Chapter.4...Stormy
vacation in NY I WISH YOU...
~プロローグ~
「じゃあね、!電話するからね!待っててね!」
「ええ。オーリーもお仕事頑張ってね!」
しつこいくらいにオーランドは、別れを惜しんでいる。
そう。今は映画の撮影は休み。その間、他の仕事をこなすべく、僕やオーリー達はそれぞれの仕事へ向かうため
ここ、ニュージーランドから一時、離れようとしていた。
はあれからすっかり元気になり、次回作の準備のため、また忙しい日々を送っていた。
僕はと言うと…、このオフを利用して、今、ニューヨークへと戻る所だ。
ラッキー(?)な事に、この日はオーリーも他の仕事のため、ニュージーランドを後にする。
それで今、との別れを惜しんでるというわけ。
僕はオーリーが僕より後に…という事にならなくて心底ホっとした。
少しの間でも僕がいないところでとオーリーが会ってると思うと仕事に集中できない気がするからさ。
自分でも、こんな自分をおかしいと思うけど…事実そうなんだから仕方ない。
―僕は本当に、彼女に恋しちゃってるんだ。
僕はまだ名残惜しそうにの手を掴んでるオーリーに呆れつつも声をかけた。
「ほら、オーリー。行くよ?飛行機の時間に間に合わない」
「むぅ~…それなら、それでいいよ。そしたら一日、残れるもんね」
オーランドは少しスネたように答えた。
(冗談じゃない!一日たりとも、オーリーをここへ残してなるものか!)
僕は心の中で固い決心をして、オーリーの腕を掴んだ。
「何バカな事言ってるのさ!も困ってるだろ?」
「分かったよ…。うるさいな、リジーは…。うちのじいちゃんみたいだよ…。
…じゃ、、あまり無理しないでね、また倒れたら困るからさ!」
と渋々掴んでいた手を放す。
も苦笑いしながら、
「ありがと。オーリーもね、無理しないでね」
とオーリーへ笑いかけた。
僕は"じいちゃん"と言われて、少し落ち込んだ…。
僕はオーリーより、4つも年下だぞ?!何だ、じいちゃんって!じいちゃんかよ?!
僕がじいちゃんならヴィゴは、ひいひいじいちゃんか?!
この流れでヴィゴを引き合いに出すのは失礼かな?と思いつつオーリーを睨んでいるとが僕の方を見た。
「リジーも頑張って映画の宣伝してきてね!」
「あ、うん!いっぱいしてくるよ」
この一言で、一瞬にして僕は笑顔になる。
「じゃ、行ってらっしゃい!」
そう言うとは僕の手を掴んで、ぶんぶんと上下に振った。
僕は嬉しいのと、そのしぐさが可愛いのでニヤニヤしながらの手の温もりを感じていた。
(ああ…名残惜しいって、オーリーの気持ちが分かる気がするよ…)
すると、いきなり、その温もりが消えた。
オーランドが二人の手を離したのだ。
「もう、いつまで手を繋いでるのさ!リジー、もう行くよ?飛行機の時間があるんだから!」
(そ、それは、さっき僕が言ったセリフだっつーの!!)
「分かってるよ!オーリーじゃあるまいし! ―じゃあ、…。 "また"ね」
僕は意味深に、そう言うとへニコっと笑った。
も気づいたのか、笑顔で、「ええ、また…」と微笑む。
オーランドは、それに気づかず、「じゃねー!、王子の帰りを待っててね!」と呑気に笑顔で手を振りつつ車へと乗り込んだ。
僕も、それに続く。
も笑顔で手を振っていた。
車内では…
「あー…早く戻って来たいよ…。都会へ戻れるのはいいけどさ~。何だか今は行く気分じゃないよ…」
オーランドは、つまらなそうに呟いている。
確かに僕も、本当なら、同じ気持ちだったろう…。
昨日の夜、あの事をから聞かなければ―――
「え?、ニューヨークに行くの?!」
僕は夜、が特殊メイクの練習をすると言うので、協力するべくトレーラーへと行き、今は特殊メイクの練習台となっていた…。
オーエンからチラっと聞いていた僕は偶然を装いが練習しているとこへ来て練習台になろうか?と申し出たというわけだ。
何とか携帯の番号を聞けないものか…頭の中で、どうやって聞き出そうか悩んでいた。
(だって…ニューヨークへ行ってる間、声すら聞けないなんて寂しいもんね…)
するとが、
「まだまだ上手くならないといけないし、私、このオフを利用してニューヨークにある特殊メイク学校の特別講座を申し込んだの」
と言い出した。
僕は驚いて、「え?、ニューヨークへ行くの?いつ?いつから行くの?!」と問いかけた。
「えっと…。多分リジー達が出発する日の次の日かな?
一週間はニューヨークで勉強して、来週の撮影再開の二日前に戻る予定よ」
と言うの言葉に、僕は久々に胸がときめくのを感じた。
邪魔者(オーリー)がいないところで、に会えるかもしれない!!
思わず顔がニヤけるのを何とかこらえつつ、
「ぼ、僕もニューヨークで仕事だよ!じゃ、会えるかもしれないね?」
と別に会えるという根拠もないクセに言ってみる。
するとが少し驚いて、
「え?でもリジーだって忙しいでしょ?私は講座が終ったら夜は暇だけど…」
と言った。
僕が心の中でガッツポーズしたのは言うまでもない。
「そんな事ないよ!仕事ったって雑誌の取材が主で、あとはテレビ番組で流すコメント取りだけだしさ。
良かったら案内するよ?食事でもしようよ」
と、なるべく、さりげなく誘ってみた。
するとも嬉しそうに、(僕にはこう見えた)
「え?ほんとにいいの?私、ニューヨークって、まだよく分からなくて…」
と微笑む。
僕はもちろん、満面の笑みで、「全然、構わないよ!どこに泊るか決めた?」と聞いた。
「ホテルは学校の近くで…と思ってセントラルパーク近くのウィンザーホテルにしたの」
「ああ!ウィンザーか。場所、分るよ!車ですぐ行けるしね」
「何だか一人でニューヨークって緊張しちゃうけど…」
とは笑いながら僕の頭のウィッグを外してくれる。
「ありがとう、リジー。自分のじゃないメイクにまで、付き合ってくれて」
「そんな、お礼なんていいよ、僕も違うメイクできて新鮮だったしさ」 ―今、してたメイクは何とエルフのメイクだった…!
どう考えても僕にはエルフは似合わないな…。
セクハラ王子だけど、やっぱりオーリーの方が似合う気がする…悔しいけどさ。
その時、僕は、ふと、今なら別に普通に携帯番号を聞けるじゃないか!という大切な事を思い出した。
そこで後片付けをしているへと声をかける…。
「ね、ねえ、?じゃあ、ニューヨークで時間空いたら電話してもいいかな?」
「え?ええ、きっと学校終ったら、すぐホテルへ戻るから…夕方の6時以降なら大丈夫よ」
「ほんと?じゃあ、携帯の番号聞いてもいい?」
「あ、ちょっと待ってね」
はそう言うと自分のバッグから携帯を取り出し、「あ、じゃあ、今リジーの番号を聞いて私が鳴らせばいいのよね?」と振り向く。
僕はすでにニヤニヤしていた顔を、パっと切り換え、「うん、そうだね」と普通の顔を装った。
僕が番号を言うと、はその場で鳴らしてくれた。
「じゃ、リジー後で登録しておいてね」
とが笑顔で言って来る。
「うん、ちゃんと登録しておくよ。じゃ、僕が仕事の空きが出来たら、前もって電話するね!」
「うん、待ってるわ」
笑顔で、そういうに僕はまたも胸がときめいた。
可愛いなぁ…!それに…やった!の携帯番号Getだ!もうの番号でアドレス機能を埋めたっていいよ!(同じ番号を何個も入れたって意味がないが)
僕は知らないうちにニヤニヤしていたらしい―
「リジー?何、ニヤニヤしてるのさ?気持ち悪いな…」
オーランドが訝しげに僕のニヤけた顔を覗き込んだ。
一瞬ドキっとしたが、「別に…。久々のニューヨークで少しワクワクしてるだけだよ?」と澄まして答えた。
「ふぅ~ん…。リジーは嬉しいんだ~」
と、オーランドは変な顔をしながらも、また「あ~僕は行きたくないよ…」と呟いている。
僕は心の中で、今度こそ、邪魔者(オーリー)がいないとこで、に告白が出来るかもしれない…と、
すでに心はニューヨークへと飛んでいたのだった…。
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