキスから、舌を絡ませる深いキスまで。
こんな日はダンもいつになく情熱的に私を求めてくるみたい。


首筋を滑り落ちていくダンの唇に息を乱されながら、私は雨の音を聞いていた。


ダンが何度も求めてくれるなら、雨の日もいいかな、なんて思いながら。








......END.....




















 

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テーマはズバリ"雨季"
梅雨でジメジメしてるけど夢は甘く。(なってないから)