Catch me if you can.......~A
real love ?... or... fake love?...~
「愛してるよ……」
そう囁かれて思わず胸が高鳴る。
深く口付けられると体が震える。
熱い吐息を肌に感じ、私の体が宙に浮くような感覚となり、また甘い刺激に襲われる…
そして奇麗な瞳に吸い込まれ、私はレオの腕の中で溺れてゆく…
ほんのわずかな隙間を埋めるかのようにレオは何度も愛を囁く。
私は、その声を聞く度に嬉しさで心が震え、同時に胸の痛みにも襲われた…
ACT.12...略奪愛
私は、そのホテルの部屋に入ると目を丸くして驚いた。
「う…わぁ…凄い…」
「気に入った?」
レオが私の頬にキスをしながら微笑んだ。
「いい眺めだろ?」
「う、うん…凄く奇麗…」
私は窓の外から見える景色に笑顔になった。
このウエスティン・ピーチツリー・プラザホテルは円筒形になっていて、アメリカのホテルとしては最高の高さを誇っている。
客室にはコーヒーメーカーまでが設備されており、バスルームは5人は軽く入れるんじゃないかというほどの広さだ。
「ここ、フィットネスセンターとかもあるし暇な時は色々と見てまわれるよ?プールもあるしね」
「一階にはショッピングアーケードも入ってるのね?凄いなぁ…。でも、これなら私一人でも時間潰せそう」
私が笑いながら、これまたベッド?と聞きたくなるような大きさのソファーに腰をかけた。
するとレオは私の隣に座り軽く抱きしめてくる。
「一人になんてしないよ?は俺とずっと一緒に行動するんだからさ」
「え…でも…撮影だってあるし…ロケだってあるんでしょ?一日はニューヨークでも撮影があるってさっきマネージャーさんも…」
「ああ、それだっても一緒だよ?もちろん」
「え?!わ、私もニューヨークに行くの…?!」
私が驚いて聞き返すと、レオは少し体を離した。
何だか少し顔が怖い。
「な、何?」
「は一緒に行きたくないの?」
「え?」
「俺と離れて、ここで待ってるつもり?」
「だ、だって…。一日で戻ってくるって言うし…なら…」
私が慌てて、そう言うとレオは、ふ~ん…と言って抱きしめていた腕を離すと面白くなさそうにテレビをつけた。
―このテレビでさえ、液晶で大スクリーン並みの大きさだ―
「レオ…?どうしたの?」
私は背中を向けてテレビのチャンネルを変えているレオに声をかけた。
「別に」
「別にって…怒ってるの?」
「怒ってない」
「嘘…何だか顔が怖いもん…」
「怒ってないって」
「嘘…怒ってるじゃない」
「…怒ってないって…っ」
レオは少しきつい口調で言うと私の方を見て少し溜息をついた。
「ごめん…ほんと怒ってないからさ?」
私はちょっとキツイ言い方をされて驚いたが何だかレオが悲しそうな顔で見つめてくるので心配になった。
「レオ…?どうしたの?私…何か気に触ること言っちゃった…?」
心配そうにレオの顔を覗き込めば、レオもやっと笑顔を見せてくれる。
私の頬に手を添えると優しくキスをして、「違うんだ。ごめん、俺が悪い」 と言った。
「え?何で?」
私はレオの瞳を見つめながら問い掛けた。
レオはちょっと苦笑すると私を抱き寄せ頭に口付けてくる。
「ちょっとした俺の我侭だからさ…?」
「我侭って…?」
レオの胸から顔を上げ、そう聞くとレオはふっと微笑んだ。
「俺は一秒でもと離れたくないんだけど…は、そうじゃないのかなって思っちゃって…。
ほんとガキみたいで自分で嫌になるよ…。今までこんな風に思った事ないから自分でもどうしたらいいのか分らないし…」
「レオ…」
レオの言葉に少し悲しくなったがその気持ちは嬉しかった。
「私だって…離れたくないよ?」
「え?」
私はレオの胸にもう一度顔を埋めると、
「でも…お仕事で来てるんだし…私がいると邪魔しちゃうと思うから。ずっと一緒にいれなくても我慢しようって思って…」
と今の自分の気持ちを話した。
「レオ…?」
私はレオが何も答えないので不安に思って顔をあげた。
すると急に強く抱きしめられ息苦しくなる。
「レ…オ…?苦しい…」
「あ…ご、ごめん…っ」
レオは慌てて力を緩めると、もう一度、「ごめんね?」 と言って私の顔を覗き込んだ。
「ううん…大丈夫」
私がちょっと笑いながらそう言うとレオは額に優しくキスをしてくれた。
そして私の頬を両手で包むと、「が…邪魔になんてなるはずないよ?」 と言って愛しそうに見つめる。
「で、でも、やっぱり…」
「俺が傍にいて欲しいんだ…」
「レオ…」
優しい瞳で見つめながらそう言うレオに、私は胸が熱くなった。
「ジョーにもだけど、監督とかにも、の事は話してあるしね?快くOKしてくれたよ?」
「え…っ?!監督って…ス、スピルバーグでしょう?!か、彼に話したって…私の事を?!」
私は驚きのあまり、レオからバっと離れてしまった。
レオもまた、そんな私を見て驚きのあまり目をまんまるくしている。
「え…え?!話しちゃダメだった?!」
「え?あの…そう…言うんじゃなくて…。だって私…スピルバーグの作品、殆ど見てるくらい彼のファンだから…
ちょっと…いえ…かなり驚いちゃって…」
ドキドキする胸を抑えつつそう言うとレオはちょっと笑いながら、「何だ、そっか…。、彼のファンだったんだ」 と微笑んだ。
「うん…デビュー作から見てる…。だ、だって大物じゃない…。今回のこの映画の監督って知った時も凄い驚いたし…」
「何だ、そうなら早く言ってくれればいいのに。じゃあ、明日にでも招介するよ。
彼は昨日から先に入ってロケ現場の下見をしてると思うしさ」
「え?!で、で、でも…だって世界のスピルバーグだよ?そんな招介って言われても…緊張しちゃう…
只でさえ、トム・ハンクスに会えて緊張してるのに…」
顔を赤くしてそう言う私にレオは笑いながら
「さっき、凄い顔真っ赤だったもんな?でもトムだってに会いたがってし…態度見て分ったろ?
トムの奴、を見た途端、凄く緊張してたと言うか…照れてたよ?」
「え?嘘…。あのトム・ハンクスが?私と会って何で照れるの?」
私が驚いて聞き返すと、レオが私の腕を引っ張ってまた腕の中に納める。
「それはが可愛いからだろ?トビーだって言ってたじゃん」
「そ、それは社交辞令というか…ジョークじゃないの…」
私が苦笑するとレオは少し体を放し、私の顔を覗き込んだ。
「あ~あ…って鈍感だよね?」
「な、何よ…っ。鈍感って…」
「トビーの奴は半分本気で言ってたの!あいつも節操ないからなぁ…。人の恋人でも気にしないと言うか、あっけらかーんとしてるというか」
「な、何言って…」
「でもは渡さないよ?俺だけのものにしたい…」
「レオ…」
レオは急に真剣な顔で、そう言うと私の頬にキスをした。
私はその言葉が痛くて視線を合わせられない。
それを察したのか、レオは私の体を解放すると、「まだ夜の7時だし…どっか食事にでも行こうか?」 と言って微笑んだ。
「え?で、でも…。一緒に食事になんて出れない…」
私は立ち上がってコーヒーを入れにポットのところまで歩いて行った。
「え?何で一緒に食事に出れないの?」
レオが不満そうに聞いてくる。
私はカップにコーヒーを入れながら苦笑すると、
「だって…レオナルド・ディカプリオが女の子と二人で食事してたら騒がれるでしょ?」
と言ってレオの前にコーヒーカップを置いた。
「…俺は気にしないって言ったろ?」
レオは隣に座った私を横目に、そう言うと頭を抱き寄せる。
「それとも…が気になるの?」
「だって…また雑誌に載っちゃったら…」
私がそう言うと、レオはちょっと溜息をついた。
「分った。じゃ、ルームサービスでも取ろう…」
「ごめんなさい…」
思わず謝ると、レオも少し首を振って微笑んでくれた。
「俺は良くても…は一般の人だからね…。マスコミに追われるハメになったら可愛そうだし…。それに…」
「え?」
「何でもない。じゃ、何頼もうか?」
レオは、ニッコリ微笑むとルームサービスのメニューを取りに行った。
私は今、レオが言おうとしたことが何となく分った気がして胸が痛んだ。
きっと…私がレオと一緒にアトランタに来てたと記事になれば…ダニーにもバレるし…そう言いたかったんじゃないか…
確かに嘘をついてきてるのに、雑誌になんて載ってしまったら全てがバレてしまう。
私はそれが嫌だった。
自分で話す前に、マスコミのせいでダニーに全てバレるのだけは避けたい。
やっぱり…レオのこと、婚約破棄のことは自分の口から、きちんと彼に会って話したかった。
そう…私は…今、レオを愛しているとハッキリ実感していた。
ダニーとの結婚は出来ないくらいに…
最初は私も、レオも、只の気まぐれなのかもしれない…とか色々と考えたりしたけど…
レオの私への情熱的な態度は衰えることなく、逆に日を追うにつれて、もっと深くなっていってる気がした。
どうしよう…
私…もうダニーとは一緒にいられない。
結婚も出来ない…
私は…レオと一緒にいたい。
でも…
別にレオに、"ダニーと別れて?"と、ハッキリ言われたわけじゃない…
"ずっと一緒にいたい"とか…そういう事は言ってくれるけど…
前は"結婚なんてしないで…"と言ってくれた事があったけど…最近じゃ、あまりダニーの話をしなくなっている。
もし…私がダニ―と婚約破棄なんてしたら…レオには重荷になるのかな…なんて事を、ふと考えてしまう。
私にとってレオは初めての人だけど…レオにとったら私は今までいた恋人の中の一人に過ぎないだろうし、
あんな関係になったからって別にどうって事はないのかも…
私とダニーが付き合ったまま、今の関係を続けていく方が良かったりするのかな…
って何を考えてるんだろ…
私…レオの事を信じてないの?
って信じるも何も、その前に何も言われてないし何も言われてないのに婚約破棄なんてしたら…レオは、どう思うんだろう…
ちょっと…怖い。
「…?」
「え?!」
いつの間にかレオが隣に戻って来ていて私はドキっとした。
「どうしたの?何だか…ボーっとして…疲れちゃった?」
「う、ううん…。大丈夫…」
何とか笑顔を作ったがレオはまだ心配そうな顔で見つめてくる。
私はなるべく明るく微笑むとレオが持っているルームサービスのメニューを、パっと取った。
「お腹すいちゃったね?レオは何食べる?」
「え?あ…俺は…と同じものがいいかな?」
レオはそう言いながら私を抱き寄せ後ろから抱きしめてきた。
そのまま私の肩に顎を乗せると、「は?何がいいの?」 と訊いてくる。
「えっとね~。私は…このイタリアンのセットがいいかなぁ?」
「じゃ、それにしよう。ワインも飲むだろ?」
「うん。飲んじゃおうかな?」
私はちょっと笑いながらメニューを閉じた。
レオは、すぐ電話をかけに歩いていく。
その瞬間、私の顔から笑顔が消える。
私はレオの後姿を見ながら、"レオは何故…婚約破棄してくれ"と言わないんだろう…と思っていた―
アトランタ国際空港近くに機材を乗せたシャトルと撮影用トレーラーを止めて撮影隊は忙しく動き回っていた。
エキストラの動きを細かくチェックしながら一人一人に監督が指導していく。
その間、俺は出番がないので自分のトレーラーで時間まで寛いでいた。
「、いつまで見てるの?」
「だって…」
はそこで言葉を切ると窓から顔を出しジィっと撮影隊の方を見たまま。
かれこれ30分は、その状態だ。
俺は読んでた台本を設置されているテーブルの上に、ポンと放り、の方まで行くと後ろから優しく抱きしめた。
「わ…レオ?」
「もう…あんなの見てて面白い?」
俺が苦笑交じりで、そう聞くとは笑顔で俺の方を少しだけ見上げた。
「面白いよ?だって…映画を作る過程を見られるなんて滅多にないし!」
「そっか。まあ…初めて見る人には面白いのかもな」
「うん、すごーく楽しいっ。あんな風にレオの映画が作られていくんだなぁって…」
そう言って本当に嬉しそうに微笑むが可愛くて俺はを自分の方に向かせると、頬に軽くキスをした。
「ちょ、レオ…外から見えるよ…」
「いいよ。皆も今朝紹介して、の事は知ってるんだから」
「で、でも…皆だって驚いた顔してたよ…?」
「それはが可愛いからだよ?」
「な…何言ってるのよ
そう言うと真っ赤な顔で俯いてしまうに俺は苦笑した。
そう…確かに、スタッフや共演者の皆は、俺がを紹介した時、驚いた顔をした。
俺が仕事場に女性同伴で来たことはなかったし、まあ、が一般の子だったからってのもあるだろう。
それに俺はティナと付き合ってると思ってる人もいたらしい。
それでも皆はすぐに笑顔で挨拶をしてくれた。
が緊張していたからか、気遣ってくれて俺も嬉しかった。
あんなにの事を好きな俺が信じられないといった顔をしていたジョーでさえ、
昨日アトランタに移動する際、久々にに会わせたらすっかり気に入ってしまったくらいだ。
「いやぁ~、あんなに可愛かったっけ?俺、怖いイメージしかなかったしあの時はまともに顔なんて見れなかったからなぁ…」
なんて言って頭をかいていた。
でも、「彼女、婚約破棄したのか?婚約者いただろ?別れたのか?」 と聞かれた時は俺も何と言っていいのか分からなかった。
まだ…その話をとしていないからだ。
とこうなってからまだ4日ほどしか経ってない。
それなのに、すぐ婚約を破棄してくれとは言いづらかった。
いや…言うのが怖かった…。
あんな関係になったからと言って…が婚約者を捨てて俺のところへ来てくれるという保証もないし、
それに…彼女もその話をしてこない。
もしかして…すでに婚約破棄するには難しい状況なのかもしれないとさえ思った。
は…俺との関係をどう思ってるんだろう?
今のままじゃ恋人同士とも呼べない儚い関係のように思えてくる。
俺との事をマスコミに知れるのも嫌みたいだし…ダニーにバレたくないと思ってるのだろうか…
そんな風に思うと胸が凄く痛んだ。
いっそ…あいつと別れてくれと言ってしまえれば…
でもそれはが決める事だ。
俺が言う事じゃない…
どっちをとるか選ぶのは…だ。
「オ…?レオったら!」
「え?な、何?」
「どうしたの?ボーっとしちゃって…眠いの?」
心配そうに首を傾げて俺を見あげて来るが可愛くて俺はギュっと力強く抱きしめた。
「ああ、ちょっと…。 ―昨夜、があんまり激しいからさ?」
「………っ!!」
俺がそう言って笑うとが真っ赤な顔で俺の腕の中から逃げ出そうと暴れ出した。
「――な、何言って…っ。私は…っ」
「ああ、ごめん、ごめん。それは俺だったっけ?」
「…っ! ―も、もぉー…!!レオ…?!」
俺がそっと顔を覗き込むと案の定、真っ赤な顔で俺から視線を反らしている。
それを見てると愛しさが込み上げてきての顎を静かに持ち上げ優しく唇を塞いだ。
「んん…っ?」
ちょっと暴れたものの、少しづつ口付けを深くすれば、大人しく俺の腕に凭れかかってくる。
俺はそのまま唇を離すと耳から頬へ移動し、そして首筋に唇を這わせた。
「ひゃ…っちょ、ちょっと…レオ…?」
「ん…何?」
「や…やめて…?」
「どうして?」
「だ、だって…人が…」
「まだ来ないよ…」
の声を聞きながら首筋から顎、頬と唇を這わせ、最後に、もう一度、やんわりと唇を塞ぐ。
「んぅ……っ?」
そのままの唇を軽く舐めれば驚いたように口を開き、俺はその隙間から舌を忍ばせ、奥に隠れているの小さな舌に絡める。
そして軽く吸い上げると彼女の長く奇麗な睫毛がピクっと動き体が震えるのが分った。
「…ん…っ」
の甘い声が鼻から洩れるのを聞くと少し体が熱くなってきて今度は強く吸い上げる。
すると小さな手が俺の胸元をぎゅぅっと掴んできた。
そろそろ、やめないとまずいかも…
このままソファーに押し倒しちゃいそうだ…
頭ではそう思うのに手が勝手に強くの腰を抱き寄せてしまう。
「ん…レ…オ…」
かすかな隙間から俺の名を呼ぶ可愛い声に俺の理性が飛びそうになったその時―
急にドアをノックされてそこで唇をゆっくりと解放した。
「ん……?」
俺の腕に凭れたまま、ほわんとした顔で瞳を開けたをシッカリ抱きとめる。
頬を少し赤く染めて、これがまた可愛いから今すぐベッドに連れ込みたいと思ったがが急にハッとした顔で腕から逃げ出した。
「あ…。何で逃げるの?」
「だ、だって…だ、誰か来たよね…?」
恥ずかしそうに上目遣いで俺を見上げるが可愛くて最後に軽くチュっと口付けをした。
「多分、メイクのダンだよ」
俺がそう言うと、ドアが再びノックされ、ダンのおどけた声が聞こえた。
「レオ~?もう入っても大丈夫~?服は来たか~い?」
その声には真っ赤になり、俺は苦笑しながらドアを開けに行った。
「うるさいぞ?ダン」
「アハハ。ラブシーンやるなら窓閉めてからにしろよ?」
「あ、見えてた?」
「バッチリね?」
ダンは笑いながらメイクボックスを鏡の前のテーブルに置くと、ますます真っ赤な顔で俯いてるを見た。
「ありゃりゃ…俺、悪いこと言っちゃった?」
「はシャイだから、お前も変なこと言うなよ?」
俺は苦笑しながらの頭を撫でた。
「大丈夫?」
「え?あ…大丈夫…」
「俺、今からヘアメイクしてもらうから待っててね?」
そう言っての真っ赤な頬にチュっとキスをした。
はそれさえ恥ずかしいのか慌てて離れると後ろのソファーに座り近くにあった雑誌を読み出した。
それを見ていたダンが笑いながら俺の肩をポンと叩いた。
「アハハ、逃げられたな?」
「うるさいよ。ダンがいるからだろ?」
「へいへい。さ、サッサと始めるぞ?」
「OK」
俺は鏡の前に座り、「じゃ、フランクになるかな」 と呟き目を閉じた。
「さ、出来上がりっと」
ダンがブラシを置いて満足そうに鏡の中の俺を見ている。
「じゃ、衣装に着替えておいて?」
「ああ」
ダンはメイクボックスを、「よいしょっ」と持ち上げると、今まで大人しく雑誌を読んでたの方を見て
「じゃ、ちゃん。レオとキスする時は髪を触らないようにしてね?」
とおどけた顔で言った。
「えっ?!」
「おい。ダン…っ。あまりをからかうなよ…」
「アハハ~ほんと真っ赤になるな?可愛いんだから!今までの彼女とは大違い…っとごめん」
ダンは慌てて口を抑えると俺の雷が落ちる前にトレーラーから飛び出して行った。
俺はちょっと溜息をつくとの隣に座って肩を抱き寄せ、「気にするなよ?」 と頬に口付ける。
はちょっと微笑んで首を振った。
「気にしてないよ?」
「えぇ~?少しは気にして欲しいな…」
それには俺も少し不満げに微笑むとは驚いた顔ですぐ頬を赤くする。
そんなが可愛くて、ついまた変な気分になるのを何とか堪えて額にキスをするので我慢しておいた。
「さて、と。じゃあ偽パイロットになってくるかな?」
そう言って今まで着ていたバスローブを脱ごうとすると、いきなりが、
「キャ…急に脱がないで…!」
と言って顔を伏せてしまった。
「え?あ、ああ…ごめんっ」
俺まで何だか照れくさくなり慌てて着なおすと、着替えが出来るスペースに行って設置されたカーテンを閉める。
はぁ…何だか調子が狂うよ…
普段の現場なんて着替える前はこうしてバスローブで出番待ちしているし、女性スタッフの前でも平気でウロウロして
そのまま出番が近づいて来たら着替えるってパターンだったからなぁ…
は未だ、俺が目の前で着替えようとしたり裸でいる事を極端に恥ずかしがる。
も、また俺の前では決して着替えたりしないし、化粧もしない。
ましてや、お風呂上りにも裸でうろつく事もない。
今までの彼女は体の関係を持つとそうなる前の恥じらいが一気になくなり、俺の目の前で平気で着替えたり化粧したり、
風呂上りに全裸で出てきて逆に俺が驚かされることもあった。
でも慣れてきたり、他の女性も同じだったりすると俺もこんなもんなのかなと当たり前のように思ってきた。
けど…と出逢って何度も新鮮な気持ちになったし気づかされた事もいっぱいあったけど、
こうなってからも、まだたびたび驚かされることが多い。
本来、女性っていうのはこういうものなのかな…と思い出させてくれる。
俺はそんな事を考えつつ、パイロットの衣装に着替え最後にシッカリと帽子をかぶった。
そのままカーテンを開けて、「?終ったよ?」 と声をかけると、雑誌を読んでいたが顔を上げ瞳を見開いた。
「わ…ぁ…レオ・…じゃないみたい…」
はポカンとした顔で俺を見て、そう呟く。
俺はちょっと苦笑すると、の隣へ座って軽く頬にキスをした。
「そう?どこから見てもパイロットに見える?」
「うん…。 ―凄く…」
「凄く…?」
「あの…カッ…」
「え?」
「……カッコイイ…」
真っ赤な顔で、そう呟き下を向いたに俺まで思わず照れてしまった。
自分で顔が赤くなったのが分る。
それでも嬉しくて、をギュっと抱きしめた。
するとがクスっと笑った。
「ん?何?」
「ううん。格好はパイロットさんなんだけど…匂いはレオだなぁって思って…」
「え?匂い? ―ああ…香水?」
「うん」
そう頷き顔を上げたの唇にチュっとキスをすれば、またも頬を赤くしてしまうを本当に愛しいと感じる。
その時、ドアがノックされスタッフが、「そろそろ始まりますので」 と外から声をかけてくる。
「今行くよ」
そう答えてすぐ立ち上がるとの腕を引っ張った。
「え…?レオ?」
「もおいで?今から空港内を歩くシーンの撮りなんだ」
「え…いいの?見てても…」
「もちろん!カメラの後ろで見てればいいよ」
そう言って、もう一度チュっと唇に口付ければ少し照れたように、でも嬉しそうにが微笑んだ。
「何だか…パイロットの格好だから…恥ずかしい…」
「え?そう?」
「うん…」
その言葉に俺はちょっと笑うと、「はいつも恥ずかしがるだろ?」 と言って屈むともう一度今度は優しく唇を塞いだ。
「ん…レオ…早く行かないと…」
俺の胸を押してそう言うに、「ん…もう一回だけ…」 と言って、また唇を重ねる。
そして離す寸前にの下唇を軽く噛み、ゆっくりと離した。
はやっぱり顔を赤くして、すぐ俯いてしまったが俺はちょっと笑いながら彼女の手を引いてトレーラーを出た。
「よぉ。レオ!ハニーと同伴出勤かい?」
「まぁね!」
忙しく動き回る小道具係のスタッフ達から冷やかしの声がかり、俺も笑いながらそれに答える。
だけは今でも恥ずかしそうに下を向いたまま必死に俺の手をギュっと掴んでくるが、それもまた可愛いし愛しい。
道路を渡り空港の方に歩いて行く途中、一般の人は俺を本物のパイロットと思ったようで、
子供なんかは、「わぁ~ママ、パイロットだ。カッコイイね~」 なんて言ってるのが聞こえてくる。
それを聞いて俺とは顔を見合わせ、ちょっと笑った。
「おお、レオ。準備はいいか?」
撮影隊がスタンバイしてる場所まで歩いて行くとスピルバーグが笑顔で声をかけてきた。
俺はと手を繋いだまま彼の元へ歩いて行く。
「はい。すぐでも大丈夫ですよ?」
「そうか。ああ、ちゃんもいるしパワー補給したか?」
スピルバーグは笑いながら俺の肩をポンと叩いた。
「ま、そうですね?」
俺も笑いながら答えるとは恥ずかしそうに手を離した。
「おやおや…。レオのハニーは、また随分とシャイなんだね?」
「そこが可愛いんですよ、監督」
「おぉっと…。これは、これは、ご馳走様!」
俺と監督の会話にの顔がますます赤くなってしまった。
「あ、、ここで見ててね?動いちゃダメだよ?」
「うん。分った」
素直に頷くが可愛くて、俺は最後に唇にチュっと口付けるとは口をぱくぱくさせて周りをキョロキョロと見渡している。
きっと監督やスタッフの目が気になり、恥ずかしいのだろう。
「こらこら、レオ…っ。キスシーンはまだ早いぞ?今日は、そんな予定は入れてない」
スピルバーグは苦笑しながら台本で俺の頭をコツンとこづいた。
俺も苦笑しながら、
「はいはい。じゃ、スタンバイしてきますよ?あ、俺のハニーがどこにも行かないように見張ってて下さいね?」
「おい、俺は、お前を見張ってないといけないんだぞ?」
「アハハ。そうでしたね? ―じゃ、、そこで見ててね?」
俺が歩きながらの方に振り返ると笑顔で手を振ってくれた。
俺も軽く手を上げるとエキストラがスタンバってる場所まで走って行く。
動きの確認をして、助監督から話を聞きながら、俺はフランクと言う一人の青年になるのに頭を切り換えた。
「はぁ。遅いランチになったな?」
「まぁね~。あんなに人が集まってきちゃ撮りづらい」
俺は笑いながらメニューを広げるとの前に差し出し、「は何食べる?」 と聞いた。
今は午前の撮影が何とか終り、遅いランチをとるべく近くのレストランに来ていた。
二人じゃも外で食事をしてくれないと思い、午後から一緒に撮影に入るトムも誘ってみた。
トムは喜んでついてきたのだが、はトムも一緒で何だか緊張しているようだ。
「えっと…私は…ペペロンチーノにするわ?」
「じゃあ、俺もそれ」
「え?同じのでいいの?」
が首を傾げて聞いてくるのを俺はちょっと笑って、
「だって、ペペロンチーノはガーリックが入ってるからね?二人で食べれば気にならないだろ?」
「え?何が…?」
一瞬キョトンとしたの耳元に、俺は口を近づけて、「キスする時」 と囁いた。
「な、何言って…っ」
途端に真っ赤な顔で俯くを見てトムも苦笑した。
「おい、レオ!お前、彼女がシャイなの知ってて、わざとからかってないか?」
「そんな事ないけど…でも、少しあるかな?だって可愛いんだよ、見てて分るだろ?」
「はいはいっ。スピルバーグも言ってたけど、ほんと、お前のハニーは可愛いよ」
トムは笑いながらメニューを広げた。
は可愛いと言われてますます下を向いてしまう。
「?何か飲み物は?コーヒー?紅茶?」
「え?あ、あの…紅茶…にする。あの…シナモンティー?」
「じゃあ、俺はコーヒーブラックで。トムは決まった?」
「え~っと…じゃあ、俺はステーキセットに、サラダ…とカプチーノにしようかな?」
「うぇ。よく食うね?」
俺が笑うとトムは、「午後の撮影の為に力つけないとね?」 と肩をすくめた。
「は?他にはいらないの?」
「え?そんな食べられないわ?」
「そう?、あまり食が太くないしな…。でも細すぎだよ?もっと食べないと…」
「え…?い、嫌よ…太っちゃうし…」
「は少しくらい太ったって可愛いよ?それに今だと細いから折れそうだしさ?強く抱くと」
「ぶほっ…」
俺の何気ない一言に向かいで水を飲んでいたトムが思い切り咽ている。
「ちょ…レオ…変なこと言わないで…っ」
それを見たは慌てて自分のハンカチをトムに渡して、「あの…これで拭いて下さい」 と恥ずかしそうに微笑んだ。
その笑顔にトムは何だか顔を赤くしている。
「あ、ああ…ありがとう。悪いね?新しいのを買って返すから」
「え?!い、いえ…そんなこといいですから」
は驚いた顔で両手を出して、ぶんぶんと振っている。
俺はそれを見て笑いながら注文を取りにきたウエイトレスに皆の料理を告げた。
「ったく…レオは本当に…」
ブツブツ言いながら濡れた服を拭いているトムに、「え?俺が何?」 と聞いた。
「だから、お前は本当に幸せな奴だって言ったんだよ」
「え?」
「こんな可愛い子を捕まえて…大事にしろよ?彼女は一般の子なんだから、お前が守れ」
いつになく真面目な顔でそう言うトムに俺は笑顔になった。
「ああ。分ってる」
「なら、いい。他の女に目がいったら俺が天誅を下してやる」
「何だよ、それ?俺が他の女に目が行くと思ってるの?」
「お前に、その気がなくても…周りからどんな誘惑がくるか分らないからな?」
苦笑しながら言うトムを俺は少し睨むと、「ちょっと…の前で変なこと言うなって」 と言っての肩を抱き寄せた。
「ああ、悪い。ごめんな?ちゃん、例えばの話だから…それに俺が見張っておくから安心してていいよ?」
「え?あ、あの…はぁ…」
いきなり、そう言われては頬を赤くした。
そして肩を抱く俺の手を離すと、「ひ、人が見てるから…」 と言って周りを気にするようにキョロキョロとしている。
「あ、ごめん」
俺は少し悲しくなったが確かに周りの客からの視線を感じから少し離れた。
まぁ…俺とトムが一緒に食事してるのでも目立つのに、そこにがいて俺とイチャイチャしてたら、
ますます興味半分で見て来るのは当然だろうけど…
何だか、この場で叫びたい気分だよ…
俺はを愛してるってさ…
その後は料理も運ばれて来て、3人で楽しく話しながら午後の撮影が始まるのを待った。
気付けばレストランの中には、うちのクルーばかりになっていて、少し気持ちも楽になる。
「レオ…あの…手…」
「え?」
「手…離して…?腰の…」
「あ、ああ…。ごめん…って、でも、もう一般の客は周りにいないよ?皆、うちのスタッフだしさ?」
「で、でも…」
俺達のテーブルの周りから一般客が消え、うちのスタッフだけになったから俺はさっきから話してる間、の腰を抱き寄せていた。
それが恥ずかしいのか、はもぞもぞと動いて顔を赤くしている。
「おい、レオ…離してやれよ。可愛そうに…真っ赤になってるだろ?」
トムが苦笑しながら食後のコーヒーを飲んでいる。
俺は渋々、手をどけるとはホっとした顔でシナモンティーを飲みだした。
それを見ていて俺は複雑な気持ちになる。
(照れるは凄く可愛くて好きなんだけど、ちょっと寂しいかも…)
「さ、そろそろ午後の撮影の準備をしないとな?行くか?」
「あ、そうだね。じゃ、行こうか?」
「あ、うん」
俺達は支払いを済ませ、空港近くまで歩いて戻った。
と手を繋ぎたかったが、次々に道行く人から声をかけられ握手を求められる。
トムも同様で笑顔で握手をしながら、ちゃっかり、「映画見てね」 と宣伝までしていて俺は思わず笑ってしまった。
は少し離れてついてきていて俺は握手をしながらもそっちが気になってチラチラと見ていると、
何だか若い男二人に、声をかけられている。
「あ、あの…私は違うんです…」
が必死になって、その男たちに何か言ってるのが聞こえた。
「え?でも…撮影に来てるんだろ?女優じゃないの?だってスタッフじゃないだろ?」
「なぁ?凄く可愛いし。握手してよ」
「だ、だから私は…」
何と俺達と歩いてたからか、までが女優と見られたのか握手を求められている。
俺はファンサービスをトムに任せると(!)の方に歩いて行った。
「?行くよ?」
「あ…レオ…」
がホっとした顔で俺の方にパタパタとかけて来た。
俺はの肩を抱くとぽかんと見ているその男達をチラっと軽く見て
「彼女は普通の人だから…悪いね?」
と、なるべく優しく言った。
「うわぁ…レオナルド・ディカプリオに話し掛けられちゃったよっ」
「すげーカッコイイ~!あ、あの…握手して下さい!俺、ファンなんですよっ」
「え?」
いきなり今度は俺に握手を求めてきて驚いた。
「タイタニックもビーチも凄く良かったです!今度公開するギャング・オブ・ザニューヨークも絶対見ます」
「あ、ああ…ありがとう…」
俺は唖然としながらも男二人と握手をした。
「うわ~握手しちゃったよ、やべ~俺、手洗えないし!やっぱ本物はカッコイイなぁっ」
「ほんと、俺、彼女に自慢しちゃおう!」
二人は俺に、お礼を言うとそんな事を叫びながら二人で喜んでいる。
俺は何だか照れくさくなり頭をかきながら、ふとを見るとはニコニコしながら俺を見上げてた。
「な、何?」
「ううん。やっぱりレオは人気があるなぁって思って」
「そ、そう?」
「うん。だって女性からだけじゃなくて、男の子達にまで騒がれるんだもの」
俺は顔が赤くなり視線を反らした。
すると前を歩いて握手サービスをしていたトムが、「お~い!行くぞ?」 と声をかけてくる。
「ああ。じゃ、戻ろう?」
「うん」
俺の言葉には笑顔で頷くと、また少し離れて歩き出す。
気を使ってると分るけどそれがまた寂しいと感じ、俺はちょっと溜息をついた。
何だか俺達って…周りは認めてるけど、本当は恋人同士じゃないって感じだよな…
一緒にいれるのは凄く幸せなのに…
やっぱり俺だけのものじゃないと心のどこかで不安に思ってるからかちょっとした事が辛くなる。
は…あいつと別れる気はないのだろうか…
その事だけが頭の中に浮かんでは胸を痛くさせた…。
午後の撮影時も、俺はを連れて現場に行った。
午後からはパイロットの格好ではなく、60年代の服を着て車に乗り込み、空港で待ち合わせた彼女を待つというシーン。
さっきと同じように、をカメラの後ろにいるように告げて撮影に及んだ。
最後の撮りも一発OKが出て俺は息をつくと急いで監督の元に行き、今撮ったばかりのシーンを確認して、
監督からも最終的にOKが出てホっとした。
これで今日の外での撮影は終りだ。
あとは借りたスタジオでワンシーンを撮るだけだった。
俺はスピルバーグとその話をしながら、ふとが近くにいない事に気付いた。
「あれ?監督…は?ここにいたでしょう?」
「ん?ああ、君のハニーか?さっきダンが連れていっちまったよ?」
「はあ?!ど、どこに?!」
俺は焦って思わずスピルバーグの肩を掴んで揺さぶってしまった。
スピルバーグは驚いた顔で目を白黒させながら、
「わ、私は君を見ていたんだから…どこに行ったかまでは…」
と言ったの聞いて俺はすぐに走り出した。
「お、おい?!レオ?!」
後ろから彼の声が聞こえるが俺には今はが心配だった。
(ダンの奴!に何かしたら、ただじゃおかない…っ!)
俺は色々なスタッフを捕まえてとダンを見かけたかと聞いてまわった。
すると一人小道具のチーフマネージャーのスティーヴが、
「ああ、二人なら…お前のトレーラーの方に歩いて行ったけど?」
と教えてくれた。
「サンキュ!」
俺はお礼もそこそこに走り出し急いで自分のトレーラーへと向かう。
(俺のトレーラーだって?!あんな場所に連れ込んで何をする気だ?!)
俺は本気で心配になったと同時に、が他の男に…と思うだけで怒りで体が熱くなっていく。
一気に広い道路を渡るとすぐに自分のトレーラーが見えてきた。
俺は、そのまま勢いよくドアを開いて中へ飛び込んだ。
バンッ!!!!
「?!」
「キャ…!」
「うわっ!」
二人の驚きの声が聞こえる。
「おい、ダン、何して…っ!!!」
と、そこまで怒鳴って俺は言葉が途切れた。
「レオ…?」
驚いた表情で椅子から立ち上がったを見て、俺は思わず目をこする。
「え……? ―その格好…は?」
そう、目の前に立っているはさっきまでと違い、何だか髪をくるくると巻いてアップにされていて、
着ている服も何やら60年代風の可愛いオレンジ色のワンピースだった。
「ど、どうしたの…?それ…」
唖然とする俺にがちょっと微笑むと隣に立っているダンを見上げた。
するとダンがまだ驚いた顔で息を吐き出しつつ、
「はぁ~驚いた…。 ―あ、いやさ、撮りの直しをしてる時にちゃんが一人で退屈そうにしてたから
ちょっと話してたんだけど…彼女役の子の服装を見て、"60年代風のファッションって今だと新鮮で可愛いなぁ…"って言うから、
じゃあ、時間潰しにヘアメイクしてやろうか?って言ったんだ。んで衣装係のメアリーに聞いたら快く衣装まで貸してくれてさ?」
「え?じゃあ…」
「どう?似合うだろ?彼女!レオを驚かせてやろうと思って待ってたんだ。まさか鬼のような形相で飛び込んでくるとは思わなかったけどさ」
そう言ってダンが笑うと、は恥ずかしそうに、「レオ?あの…」 と俺の方へ歩いて来た。
俺は目の前のを見て胸がドキッとして、そのまま思わず強く抱きしめた。
「キャ…ッ」
「すっごい、可愛いよ、!すーごく似合う!」
俺はそう言っての脇の下を持って上に抱き上げた。
「わ…レオ?!」
「もう今すぐ押し倒したいくらい可愛いよ?」
「な、何言ってるの…っ」
俺が下から見上げそう言うと、はすぐに真っ赤な顔でジタバタと暴れ出す。
それを見ながらダンが苦笑した。
「おいおい…そのまま着ていっても構わないけど…脱がすならホテルに帰ってからにしてくれよ?」
「ああ、そうさせてもらうよ?」
俺が笑いながらそう言うとはさっき以上に顔を赤くして足をバタバタさせている。
「も、もう…変なこと言わないで…っ。お、下ろしてよ~…」
「はいはい。俺の腕の中に戻っておいで?」
そう言って彼女を下ろしギュっと抱きしめた。
ダンは何やら照れくさそうな顔で、
「衣装は明日、メアリーに返しておけよ? ―じゃ、またスタジオでな?」
と言ってトレーラーから出て行った。
「ああ、サンクス、ダン!」
俺はさっきまでの怒りなどすっかり消え去り笑顔でダンに声をかけた。
そして腕の中でモゾモゾと動いている愛しい温もりを少しだけ離すと、彼女の艶やかに光っている唇を優しく塞ぐ。
「ん…レ…オ…口紅…つい…ちゃうよ…?」
何度も触れては離す口付けの合い間に、が可愛い事を言ってくる。
苦笑して唇を離すと俺の唇についた口紅を、が指で拭ってくれた。
「グロスで光ってる…」
そう呟き微笑むにちょっと笑うと、口紅のついたの指をそっと口に含んだ。
「…レ、レオ…?!」
俺が指についた口紅を舐めると、の顔がだんだん赤くなっていくのが分る。
そのまま舌で指を愛撫するように舐めていくと、が恥ずかしいのか手を抜こうと力を入れるのを感じ、
仕方なく俺は最後にチュっと音を立てて指を吸い、ゆっくりと口から離した。
すでには耳まで真っ赤になっていて、俺はそのまま彼女をギュっと抱きしめた。
「ヤバ…俺…今、理性飛びそう…」
「……っ?!」
俺が苦笑しながらそう呟くとの体に力が入るのが分り、俺は抱きしめる力を強くした。
「あ、あの、レオ…?」
「今、すーごくを抱きたいよ…」
「な…っ何言ってんの…っ?!」
「ん~…ほんと我慢できそうにないかも…」
「え?ちょ、ちょっと…っ」
俺はをガバっと抱き上げて奥にあるソファーへと押し倒した。
「や…嘘でしょ…?レオ…?!」
「どうして?」
「だ、だって…こんなことで…ちょ…んン…っ」
俺は焦って逃げようとするの唇を強引に塞ぐと、無理やり舌を押し込んで口内を激しく愛撫した。
「んん~~…っっ」
さすがに抵抗するようにが暴れるのを俺は手で抑えて、の舌を思い切り吸い上げる。
「ン…んぁ…っ」
鼻から洩れるの甘い声も愛しくて、そのまま舌を絡ませもう一度今度は優しく吸い上げた。
の力が抜けてくるのが分り、俺はそのまま口内を味わうように愛撫を続け片手での足を撫でていく。
それにはも体を動かし抵抗した。
「ん…や…っ」
ぐっと俺の胸元を押してきた彼女に俺はちょっと苦笑して、そこで唇を解放した。
「ぷは…っな、な、何考えて…っ」
俺は彼女の腕を引っ張り抱き起こすと顔を真っ赤にして怒るの頬に軽くキスをした。
「嘘だよ?ちょっと驚かせちゃった?」
と言ってウインクした。
「んな…っ!何ですって~~?!もう~~!レオのバカ!」
ぐに…っ!
「ぃてて…っ。ご、ごめんってば…ぃたた…っ。だ、だって可愛いからさ?…ぃてて…」
思い切り頬をつねられ俺が何とか謝ると、はまだ少し怒った顔で、「もう知らないっ!」と、手を離しぷいっと顔を横に向けてしまった。
俺は頬を擦りながらの顔を覗き込んで、「ほんと…ごめんってば…。ねぇ…?」 と声をかける。
するとは顔を赤くしたまま、ちょっと俺の方を見て、「…っ。もう変なことしないでね?」 と唇を尖らせた。
俺はその言葉に思わず苦笑すると、「そんな…だってだって悪いよ?」 と肩をすくめた。
「な、何が?何で私が…」
そう言いかけるの唇を指で、ぷにっとつついた。
「そうやって唇を尖らせるとさ、男はキスしたくなるもんなんだよね…」
「――っ」
俺がそう言うとは慌てて口元を両手で抑えた。
「ぷっ…アハハ…っ。そ、そんな慌てて隠さなくても…酷いなぁ…」
俺は苦笑しながらを優しく抱きしめた。
「ごめんね?俺、やらしいよね?でもといるとどうしても触れたくなるし…キスしたくなるんだよ」
「レ、レオ…っ」
「あ~…そんな逃げようとすんなよ…。もう何もしないから…」
「……ほんと?」
「ほんと!」
俺はそう言っての顔を覗き込むと、「……ここではね?」 と付け足してニヤっと笑った。
その言葉に、はまた顔を赤くして怒り出したけど、そんな彼女も本当に可愛くて俺は本気で理性が危うくなった。
それを、ぐっと我慢して今は腕の中の温もりだけで満足させる。
でも…本当にダンと何もなくて良かった…
さっきの胸の痛みと言ったら…嫉妬の感情が一気に溢れてきて自分でも驚いた。
が他の男と二人きりで…と思うと心臓がバクバクいって息苦しかったよ…
俺は…こんな状態でをダニ―の元へ返せるのか?
絶対に無理だ…。
俺以外の男に……触れさせたくなんかない。
俺はこの時、の本当の気持ちを聞きたくなった。
は俺との事をどう思ってる?
あいつと別れる気はないの?
そう聞けば…彼女は何て答えてくれるんだろう?
俺はに自分の気持ちを…伝えたいと思った。
俺だけの…でいて欲しい。
望むのはそれだけ。
俺は彼女を…あいつから奪ってやると…この時、心の中で決心していた――
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ACT.13...告白>>
ちょっと久々なレオ様でした(笑)
今回ちょっと可愛いレオ様になっちゃった…^^;
これを書くのに【Catch me if
you
can!】のメーキングを見てたんですけど
いやー!!レオ様のバスローブ姿はヤバイ・…っ!(笑)
本当、すんごい色っぽい&カッコイイってばさっ(あ、鼻血…)(笑)
バスローブ姿でウロウロする姿にクラクラきちゃいました~vv
出番待ちでは、よく俳優さんたちもバスローブ着てたりするけど
レオ様もなのねぇ~うっふっふ…(怪)
あんな人が目の前にいたら、もう惚れるかもね?(笑)
メイクされてる顔も可愛かったです~v
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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