Catch me if you can.......~A
real love ?... or... fake love?...~
真っ直ぐに見つめて 息もできないほど
もっと もっと深く あなたへ堕ちてゆく…
ACT.14...心と体と…
私は頬に温もりを感じ目が覚めた。
「ん…レオ…?」
「おはよ、」
ゆっくり目を開け、体を横に向けるとレオの優しい瞳と目が合う。
「おはよ…レオ…」
そう言うと至近距離で見つめ合ってるのが照れくさくてレオの胸に顔を埋めた。
するとレオがギュっと抱きしめて私の頭に頬を摺り寄せてくる。
「どうしたの?…今朝は甘えんぼさんだね?」
「そ、そんなんじゃ…」
私はレオの言葉に恥ずかしくなり少し離れようとした。
けどレオは抱きしめる腕を緩めてはくれない。
それでもお互いに何も着てないので直接、肌が触れ合いドキっとして私は体を少し動かした。
すると今まで以上に強く抱きしめられる。
「ん…レオ…?」
「離れないで…」
レオは体を起こし私の上に覆い被さると上から優しい瞳で見つめてくる。
それだけで顔が赤くなり目を伏せると、レオは私の額と頬に、軽くキスをしてくれた。
「よく寝てたね…?」
「レオ…起きてたの…?」
「ううん…が起きる少し前に目が覚めた」
「そう…今…何時…?」
「今は…朝の6時になるとこ?」
「え?まだ、そんな時間…?」
「そうだよ?まだ寝る?今日は午後からで撮影も遅いし…」
「う…ん…まだちょっと眠いし…寝ようかな…?」
私がそう言うとレオは怪しく微笑んだ。
「俺が夕べ疲れさせちゃったかな…?」
「……な、何言って…っ。ち、違うもん…っ」
私は一気に顔が赤くなって視線を反らした。
レオはクスクス笑うと私の頬に口付け、「はすーぐ赤くなるし可愛い…」と言って今度は唇にチュっと軽くキスをした。
「か、可愛いって…レオ楽しんでるでしょ…」
少し口を尖らせて文句を言うと、レオは苦笑しながら私の肩のあたりに顔を埋めた。
「ほんと…は可愛いよ…。もう全部、可愛い…」
「………っ」
レオはそう呟くと顔を上げて本当に愛しいというような瞳で見つめるから、私は恥ずかしくて顔が赤くなり何も言葉が出てこない。
するとレオは私の首筋に口付けてきてそのままペロっと舐められた。
「ん…っ」
思わず体がビクっと反応してかすかに甘い声が洩れてしまう。
するとレオが顔を上げて私の顔を覗き込んだ。
「…そんな可愛い声出されたらまた襲いたくなっちゃうんだけど…」
「―――っっ」
レオの言葉に一瞬で顔が熱くなり私は慌てて横を向こうと体を動かした。
それをレオは許すはずもなく、抑えられまた上を向かされると唇を塞がれる。
「ん…ンっ」
私は驚いて手でレオの胸をグっと押してしまった。
「ん…?」
レオが少しスネた顔で私を見ている。
私は顔が赤いのが恥ずかしくて思わず視線を外してしまった。
「もう…はすぐ俺を拒むんだから…」
「こ、拒んでなんか…だって…」
「…俺とするの嫌?気持ちよくない?」
「……な、何言って……ッ」
私は朝からレオの過激発言に湯気が出そうなほど顔が熱くなったのが分った。
それでもレオは本気でスネてるのか上から避けて隣に横になると私の方へ体を向ける。
「だって…、いつも逃げようとするんだから…。俺だって心配になるよ…?」
レオはそう言って私の鼻先を指でつついた。
私は真っ赤な顔のまま首を小さく振ると、
「ち、違うもん…ただ…恥ずかしいのもあるし…」
「…あるし?」
「だから…その…」
何て言っていいのか分からず困っていると、レオは苦笑しながら私の頬にキスをしてくれた。
「もういいよ?分ったから…」
「…え?」
「がシャイなの分ってるし…」
「レオ…あの…ごめんなさい…」
「……? ――何で謝るの?」
レオはキョトンとした顔で私を見た。
「だ、だって…今まで付き合った人は…その…レオが…求めても…ちゃんと…あの…答えてくれたり…したんでしょ?」
「…ぇっ?!」
私は恥ずかしいのを何とか堪えてそう言うとレオも一気に頬を赤くして驚いている。
「…私…レオが…初めてだから…その…レオの前の恋人みたいに…きっと…じょ、上手じゃない…と思―」
「ちょ、ちょっと待って、?!ど、どうしたの?」
「…ぇ?」
レオはガバっと起き上がってまた私の上に覆い被さると赤い顔で見つめてくる。
私も恥ずかしい事を必死に説明したので、ますます顔が熱くなってきたが、「だ、だから…さっきの答え…」とだけ呟いた。
「え?さ、さっき?あ…ああ…っ。あれ…?」
「う、うん…」
私が頷くと、レオの顔も私と同じくらい赤くなった。
「レオ…?」
「あ、あのさっ。はそんなこと気にしなくていいから…っ」
「え?」
レオは凄く恥ずかしそうに私をチラチラ見ながらそう言った。
「でも…」
「で、でもじゃなくてっ。それに…前の恋人の事とか気にしないで?頼むから…」
「レオ…?怒ったの…?」
私は少し悲しくなって目の奥がジーンと熱くなるのを感じた。
それを見てレオは慌てて、
「お、怒ってないよ?!た、ただが変なこと言うから驚いちゃって…」
「へ、変なこと…って…だって…」
「あ、あのね?こういう事に上手いとか下手だとか関係ないんだ、俺は…」
「……ほんと?」
私は瞳に零れるくらいに涙が浮かんできたが必死にそう聞いた。
レオはそれに気付くと私の瞼に唇をつけて目を瞑った瞬間に零れ落ちた涙を掬ってくれる。
そして優しく微笑むと、「ほんと…!俺はだから抱きたいんだよ?」と言ってくれて私は恥ずかしくて目を伏せてしまった。
途端にさっきまで堪っていた涙がポロポロと零れてくる。
「…泣かないでよ…。ごめんね?俺が、そんなこと気にさせたんだろ?」
「う、ううん……そうじゃな…い…。た、ただ…私が…気になっただけ…」
私は必死に手の甲で涙を拭くとそう呟いた。
レオはその手を掴むと私の涙で濡れた頬にキスをして、「もぅ…は可愛すぎなんだよ…」と言って微笑んだ。
「ぇ…っ」
驚いてレオを見上げると凄く恥ずかしそうに、でも嬉しいって顔で微笑んでくれた。
「俺は…だから抱きたいって思うしキスしたいって思うんだ…。だから…そんなこと気にしないで…?」
レオはそう言って優しく私の唇を塞ぐと本当に優しく口付けくれる。
そしてゆっくり唇を離すと私の額に自分の額をつけて、「ずっと…気にしてた…?」と聞いてきた。
私は恥ずかしさもあり目を伏せて小さく頷くと、レオはちょっと微笑んで、
「ほんと…可愛すぎて愛しすぎて、時々食べたくなるよ…」
と呟き私の鼻をかぷっと軽く噛んだ。
「ひゃ…っ」
私は驚いて目を見開くとレオは真剣な顔で私を見つめた。
「愛してる…もうの丸ごと全部、俺のものになって欲しい…」
「レオ……」
「ずっと…俺の傍で笑っていて欲しいんだ」
私はその言葉に胸がドキンっとして、すぐにキューっと苦しくなった。
でもそれは嫌な苦しさじゃなくて嬉しいって気持ちが溢れてきたから…
こんな私を…レオは、これほどまでに愛してくれてる…
そう思うだけで胸が熱くなって彼への想いが溢れてくる。
だから…この先の事を思うと凄く辛くもなる。
でも、それを乗り越えないと…レオとの未来はないんだ。
そう決心して私は昨日ジョーから言われた事をレオに言うべく口を開いた――
「え?半年…?」
俺はからそう言われて一瞬で胸がギューっと潰されたかと思うほどに痛くなった。
「な…んで?どうして会えないの?」
頭が真っ白になってるはずなのに、ついそう聞いてる自分にも驚いた。
は悲しそうな顔をして俺を見ると、
「じゃないと…私の婚約解消の原因が…レオだって、マスコミに叩かれるから…」
「そんな…俺、そんなの気にしないって…!に会えない方が、よっぽど辛いよ!」
思わず大きな声を出してしまって、ハっとする。
が少し驚いたような顔をしたからだ。
「ごめん…大きな声出して…」
そう言うとはぶんぶんと首を振った。
俺は堪らずの腕を引っ張り起こすとギュっと強く抱きしめた。
の細い体が、かすかに震えていて更に胸が痛くなる。
「…レオ…お願…い…。そうしよ…?たった…半年だから…」
「…は俺に会えなくても平気?今だって…たった一日でも会えないと俺は辛いのに…」
「平気な訳ないじゃない…。私だって…辛いもん…っ。でも…この先ずっと会えなくなるのはもっと辛いから…」
「どうして?マスコミにバレたって…」
俺がそう言いかけるとが体を少しだけ離して俺を見上げてくる。
「私…嫌だ…。レオが私のせいでマスコミに叩かれるのを見るの…」
「、俺は―」
「お願い…。私が…婚約解消した後の半年は…我慢しよう…?私もその間に両親を説得するから…お願い…」
は必死にそう言ってきて俺は息苦しくなった。
彼女の言う事も分る。
でも…
「…彼は…素直に婚約解消してくれると思う?」
「…え?」
「もし…しないって言われたら?どうするの?」
「そ、それは…説得するし…それにダニーだって気持ちのない人と結婚するのは嫌だと思うよ…?」
「そうかな…」
「え?」
「もし…それでもいい、婚約解消はしないって言われたらどうする?」
「どうするって…何があっても…ダニーとは結婚しないわ?だって…もう彼のこと愛してないもの…」
そうキッパリ言ってくれて俺は少しだけホっとした。
「そっか…良かった…」
「レオ…だ、だから…あの…」
「わかった」
「え…?」
「会うの…我慢する…」
「ほんと…?」
「うん…。今、焦るより…これからの未来を大事にしたい。この先は長いんだしさ…」
俺がそう言うともやっと笑顔を見せてくれたが急に慌てて俺にしがみ付いてきて驚いた。
「?どうしたの?」
「あ、あの…ふ、布団とって…?」
「え?」
「な、何も着てないから恥ずかしいの…っ。離れると見えちゃうでしょ?」
本当に恥ずかしそうにそう言うが凄く可愛くて、俺はまた意地悪な気分になってしまった。
ちょっとの顔を覗き込み、
「だって…いつも見せてくれるだろ?俺が抱く時はさ…?」
「……レ、レオ…ッ」
恥ずかしいのか、はますます俺にしがみ付いてきて苦笑しながらも彼女の細い体を抱きしめた。
「レ、レオ…?あ、あの…早く取って…」
「や~だ」
「レオ…っ?」
「隠さなくていいよ?奇麗なんだから…」
「も、もぅ…っ。意地悪しないでよ…っ」
「俺が意地悪なの知ってるだろ?」
俺がクスクス笑いながらそう言うとは真っ赤な顔のまま頬を脹らませて顔を上げた。
その時、かすかにの胸元が目に入り、ドキっとする。
それにさっきから俺の胸に押し付けられる柔らかな感触…
互いに裸なのだからその感触もハッキリと感じられる。
これで欲情しなければ男じゃないだろう。
「レオってば…っ…・ンっ」
俺に文句を言いかけた唇を塞いでそのままをベッドへと押し倒した。
最初から深く口付け、舌を侵入させ優しく口内を愛撫すると少しづつの力も抜けて俺のされるがままの状態になった。
唇を解放し、首筋から胸元に舌を這わせ刺激を与えれば体も素直に反応する。
かすれた甘い声が遠くで聞こえ俺の耳を刺激して体が熱くなってきた。
唇を少しづつ下げて胸元にも刺激を与えればビクンっとの体が震えるように反応していく。
「ん…レ…オ…」
小さく俺の名前を呼ぶのを聞きながら俺はの体を求めていく。
の白い肌も薄っすらと紅潮していった。
それはあまりに艶やかで俺を誘うように肌が染まっていく。
互いの吐息を感じながら朦朧とする意識の中で…
を…この愛しい温もりを半年もの間、手放す事が出来るんだろうか…と少しだけ不安に思う。
こんなにもに溺れきっているから…例え一日でも彼女を手放すのが怖いと感じていた―
「え?半年?!」
トムは、さっきから聞いた時、俺もこんな顔をしてたんだろうなぁと思うような表情で俺を見た。
「ほんとか?そんなに会えないのか?」
「ああ…そう言われた…」
俺はトムの控室のソファーに腰をかけながら煙草に火をつけた。
「そっか…。そりゃ辛いな…?」
何故かトムまでが落ち込んだような顔で俺を見てくる。
「ああ…辛いってもんじゃないよ…。そんなに会えなかったら俺、ヤバイかも…」
「ヤバイって…?」
「うん…。俺さ…最近つくづくが傍にいないとダメだって思うんだよね…」
「どんな風に?」
「ん~…。どんな風にって…普通に一緒にテレビ見てたり食事したりしてる時とかにさ…
ふと、がいなくなったら…って考えると凄く怖くなるって言うか…もしがいなくなってしまったら、
俺はきっとテレビを見ることも出来ないし、食事をする事だって出来ないかも…って思ったり…」
「お前は何でそんな不吉な事を考えるんだよ…もっとポジティブな事を考えろよ」
トムは苦笑しながらコーヒーを飲んだ。
俺もちょっと笑いながらトムを見る。
「いや…まだが婚約解消するかどうか分らない時だったからさ…。
もしかしたら、いつか会えなくなるのかな…って、不安に思ってたし…。ふと、そんな風に考える事が多かったんだよ…」
「そうか…。まあ、でもさ…彼女だってお前の事を考えて、そう決めたんだろう…分ってやれよ?」
「…痛いほど分ってるよ。俺がマスコミに叩かれないよう…変なバッシングを受けないようにって考えてくれてるんだよね…」
「ほとぼりが冷めるまで…我慢するしかないようだな?」
トムはそう言うと俺の肩をポンと叩いた。
「ところでそのちゃんはどうした?一緒に来てるんだろ?」
「ん?ああ…俺の控室で寝てるよ」
「え?寝ちゃったのか?何だ、寝不足か?」
「ん~。ま、そんな所かな?今朝も…まあ二度寝出来なかったと言うか…させなかったと言うか…」
俺が苦笑しながらそう言うとトムは首をかしげていたが、意味が分ったのか一瞬顔を赤くした。
「お、お前なぁ…っ。そんな朝から何をしてるんだっ」
その慌てぶりに噴出しながら、「だって、そりゃ仕方がないよ…。が可愛すぎるんだからさ?」と澄まして答えた。
それにはトムもますます顔を赤くして、「ったく…ほんと羨ましいよっ。あんな可愛らしい恋人がいてっ」と何故か怒り出した。
「何怒ってるんだよ…」
「別に!」
「ああ、そうだ。はもう恋人じゃなくて俺のフィアンセになるんで、そこのとこ宜しくね?」
俺はそう言って煙草を消すと目を真ん丸くしているトムと目が合った。
「お、お、お、お前…彼女と婚約したのか?!」
「まあ…婚約というか…それはが今の彼と別れてからだけどさ。一応、夕べプロポーズしたよ?」
「な…っ。ほ、ほんとか?!お前…結婚するのか、ちゃんとぉ?!」
トムは一気に顔を赤くして驚いたがそれには俺も驚いた。
「な、何だよ…。しちゃ悪いの?」
「わ、悪かないけど…っ。だ、だってお前…レオナルド・ディカプリオが結婚となれば、そりゃ俺だって驚くさ!」
「そう?俺はいたって自然の気持ちなんだけどね?を愛してるから結婚したいって思っただけだよ?」
「そ、それは分るけど…。そ、そっかぁ…。とうとうレオが結婚かぁ…。うわ、ヤベ。俺、誰かに言いたくなってきた(!)」
俺はトムの、その言葉に笑ってしまった。
「何だよ、それ?悪いけどマスコミには売らないでね?」
「どうしようかな~?凄いネタだしなぁ?」
俺がおどけて言えば、トムもおどけて返してくる。
「はいはい…。もう好きにしてよ。いっその事マスコミに今からばらして本当の事をぶちまけたい気分だしさ…」
「おいおい!お前、そんなこと言って…。お前が悪者になるだろう?」
「俺はそれでも良かったんだ。本当のことだしね?俺がをあいつから奪ったのは…。
でも…の気持ち考えたらさ…?そんな事したら俺だけじゃなくだって悪く書かれるよ…
婚約者を裏切り、俺に走ったとか何とかさ…?」
「ああ…ありえるな…。マスコミは面白おかしく書き立てるだろう…」
「だろ?そうなればだって傷つくよ…。今でもきっと彼に対して罪悪感は持ってるだろうし…
俺はが傷つけられるようなことはしたくない…」
そう言うとトムは何も言わず俺の肩をポンポンっと軽く叩いて優しく微笑んだ。
俺はちょっと笑顔を見せて、「もっと早く…に会いたかったよ…」 と呟いた。
俺は撮影を終えてすぐに控室に戻った。
今日はずっとスタジオ内での撮影で夜までかかってしまって少し疲れていた。
(はぁ…俺も寝不足かな?)
ちょっと苦笑しながら控室に入ると部屋の中は真っ暗のままだった。
「あれ…、まだ寝てるのかな…」
俺は首をかしげながらライトをつけると、さっきまでが寝ていたソファベッドへと視線をやった。
そこにはさっきまでにかけていたブランケットしかなく、の姿はない。
俺はすぐに控室を飛び出して次々にスタッフに聞くも、皆は口を揃えて、「ちゃん?いや…見てないけど」と首を傾げるばかり…
(どこ行ったんだ?まさかスタジオの外に…)
ふとそう思い、そのままスタジオの入り口まで行こうと振向いた時、前方からが歩いて来るのが見えた。
「…っ」
俺はの方へ走り出していた。
「あ、レオ…キャっ」
強く抱きしめて俺はその温もりにホっとするのを感じた。
「ど、どうしたの?」
「もう…いないから心配した…。どこ行ってたの?」
俺がの顔を覗き込んで聞けば彼女は申しわけなさそうに、
「ごめんなさい…。あの…目が覚めて撮影見に行こうとしたらメアリーに会って…色々な衣装見せてくれるって言うから…」
「え?じゃあ…メアリーと一緒だったの?」
「うん…。ごめんなさい…。色んなのあるから時間も忘れて見ちゃってて…
他のスタッフが撮影が終って戻って来たから慌てて今、帰って来たの…そんな心配すると思ってなくて…」
それを聞いてちょっと笑ってしまった。
俺ってこんな心配性な奴じゃなかったのに…何で、こんな事くらいで焦ってるんだろう。
が一人でどこかに行く筈なんてないのに…
「いや…俺もごめん。ちょっと心配だっただけだからさ…?」
そう言っての額にキスをした。
「…帰ろうか?」
「うん」
も、やっと笑顔を見せてくれた。
それからの数日、アトランタでの撮影は順調に終り、一日はロケでニューヨークに行ったりと慌ただしく過ぎていった。
俺はその間、ロスに帰る日がだんだん怖くなってきて帰りたくないとまで思った。
帰ればはダニーに婚約を解消したいと告げるだろう。
その後のことを考えるのが不安だった。
の両親のこともある。
…半年もの間、会えなくなる事も…
その不安はも同じように感じていたんだろう。
時々、一人でぼんやりと考えこむことが多くなった。
その寂しげな顔を見るたびに俺も胸が痛くて辛かった…
それでも二人の未来はこれから先もずっと続いてくって信じたいから…
「、そんな荷物なんて運ばなくていいよ?」
俺はが必死にトランクを運んでいるのを見て慌てて走って行った。
「おい、ジョー!にこんなの運ばせるなよ」
俺は車のトランクから色々と荷物を出してるジョーを睨みつけた。
「おいおい…俺は止めたのにちゃんが運ぶって言うから…」
「そうよ?レオ…そんな怒らないで…」
が苦笑しながら俺を見あげて来る。
「もう…は何もしなくていいからリビングで休んでて?」
「でも…」
困った顔をするが可愛くて俺は頬にチュっとキスをすると、「あ、じゃあ紅茶淹れておいてくれる?」と言って微笑んだ。
するとは笑顔を見せて、「うん。分った」と言うと家の中へ入って行った。
俺はその後姿を見てちょっと微笑むと、残りの荷物を運ぼうと振り返った。
「な、何だよ、ジョー…。ニヤニヤしちゃって…」
「別にぃ~?ただ、ほーんと過保護だと思ってさ?前のお前には考えられないねぇ~」
「何だよ、それ…」
「だって前のお前は確かに恋人には優しかったけど、何かちょっと違うって言うか…
皆、殆ど、お前より年上だったし…お前が今みたいに世話焼くような事はなかっただろ?ちゃんは年下だし…
彼女に対する態度なんてもうベタ惚れに近いくらい優しいぞ?前はそんなんじゃなかっただろう?」
「ああ、そんな事…?だってベタ惚れしてるしさ。何も変じゃないだろ?」
「うわ~ヌケヌケと…。そんなノロケてる暇があったらこれ運べよ?」
「へいへい…自分のは自分で運びますよ…っ」
俺はジョーが出したバッグを持って家の方に歩いて行こうとした。
「あ、おい、レオ」
「ん~?何?」
「お前…ちゃんから聞いたんだろ?婚約解消後は暫く会えないって」
「え?ああ…聞いたけど…何?何でジョーが、そのこと…って、あ…!もしかしてジョーがに頼んだのか?!」
俺は怖い顔でジョーを睨むと、ジョーは慌てて、
「あ、いや…そうだけど、でも彼女だって理解してくれたからお前に言ったんだぞ?お前の事を心配して…」
「分ってるよ!ったく…余計なこと言って…」
「だって仕方ないだろう?その方がお前等の為になると思ったんだよ…
俺だってお前には好きな子と幸せになって貰いたいって思うから…」
俺はジョーの言葉に、ちょっと驚いた。
「ジョー?どうした?何か悪い物でも食ったのか?」
「んな!失礼だな!本心を言ってるんだろ?!俺だって応援してるんだよ!
こんなに一人の女に惚れこんだお前を見た事がないし…だから一番いい方法を考えてちゃんに話してみたんだよ…」
「ジョー…」
「と、とにかく…婚約を解消出来れば…何の障害もなくなるし…
少し会うのを我慢すれば、その後は堂々と二人で一緒に暮らすなり結婚するなり出来るだろ?」
「ああ…そうだな…。サンキュ、ジョー」
俺は素直にお礼を言った。
ジョーはガラにもなく少し顔を赤くして、
「じゃ、じゃあ、この3日間はゆっくり休んで、その後の撮影に集中しろよ?」
「ああ…」
「あと…ちゃんはその…いつ…言うんだ?婚約者に…」
「それが…そいつ今、仕事でカナダに行ってるんだ。帰って来るのは5日後らしいから…その時に話すって…」
「そうか…。5日後な…。あ、じゃ、ちゃんは今夜は帰るのか?」
「いや、今日は泊めるよ…。も明後日から仕事だし…それまでは一緒にいたい。いいだろ?」
「ん~…まあ…仕方ないけど…でも二人で出歩くなよ?もしパパラッチされたら…」
「分ってるよ。出ないで家に篭ってます!二人でずーっとベッドの中にいるよ」
そう言って笑うとジョーは顔を赤くして、「今のうちに好きなだけイチャイチャしとけっ。じゃあな!」と言って車に乗り込んだ。
俺は苦笑しながら軽く手を上げるとジョーの車を見送り、そのまま家の中へと戻った。
「あ、レオ…マネージャーさん帰ったの?」
リビングに行くとがソファーに座って紅茶を飲んでいる。
俺は隣に座るとを抱き寄せて頬にキスをした。
「ああ、やっと二人きりになれた」
「何言ってるのよ…。アトランタでも、ずっと一緒だったよ?」
「違うよ。移動中はずっと離れてたし…ジョーだっていたからこうやってを抱き寄せる事もキスする事も出来なかっただろ?」
俺はそう言っての唇を優しく塞いだ。
「ん…ぅっ」
角度を変えて何度もキスをくり返し、時折の唇を舐めるとはビクっとして俺の胸元を掴んでくる。
それが可愛くて背中に腕をまわすと強く抱きしめた。
「…明日まで…ずっと一緒にいたい…」
俺はの唇を解放し、そのまま頬から耳へと唇を這わせてそう呟いた。
「ん…レオ…?だって……んっ」
俺が軽く耳を噛むとさっき以上にの体がビクっと跳ね上がった。
そのまま耳たぶを舐めて首筋もつぅーっと舌先で舐めていくと、の鼻から抜ける甘い声がかすかに聞こえてきた。
「ん…っ」
その甘い声は俺の耳を刺激して体を熱くさせていく。
その刺激に誘われるようにの腰のあたりからセーターの中へ手を忍ばせ腰から胸元までそっと撫上げた。
「んゃぁ…ちょ…レオ…?」
は俺の手を止めようと体を捩った。
それを抑えるようにして手を背中へ伸ばし下着を外すとは慌てて俺の胸元をグイっと押してくる。
俺は構わずをソファーに押し倒し、もう一度何か言いたそうに開きかけた唇を強引に塞いだ。
「んうぅ…っ…んっ」
の柔らかな膨らみへ手を伸ばして軽く刺激を与えるとはビクンっと体を震わせる。
そのまま理性を手放そうとしたその時、さっきより強い力で胸元を押された。
「ん……どうしたの…?」
唇を離し、そう聞くもは顔を真っ赤にして怖い顔をしている。
「何で怒ってるの…?」
「も、もぅ…離して…っ」
「えぇ~…やだよ…」
「や、やだって…もぅ…っ」
は口を尖らせて無理やり体を起こすと俺の頬を軽くつねった。
「ぃたた…っ。な、何で怒ってるの…?」
「だ、だってレオが…っ」
は真っ赤な顔で視線を反らしている。
俺は頬からの手を避けると彼女の唇にキスしようと顔を近づけた。
その途端に横を向かれてしまう。
「…何で横向いちゃうの…?」
「だって…」
「キスしたい…」
「ダ、ダメ…っ」
「何で…?」
「キ、キスだけじゃすまないから…」
「それはだってさ…ダメなの?」
「…っ…ダ、ダメ…」
「どうして?」
「ど、どうしてって…」
は真っ赤な顔で俯くばかりで俺はそれを見て降参した。
「ごめん!分ったから…、顔あげて?」
俺はの頬を両手で包むと上に向けさせた。
は耳まで赤くして俺を上目遣いで見あげて来る。
は~あ…こんな顔されるとほんと襲いたくなるんだよなぁ…
ってば全然分ってないんだから…
俺は心の中で苦笑するとちょっと微笑んで、
「それ以上しないから…キスしていい?」
「……えっ」
「キスしたい…に…」
俺がそう言うとはますます顔を赤くしたが小さく頷いてくれた。
それを確認してすぐにの唇を塞いだ。
「んぅ…っ」
少し苦しそうに眉間を寄せるが可愛くて俺は口内を舌で優しく愛撫した後、ゆっくりと唇を解放した。
そして少しトロンとした顔のの額に自分の額をつける。
「ごめん…。俺、が傍にいるとどうしても触れたくなっちゃうから。それにもうすぐ会えないって思うと余計にね…?」
俺がそう言うとは少し悲しそうな顔で俺を見た。
「あ、あの…ごめんね…?」
「…え?」
「私…今は…抱かれるより…こうしてレオと話していたいって思って…」
が恥ずかしそうに小さな声でそう言ってくれた。
その言葉に俺は胸が温かくなって、もう一度の唇に触れる程度に口付けるとギュっと抱きしめた。
「俺も…といっぱい話したいよ…?」
「…ほんと?」
「ほんとっ。 ―でも…抱きたいのと半々かな?」
「レ、レオ…?!もうぅ~っ」
俺がふざけてそう言うとは頬を脹らませて俺を睨んでいる。
それすら可愛くて、その膨らんだ頬にチュっとキスをした。
「だって仕方ないだろ?が可愛すぎるから悪い。俺のせいじゃないよ?」
「―――っっ」
済ました顔でそう言うと、その言葉に一気に頬を染めては俺の腕の中から逃げ出そうとあたふたしている。
「あ~動かないで…何もしないってば。俺の素直な気持ちを言ったまでだからさ?」
俺が笑いながらそう言ってもう一度頬にキスをするとは恥ずかしそうに俺を見上げた。
「…今夜は一緒にいよう?もう少ししたら…会えなくなるから…」
俺が少し寂しそうに呟けばも小さく頷いてくれた。
そのままをギュっと抱きしめ、頭に口付けると、も俺の胸に顔を埋めてくる。
そして小さな声で悲しそうに、「離れたくないな…」と呟いた。
その言葉で胸がギューっと痛くなる。
「俺もだよ…」
そう言っての体を少しだけ離し頬にキスをした。
そのまま瞼…額…何度もキスを落としていく。
はくすぐったいような顔をしながら、「レオ…?」と俺の名を呼んだ。
俺はの頬に、優しくキスをくり返しながら、
「ん…?」
と返事をすると、さっきよりも小さな声でが呟いた。
「…浮気…しないでね…?」
その言葉に俺は少し驚いての顔を見た。
すると今までキスをしていた頬が薄っすらと赤くなっている。
は恥ずかしそうに俯いて俺の胸にコテっと頭を寄せてきた。
俺はそんなが愛しくて堪らなくなり、強く強く抱きしめる。
「当たり前だろ…?しないよ…?すると思う?」
するとが俺の腕の中でもぞもぞと動き、少しだけ顔を上げると、「だって…レオ、エッチだし…」と口を尖らせている。
俺はその言葉に一瞬、眩暈がした…(!)
「な、何言ってんの?」
俺は慌てて抱きしめていた腕の力を緩めるとの顔を覗き込んだ。
するとは少しスネた口調で、
「だから暫く会えなかったら…レオだってその…あれだし…。
そ、それに凄く奇麗な人とかに誘われたら…浮気しちゃうかもしれないでしょ…?」
と言って俯いてしまう。
俺は少しばかりショックを受けた。
「えぇ?!し、しないよ、俺は…っ」
そこまで言って言葉を切った。
そして軽く息をつくとを見る。
俺も少し顔が赤いが、この際気にしてられない。
「…?あのさ…何だか勘違いしてるようだけど…俺は確かに…スケベではある…けどさ…。
それはその…別に誰にでもってわけじゃなくて…」
「え?」
(な、何でこんな事を説明しなくちゃならないんだ…?)
俺はそう思いながら顔が本気で赤くなってきた。
でも仕方なく言葉を続ける。
「だから…エッチをしたいって事じゃなくて…。 ――だから…だよ?」
「…ぇ?」
が顔を赤くして俺を見あげて来る。
俺の方も何だか恥ずかしくなったけど今の素直な気持ちを言ってみた。
「の事が凄く好きで…言葉で上手く伝えられなくて…
だからその気持ちを伝える手段で抱きたくなるって言うか…。わ、分かる?」
俺がそう聞くと、は恥ずかしそうに首を傾げる。
俺はちょっと苦笑すると、
「だから…の事を深く愛してるんだけど…本当はもっとそれ以上の気持ちがあって…
でも言葉に表せないから体で表現すると言うか…そういうことっ」
と何とか言い終えての顔を見てみると、彼女はさっきよりも真っ赤っ赤な顔で俺を見ていた。
俺はそんな彼女を見て、また愛しさで溢れてくる。
その真っ赤に染まった頬にキスをして、唇にも軽くチュっとキスをした。
「を愛してるから…こうやってキスしたくなるし、触れたくもなるんだから…。
だから…以外の人と…こういう事はしたくないしする気もないんだ。OK?」
俺が少しおどけての顔を覗き込むと、まだ顔は赤かったけど、でも嬉しそうに微笑んで頷いてくれた。
「わ、わかった…。信じてるから…」
「うん。信じててね」
俺はそう言って、もう一度の唇に触れる程度のキスをした。
は照れくさそうにまた俺の胸に顔を埋めて擦り寄ってくる。
ほんとに参るよ…可愛くて。
この気持ちは…本当に言葉では表しきれない…
心があるから体も求めてしまうって気持ち…
は分ってくれたんだろうか。
俺達は…もうすぐ会えなくなるけど…きっと大丈夫だから。
この想いがあれば…きっと頑張れるから…
も挫けないで…俺との未来だけを考えていて欲しい。
こんなに愛せるのは…もうしかいないから…。
「…」
「…なぁに?」
「必ず…俺のところへ戻ってきて…」
「…うん」
彼女はそう頷いて俺の頬にキスをしてくれた。
そして…俺が好きな笑顔を見せてまた腕の中へと体を寄せてくる。
それを見て、俺は素直に今思った事を口にした。
「愛してる…」
俺はそう呟いて不安を隠すようにを思い切り抱きしめた…
>>Back
ACT.15...愛し、君へ…>>
うぅむ。今回は繋ぎなので短めです。
しかも何だかイチャイチャしてるだけ(笑)
ヒロインのちょっとした悩みとかも出してみたり(笑)
レオ様の慌てふためく顔が想像できます(笑)あ~可愛い(笑)
そして、やっとこロスに戻りました。
さて…次回はとうとう・…?!うきゃー
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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