Catch me if you can.......~A
real love ?... or... fake love?...~
「はぁぁあ…」
思い切り溜息をついて食堂の椅子へと腰をかけた。
[どうしたの?…顔が怖いわよ?」
キャシーが私の顔を覗き込んで言った。
「ちょっと…」
私はそれだけ言うとサラダを頬張った。
キャシーも肩をすくめて自分のサラダを食べ始める。
私は一気にサラダを食べると今度はクロワッサンにかぶりついた。
キャシーはそれを見てちょっと首をかしげている。
「やっぱり、怒ってない?」
「え?…分る?」
「ええ…そりゃぁ、そんな怖い顔してたら…。どうしたの?さっき…レオがまた来てたようだけど何かあった?」
「別に…!」
「何よぉー。教えてくれてもいいじゃない?私だって、彼に話しかけたいの我慢してるのよ?」
キャシーは口を尖らせて私を見た。
フランクから、極力、彼が来ても騒がず、そっとしておいてあげてくれと、看護婦たちに"お達し"が出てるので、
キャシーもレオが来ても公に話し掛けたり出来ない事をスネているのである。
は別に話したくもないのだがマークの担当なだけに、どっちみち顔を合わせる事になる。
キャシーによっぽど変わってあげましょうか?と言いたくなったがマークの担当を外れるのは嫌だった。
「キャシーだって、あいつの普段の姿を見たら嫌になるわ…」
食べる手を休め、私はボソっと呟いた。
「え?どうして?普段の彼って、どんな感じなの?」
「だから…強引と言うか…」
「え?何が強引なの?!」
キャシーはワクワクしたような顔で身を乗り出している。
「だ、だから、その…と、とにかく凄く失礼なの!イジワルだし…」
「ええ?優しかったわよ?前に少し話した時は…。イジワルって…どんな風に?」
「もう…いいでしょ?あいつの話はやめましょ?」
「え~…?」
私はそこで言葉を切って、コーヒーを飲んだ。
キャシーは納得いかないって顔で私を見てるが、私は気づかないフリをして窓の外を見た。
もう午後になるからか、日が傾いてきている。
(もう…レオの奴、何で、いっつも、ああなんだろ…!)
私は、さっきの事を思い出すと、また腹が立ってきた。
今朝もレオは病院に顔を出した。
今は、この前まで撮ってた撮影が終わり少しの間オフだという。
だからか、ここ3日は連続で顔を出していた。
その度にいつものスキンシップ(スケベ行為?)をしてくるし、"今度、どこか行こう"と誘ってくる。
その度に私は冷たく断ってるのに、レオは一向に諦める様子もない。
さっきも、「、今日は早番だろ?どこか行こう」 と言うので、キッパリ、「いや」 と言ってやった。
なのにレオはいつものクスクス笑いをして、「何?あいつとデート?」 と言われて、ちょっとムっとした。
「人の恋人を、"あいつ"とか言わないで」
「あいつは、あいつだろ?名前も知らないし…」
「彼にはダニエルっていう名前があるの!…ぁ…っ」
「へえ~ダニエルって言うんだ」
またニヤリと笑って私を見た。
「か、関係ないでしょ?私が誰と付き合おうが…」
「ま、そのうち俺のとこにくるって。な?マーク」
「うん!」
「ちょっと、マーク…!」
二人は仲良く、ハイタッチなんてして笑っていて、私は、それを見て力が抜けるのを感じたのだった。
何で私を誘うのか凄く謎だ。
あんなにモテるクセに…
きっと…私が彼に靡かないからムキになってるんだ…それしか考えられない。
いっそのこと、一度だけ彼に付き合ったら、気が済むんじゃないか…とまで思った。
もちろん、変な付き合いじゃなく…普通にデートをするだけ…
それとも…そういうのじゃなくて……。 やっぱり体目当てって事かしら…
私は、そんな事を考えて顔が赤くなってしまった。
な、何考えてんだ、私ったら…!
って、あのレオなら、ありえるだけに怖い…。
それにしたって彼の周りには凄く奇麗な女性ばかりいると思うのに。
やっぱりあれかしら…ステーキばかり食べてると飽きてしまって、たまにはポテトも食べたくなるとか…(違ったっけか?)
私はコーヒーを飲んで気を落ち着かせると窓に何か当たった気がして、また外へと顔を向けた。
するとポツポツと雨が降ってきた。
雨…珍しいな…
あ…傘なんて…持ってないわ…駐車場まで走って行かないと…
帰りまでに止めばいいけど。
そう思いながら今度はベーグルを食べ始めた。
ACT.4...雨の夜
(あ~あ…本降りじゃない…)
私は病院の入り口で立ちすくんで、どんより空を恨めしそうに見上げた。
しかも気温も普段より、かなり低かった。
今日で11月だが、ここ暫くは暖かかったのに…。
今日、朝はいいお天気だったから、私は白いシャツとデニムのミニスカートという格好だったため、今は肌寒く感じた。
どうしよう…駐車場まで走っても、かなり濡れてしまう…
でも…病院の置き傘もなかったので走る以外に手はなかった。
私は決心して思い切って雨の中、駐車場に向って走り出そうとした、その時―
「お嬢さん、入りませんか?」 と声が聞こえた。
私は、その声を聞いて、ちょっと溜息をつくと振り向いて、「…あなた…。また来た…」 と言いかけたが、
彼…レオは、いきなり私の手を掴むと、雨の中、どんどん歩いて行く。
「ちょっと…!ど、どこ行く気?!」
「いいとこ!」
「い、いいとこって…何?!どこよ?」
「いいから、いいから。黙ってついてきて」
レオはスタスタと歩いて行き、病院の前の大きな通りまで来た。
そこで一旦、立ち止まったので私は彼の手を振り払った。
「ちょっと…!いきなり何なの?!」
私は掴まれてた手首をさすりながらレオを睨んだ。
サングラスに黒のキャップ、そして何だか黒のナイキのジャージという服装のレオは傘を差したまま私の方を見た。
「傘、ないんだろ?こんな、どしゃ降りの中、傘も差さずに歩いたら風邪引くよ」
そう言って私の頭に手をポンと置いた。
「だ、だからって…何で、あなたに引っ張られてこなきゃならないの?!」
「もう仕事、終わりだろ?だったら、ちょっと付き合ってよ。 ――ああ…濡れるよ?」
レオはニコっと笑うと、後ずさった私の方へ濡れないように傘を差してくれた。
「何で私が、あなたに付き合わないといけないの?」
「いいじゃん、たまにはさ?」
「たまにはって…」
困ったように溜息をつくとレオはクスクス笑いながら私を見ている。
彼の言葉に私は少し考えた。
(もしかしたら…今日、付き合えば彼の気が済むかもしれない…)
そう思った私はレオに思い切ってついて行こうと決めた。
「わ、分かったわ?…で…どこ行くの?」
「ワォ。ほんとにいいの?」
レオは嬉しそうに微笑むと、私の顔を見た。
「え、ええ…でも、どこに行くの?この雨の中…」
「それは行ってからの、お楽しみ!」
レオはニヤリと笑うと私の手を繋いできた。
「ちょ、ちょっと…手を繋ぐなんて言ってないわよ?」
「だって、あまり離れたらが濡れるだろ?それとも腕を組む?どっちでもいいよ?」
「バ、バカなこと言わないで…。い、いいわよ、このままで!」
私はヤケクソでそう言うと、レオはまた嬉しそうに微笑んだ。
そして通りを走ってる車の流れを見ながら、一台のタクシーを止めた。
レオは私を先に乗せて、後から自分も乗り込むと運転手に、「ステープルス・センターまで」 と言った。
それを聞いてレオを見るとニヤっと笑って、
「今日、ジャズと試合なんだ」
「…やっぱり…!レイカーズ...ね?!」
「ああ、そうだよ? ―あれ?何か他のこと期待しちゃった?」
レオはいつもの不敵な微笑で私の顔を覗き込んでくる。
「な…!何言ってるの?!そんな事あるわけないじゃない…!私には…」
「"ダニエルって恋人がいる"ってんだろ?分ってるよ」
レオは肩をすくめて、そう言うと窓の外を眺めている。
私は、軽く息を吐き出すとシートにもたれかかってバッグからミニタオルを出し、少し濡れた肩や顔を拭いた。
ふと見ると、レオもさっき私に傘を差してくれた時に濡れたのか、肩に雨粒が光っている。
私はそれを軽く拭いてあげた。
レオは驚いた顔で私の方を見る。
「ぬ、濡れてたから…」
と慌てて言うと、レオは笑顔で、「ありがとう」 と言って、また窓の外へと視線を戻した。
私は、そっと息をつくと、タオルをバッグに戻して、シートにもたれかかった。
気付くと、レオが私を見ている。
サングラスをしたままなので、どんな瞳で見ているのかは分らない。
が、不意にレオが私の口元へと顔を近づけてきたので私は慌てて、「な、何…?!」 と後ろへ…
―と言っても狭いタクシーの後部座席だから、そんなに後ろへは行けないが―下がった。
レオは私の首筋の辺りに顔を近づけてきて、私はまた一瞬、あのレストランでされた事を思い出して顔が赤くなった。
「ちょ、やめて…」
と言いかけると、レオが、パっと顔を上げて目の前に、レオの顔がきて、ちょっとドキっとした。
「…何もつけてないね?」
「…へ?」
「俺の上げた香水…気に入らなかった?」
「え?あ、ああ…香水…」
それに気づき少し息を吐き出してホっとした。
(もう…!紛らわしい事しないでよね…っ)
「…病院では香水はつけられないから…」
「あ、そっか…。あ、でも…どう…だった?あの香り…」
レオは少しだけ心配そうな声で訊いてきた。
私はバッグをギュっと掴むと、「あ、あれ…好きな…匂いだった…。 あの…ありがとう」 と言った。
そう言うとレオは、ホっとした様子で、「そう…良かった」 と微笑むと、またいつものニヤニヤ顔で私を見る。
「で…今はつけてくれないの?」
「え…?あ、ああ…。一応…持ってるけど…」
「そうなの?じゃあ、今つけてみてよ」
「こ、ここで?」
「うん」
レオはジっと私が香水を出すのを待っている。
私は仕方なくバッグからレオがくれた香水の瓶を出して少しだけ手首にふりかけた。
「ああ、…香水は手首より、首の後ろ…ここの体温が高いとこにつけた方がいいんだよ?」
レオはそう言うと私の手から瓶を取り、私の髪を纏めてから持ち上げて項を出した。
「あ、あの…」
私は妙に恥ずかしくなって、振り向こうとした。
「ああ、動かないで。髪に香水かかっちゃうよ?」
レオはそう言うと首の下の方へ軽く香水をかけて少しだけこすった。
その体温と感触でドキっとする。
レオは私の髪を下ろすと、「こうした方が、香水の香りも少しづつ変化してくるんだ。その人の香りになる」 と言って微笑んだ。
私は何だか顔が熱くなって俯いたまま、「そ、そうなんだ…」 と返事をした。
するとレオは私の顔を覗き込んできた。
「どうしたの?…疲れてる?」
「え?い、いえ…別に」
「そう?なら、いいけどさ…。 でもの項、奇麗だね?目の保養になったよ」
と、いきなり、そんな事を言われて私は一気に顔が赤くなった。
レオを見ると何だか、いつものイジワルな顔で私を見ている。
(また…何でもお見通しみたいな顔…!)
私は何も言えなくなって、ぷいっと窓の方を見た。
「あれ…怒らないんだ…?」
「いちいち相手にするのもバカらしいのよ…っ」
「そんなこと言うなよ」
とレオはクスクス笑っている。
その時、運転手が、「つきましたよ」 と言って車を止めた。
レオは支払いを済ませると、今度は先に出て私に傘をさしてくれる。
「、こっち」
レオは車を降りた私の手を繋ぐと、他の客とは違う方へと歩いて行く。
「え?あ、あの…入り口はあっちじゃ…」
「ああ、俺、入るとこ、違うんだ」
「え?」
私はその意味が分らず、それでも仕方ないので、レオについて行く事にした。
すると彼が向ったのは何やら関係者入り口みたいな所だった。
私は戸惑うも、レオは慣れた感じで、そこの入り口に向って歩いて行く。
「やあ、ジョージ!」
「やあ、レオ!久し振りだな?」
レオは入り口にいるガードマンらしき黒人の男性と抱き合っている。
「ちょっと撮影入ってて、シーズン開幕したのに来れなかったんだ」
「そうか!で?もう終ったの?」
「ああ、この前ね」
「そうか、お疲れさん!」
そのジョージと呼ばれた男性は、レオの肩にポンと手を置いて言った。
「あれ…?新しい彼女か?」
私の方を見て言っている。
「あの…ちが…」
「…いや、この子は、そんなんじゃないよ?」
「ああ、そうか。いや、何かいつもと違うタイプだなと思ったんだ」
と、ジョージも笑いながら話している。
その言葉に私は少しムっとした。
な、何よ…何だかバカにされた感じ…っ
どうせ私はレオの恋人になるような女性みたく奇麗でもないし、色気もないわよ…!
レオはそのジョージと少し話した後に手を引いて歩いて行くも、私は建物の中に入ると、すぐに手を離した。
「…?」
レオは振り向いて私の方を見た。
「もう手を繋ぐ必要もないでしょ?」
私はそっぽを向いたまま言った。
「何、怒ってるの?」
「別に、怒ってなんか…」
「怒ってるじゃん」
「お、怒ってないったら…!」
思わず大きな声を出してしまって、ハっとした。
レオは少し溜息をつくと、「やっぱり…無理やり引っ張ってきたから怒ってるの?」 と言った。
「え?そ、そんなんじゃ…それに行くって決めたのは私だし…」
「そう?」
「ええ…。あの…ごめんなさい、大きな声出して…」
「何だよ、やけに素直だな…」
レオはキョトンとした顔で私を見た。
そして笑顔になると、「早く行こう?今日は凄い面白い試合になりそうだ」 と言って通路を歩いて行く。
私は慌てて、その後をついていくと、「どうして裏から入るの?やっぱり有名人だから?」 と聞いた。
「え?ああ、まあ…。だって俺が一般客と並んだりしたら混乱するだろ?」
「混乱…?」
「うん。少なくとも…放って置いてくれる人の方が少ないんだ」
「ああ…そうか…。あなたが立ってたら…そりゃ人も寄って来るし、そうなるとパニックになる可能性もあるものね…」
「まあ…そういうこと」
レオは苦笑すると、通路奥にあるドアを開けた。
「ここから会場内の通路に出るんだ。 ―こっちに行くと席だよ?」
レオは嬉しそうな顔で歩いて行く。
私も彼の後ろからついて行くと、続々と一般客が入り始めてざわざわとしている。
「ね、ねぇ…」
「ん?」
レオはチームのベンチが目の前にある席へと歩いて行く。
「あの…私と一緒に観戦なんてして…大丈夫なの?中継だって、あるんでしょ?」
「ああ、そんなこと?別に大丈夫だよ?それとも…がまずい?」
「え?いえ…え…私まで映らないでしょう?」
「まあ…そりゃね」
私はそれを聞いて、ホっとした。
それにしても…NBAはテレビでしか見た事がなかったから会場の盛り上がりように驚く。
まだ選手も出てきていないのに熱気が漂っている。
「?どうしたの?ボーっとして…買い物行くよ?」
「え?あ、うん…」
レオはスタスタと慣れた足取りで通路へと出るとチームのグッズを売っている場所に来た。
「マークに何か買って行こうかと思ってさ?」
笑顔で、そう言ったレオに私は驚いた。
(そうか…マークに…)
それを聞いてちょっと胸が熱くなった。
「あいつ、コービー・ブライアントのファンだったよな?じゃあ…コービーのユニフォームにサインでも書いてもらおうか?」
「え?!サ、サインって…。書いてもらえるの…?」
「ああ、ここのチームのフロントに知ってる人いるし…俺も彼の娘にサイン書いてあげた事があってさ。それからの付き合い?」
「そ、そうなの…」
(やっぱり…凄い人なんだ…)
私は改めて、そう思った。
結局、レオはマークに、ユニフォームやら、タオル、チームのロゴ入りのボールと持ちきれないくらいのグッズを買っていた。
私はちょっと苦笑すると、「それ…帰り、どうやって持って帰るの?」 と聞いた。
「ああ、さっきのジョージに頼んで、あとで送って貰うんだ」
「そうなんだ。そうよね、これじゃあ持っていけないもの…」
レオは買った物を、一時、その店に置いておいてもらうようだ。
「あ、何か飲み物でも買おうか」
「あ、うん」
「、何がいい?ソフトドリンク?アルコール?」
「じゃあ…せっかくだからアルコール」 と言って笑った。
「じゃ、俺も…ビール?ウイスキー?」
「あ、ビールで」
レオはビールを二つ買うと、そのまま持って席へと案内してくれた。
「はい、」
「ありがとう…。 わ、もう、すっかりお客さんも入り切ったわね…凄い人…」
はコートの向こうの席までビッチリになっている会場を見渡して驚いている。
レオはちょっと笑うと、「はNBAを生で観戦した事は?」 と聞いた。
「な、ないわ?今夜が初めてよ?」
「そうなんだ!え?そんな好きじゃないの?」
「ううん、好きだけど…ここの…チームのファンではなかったから…」
とは言いにくそうにレオを見た。
「え?そうなんだ…。じゃあ、選手とかも全然、知らないの?」
「そのくらいは…マークが好きなコービーも知ってるし…彼のお父さんが日本の神戸が大好きで、
息子の名前を、神戸からとって、"KOBE"…コービーにしたっていうエピソードは知ってるわ?」
「ああ、そうそう。 ―じゃあ、シャックは知ってるだろ?あの大きな…」
「ああ…あのラップミュージックのCDを出した人でしょ?あまり売れなかったみたいだけど…」
「アハハハ…。そうだったな…!」
レオは楽しそうに笑っている。
「あ、あと…コーチのフィル・ジャクソンは知ってるわ?あのブルズが王朝と言われてた時期にチームのコーチしてたでしょ?」
「ヘぇ…!そんな事も知ってるんだ!何だ、結構知ってるんだ」
「だって・…私、ブルズのファンだったもの…」
思わずバラしてしまった。
「ええ?うそ?ロスに住んでて?!」
「そ、そうよ…。いけない?」
「うわ、裏切り者だよ、ってば…」
レオはそう言いながら、わざと私の隣から移動して一つ離れた席に座って笑っている。
「うわ、やな感じ!別にいいじゃない?どこのチームを好きになろうと!」
もちょっと笑いながらビールを飲んだ。
そうこうしていると、凄い音と共にチアガールが飛び出してきた。
何だかファンキーな曲が凄い音量で流れている。
そして照明が落とされ、一瞬会場が暗くなるも、すぐにスポットライトがついてグルグルと回るように会場を照らしている。
「ワォ!始まるよ?!」
レオはいつの間にかの隣に戻って来ていて興奮したように叫んだ。 ―大きな声を出さないと聞こえないのだ―
その時、選手の名前がDJ風にコールされると次々に黄色いユニフォームを来たレイカーズの選手が出てきて、
会場内は大歓声に包まれた。
は席から立ち上がって、「YHAA~~!!!」 と両手を上げて叫んでいるレオを見て、ちょっと笑ってしまった。
(レオったら…子供みたい…凄く好きなんだなぁ…)
「!何、呑気に座ってるのさ?」
レオは立ったままを見て笑っている。
「だって…!初めてだし…よく分らないの…!」
音楽と大歓声の中、も大きな声で叫んだ。
するとレオはの腕を引っ張って立たせた。
「選手が出てきたら、まずは立ち上がること!」
レオはそう言うと無邪気な顔で笑っている。
は少し驚くも、そこは素直に一緒に立って、選手が次々と紹介されていくのを拍手をしながら見ていた…。
「ああ…!リバウンド、とりそこねたよ…!今日のシャック、調子悪いなぁ…!」
俺はユタ・ジャズの選手にボールを奪われてそう怒鳴った。
すると隣でクスクスと、が笑っている。
「何、笑ってるの?」
「だ、だって…レオったら…子供みたい…」
「……え…?!今…何て言った?」
俺は思わず聞き返してしまった。
はちょっと首をかしげると、
「だから…子供みたいって…」
「そうじゃなくて…その前に言った…」
「え?だから…」
とは、そこで言葉を切ると顔を赤くした。
「今……"レオ"って呼んだよね?」
俺は確めるように、の顔を見た。
は何だか、言っちゃった…!みたいな顔で気まずそうにしている。
俺はそれでも嬉しくなっての頬に素早くキスをした。
「キャ…!ちょっと…こんなとこで…!誰かに見られたらどうするの?!テ、テレビカメラだって入ってるのに…!」
はいつもの様に俺を睨んだけど気にならなかった。
「やっと…名前で呼んでくれたね?」
俺がそう言うとはますます顔を赤くして、ぷいっと横を見てしまった。
それでも俺は何だか胸が熱くなって自分で驚いた。
(何で名前を呼んでもらっただけなのにこんな嬉しいんだ?)
それは不思議な感覚で、今までに感じたことがない感情だった。
俺は少しの間、顔を赤くしたまま、黙って試合を見ているの横顔を見つめていた―
「、走れる?!」
「う、うん…」
俺はに自分の着てたものを彼女の頭からかけてやると手を繋いだまま、一気に自分の家のドアの前まで走った。
試合を見て食事をした後、"一人でタクシー拾って帰る"と言い張るを"俺の家まで一緒に来てくれたら車で送るから"と、
半ば無理やりタクシーに乗せて戻って来たところ。
だけど会場に傘を忘れて来てしまって門から玄関までの道のりを雨の中、走るハメになってしまった。
どうせなら門の中まで入ってもらえばよかったか?
そう思ったが、仕方ない。
俺はドアの前まで来るとの手を繋いだまま、すぐに鍵を開けて中へと入った。
「どうぞ?誰もいないし気にしないで」
「う、うん…」
何だかはまだ警戒してるようで家の中に入ると繋いでた手をパっと放した。
そしてドアの前から動こうとしないに首を傾げる。
「どうしたの?入って?」
そう声をかけたがは首を振り、「ここで待ってるから…」 と言った。
そう言われて、俺はちょっと息を吐くと、
「そんな濡れた格好のままだと風邪引くだろ? とにかく中へ入って」
そう言っての手を掴んで強引にリビングへと連れて行った。
「ちょ…分ったから…手、放して…」
リビングに入ると、はそう言ってまた俺の手を放した。
俺はとりあえずタオルを取りにバスルームへと行くと大きなバスタオルを二枚ほど出してリビングへと戻る。
するとが落ち着かない様子で座りもせず立ってキョロキョロしていた。
そのままの前まで歩いて行くと、俺はバスタオルで彼女の濡れた髪を拭いてあげた。
「え?い、いいよ…自分で拭くから…」
「いいから!あ~あ…もうシャワー入ったみたいだな?」
の髪は本当にお風呂上りかと思うくらいに濡れてしまっていた。
俺はなるべく丁寧に髪を拭いてあげると、ふと彼女がかすかに震えているのが分った。
「どうした?寒い?」
「え?だ、大丈夫…」
「大丈夫って…震えてるだろ?体、冷えちゃったかな……」
俺は少し考えると、「、シャワー入っておいで?ちゃんと温めないと、ほんと風邪ひいちゃうよ…」 と言った。
別に下心があったわけじゃないが、は目に見えて驚いた顔をした。
「い、いいわよ…大丈夫だし…っ」
「よくないよ…顔色も悪いし…。何、心配してるの?何もしないから安心して入っておいで?」
出来るだけ彼女が安心するように優しく言っての顔を覗き込んだ。
はさっき俺が貸してあげた服をしっかり肩からかけて前を手で抑えている。
「、それ脱いで?それも濡れてるから寒いんだよ…」
そう言って服を抑えてる彼女の手を掴もうとした。
その時、が急に俺からバっと離れてちょっと驚いてしまった。
「な、何もしないってば…どうしたの?」
さすがにちょっとへこんだが、とりあえずをシャワーに入れるほうが先決だと思い、そう聞いた。
するとは首を振って、「あ、あの…ごめんなさい。そうじゃなくて…」 と俺を上目遣いで見る。
「え?」
「服が…透けてるから…あの…これ脱げない」
は恥ずかしそうに、そう言うと俯いてしまった。
え…?!透けてる…って…。ああ、そう言えば…は今日、白いシャツを着ていた。
そうか…。雨に濡れて透けちゃったんだ…。
それで…
そう思うと俺まで何だか恥ずかしくなったが、とにかくこのままだと二人して風邪を引くハメになる。
「わ、分ったから…。じゃあ、そのままバスルームに行けばいいよ。俺の服で良かったら着替え置いておくから…OK?」
俺がそう言うと、やっとも顔を上げて頷いてくれる。
ホっとした俺はの腕を引っ張って、「ここの奥がバスルームだから。着替えはここに置いておくよ」 と言った。
「う、うん…あ、ありがとう…」
はやっと笑顔を見せてくれた。
「いいんだ。じゃ、着替え持ってくるからは入ってて?バスルームは鍵ついてるから心配ならかけておいてもいいし」
そう言ってニヤリとすると、は顔を赤くして、「そうします…!」 と一言言うと中へと入って行った。
俺は苦笑しつつも、すぐに二階の寝室に行ってが着れそうな服を探した。
ちょうどいいサイズのがあり、それを持ってまた一階にあるバスルームまで持っていくと手前の部屋に着替えを置く。
中からシャワーの音が聞こえて少なからずドキっとする。
だが、その前に俺も濡れていて寒かったのもあり、「ハ…ックシュ!」 とクシャミが出て慌てて二階の方のバスルームまで走った…。
「レオ…?」
私はバスルームから出るとリビングに来てみた。
でもレオの姿はない。
私はちょっと息をつくと、そっとソファーへと腰をかけた。
レオの持ってきてくれた服も、ちょっと大きいけど、今は仕方がない。
それにしても…ほんと広い家…
ここに一人で住んでるなんて…寂しくないのかな?
確か前に何かの雑誌でレオは実家を出てすぐの頃はサンタモニカで部屋を借りていたとインタビューに答えていたっけ…
それで、映画のヒットの後にビバリーヒルズに家を買ったと話してた。
あの記事を読んで、私の実家から近いのかな?と考えていたものだ。
同じビバリーヒルズにいると思うと何だかドキドキしたのを覚えてる。
なのに…今、私は、彼の、その家に来てる…。
凄く変な気分だった。
「?出たの」
「わ…っ」
急に声をかけられて、私は驚いて振り向くと、
レオがバスタオルで髪を拭きながら、バスローブ姿のままで立っている。
「あ、あの…シャワーと…服もありがとう…。これ、後で洗って返すから…」
「ああ、いいよ、別に。それより、やっぱ大きかったね?」
レオは、そう言いながら私の隣に腰をかけた。
私はバスローブ姿のレオにちょっとドキっとして、さりげなく彼から離れた。
レオは、それに気づいたのか、私の方を見て、「何?まだ警戒してるの?」 とニヤリと笑った。
「べ、別に…!」
「ふ~ん…」
レオは、そう言いながらも、まだ私の方を見ている。
「な、何よ?」
「そんなに俺が嫌いかなぁと思ってね…」
「…そ、そういうわけじゃ…」
「え?何、じゃあ、少しは好きになってくれたわけ?」
「いいえ…!」
そこはキッパリと言った。
レオは少し息を吐き出すと、「なぁ~んだ」 と呟いている。
「別に私が好きにならなくても…他に好きになってくれる人が、沢山いるでしょ?」
「また、それ…?そんな他の人とは違うだろ?」
レオに、そう言われて私は言葉に詰まった。
「だ、だから、それが分らないんだけど…!」
「何が?」
「だから…どうして…ハリウッドスターの…あなたが私に、しつこくするのかが!」
私は、そう言うとレオの方をそっと見てみた。
すると、レオは何か考え込んでる顔。
そして不意に私を見ると―
「俺…」
「え?」
そこで私はドキっとした。
「そんな、しつこかった?」
(……!そ、そこなわけ?!あなたの答えるとこは!)
私は心の中で思わずツッコんでしまった…(!)
「しつこいじゃないの…!自分で自覚してないわけ?」
「ああ、いや…。別に会いたいなぁって思ったから会いに行ってるだけで…しつこくしてるって思ってなかったかな?」
平然と答えるレオに、私は少し呆れて、
「あのねぇ…。それじゃ答えになってないわ?」
私がそう言うとレオはニヤっと、いつもの不敵な微笑で私を見た。
「は、何て言って欲しいの?」
「は?!」
「俺が会いに行く理由だろ?何て言ったら分ってくれるわけ?」
「そ、そういう問題じゃないでしょ?!」
「じゃあ、どういう問題?」
「そ、それは…」
レオはソファーを立ち上がって私の近くに座ると、
「理由がないとダメなの?会いたいなと思って行くのは理由にならない?」
私は近くに彼の顔がきて、少し後ろにさがりつつ、
「…理由とかじゃないけど…ただ私には…恋人がいるし困るの…病院に来てマークと遊ぶのはいいけど私にその…」
「デートに誘ったりってこと?」
私が言葉を切ると、レオはそう言ってきた。
「そ、そうよ…っ。困るの…!ダニーに誤解されるかもしれないし…」
「別れればいいだろ?」
「は?!」
レオにアッサリと言われて私は驚いた。
「な、何で私が彼と別れないといけないのよ?!」
レオはちょっと笑いながら煙草に火をつけると、「言ったろ?あいつと、は合わないってさ」 と言った。
「ちょっと…!そんなの、あなたに言われたくないわ?」
私はそう言うとソファーを立とうとしたその時―
レオに腕を掴まれて、レオの方に引き寄せられた。
「な、何よ?!」
「どこ行くの?」
私の腕を掴んだままレオは私の顔を覗き込んできた。
「ど、どこも行かないわ…?外に出られないもの…。 でも、もう帰らないと…」
そう言いかけた時、レオに抱き寄せられた。
「わ…!ちょっと…何なの?!」
「今…送るからもう少しこのままで…」
「放してよ…」
「…やだ」
「……」
(…やだって…子供みたなんだから…全くもう…)
私は諦めて体の力を抜いた。
今日は何だか疲れたからか怒る気になれなくて、ここは素直に解放してくれるのを待つ。
レオの胸元に頬を寄せているからか、かすかにボディシャンプーの香りがした。
(レオ…あったかい…)
何だか安心する温もりだと思った。
その時、レオが優しく私の髪を撫でているのが分った。
レオは私の頭に頬を寄せて、時々、唇が触れるのが分る。
何故か、そうされていると凄く安心してしまって気付けば私は彼の腕の中で眠ってしまっていた…。
「…?」
俺は彼女を優しく抱きしめたまま名前を呼んでみた。
さっきから何の反応もないからだ。
(…どうしたんだろう?)
俺は不思議に思って、もう一度名前を呼んでみた。
「…?そろそろ…送るよ?」
「……」
(…あれ?かすかに…寝息が…)
俺はそ~っと体を放しての顔を覗き込んでみた。
すると彼女は安心したような顔で眠っているのが見える。
「…寝ちゃった?」
一応、聞いてみる…も返事はない。 ―当たり前か―
どうしよう…。思わず引き止めてしまったけど…
ほんとにちゃんと送るつもりだったのに。
…起こそうか…もう…夜中の1時になるし。
窓の外では、まだ雨音が聞こえていて、今はその音すら心地よく聞こえる。
…疲れてるんだよな…
今日は朝早くから仕事をしてたんだし、帰りに無理にバスケの試合なんて連れて行ってしまって
最後はレイ―カーズの数点差の勝利にまで興奮して一緒に大騒ぎしてしまった。
その後に食事しながら多少ワインも飲んだし…それで疲れたのかもしれない…。
俺は安心したように眠っている彼女の寝顔を見ていると起こせなくなってしまった。
そ~っと彼女の体を一度ソファーの上に寝かせると、今度は背中と足の方に手を入れてゆっくりと抱き上げた。
は信じられないくらいに軽くて運ぶのは楽だった。
俺は自分のベッドルームまでを運ぶと静かにベッドへと寝かせて、布団をかけてあげた。
そして暫くベッドの端に座っての寝顔を見ていた。
何だか子供みたいな顔で、いつも怒っているとはまた違う可愛さがある。
何でこんなに気にかかるんだろうな…
好きだという感情よりも先に…可愛いと思うし、会いたいとも思う。
いや…そう思うって事が好きだって事なのか?
他にも好きな女性…例えばティナだってそうなんだけどな…
こんな事を思うから嫌われるんだろうけど。
その時、がかすかに寝返りを打った。
俺はちょっと微笑むと、彼女の頬に軽くキスをした。
そして唇の端にもそっと僅かに触れるだけのキスをする。
は静かな寝息を立てて眠ったまま。
(寝てると…逃げないからな…)
俺はそんな事を思いつつ、「おやすみ…」 と呟き、また最後に彼女の頬へとキスをした―
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ACT.5...唇に微熱>>
ちょっとだけ二人を近づけてみました。これ書いてる時、雨降ってたんで話の中も雨で…(笑)
レオ様宅に、お泊りですよっ キャv(大バカモノ)
あ、レイカーズの試合、ほんとレオ様行ってるんですよね~v
それで、私が見た、レイカーズを、両手を上げて大騒ぎしながら応援してたレオ様ネタを使ってみました(笑)
すっごい一人で目立ってたレオ様(笑)
あれ別に司会の人が言わなくても分るって・…(苦笑)
たまにレイカーズの試合を見てると、もしかしたら、そんなレオ様を見れるかもですよ?
あのK-1の映像よりは、NBAの方が、きちんとハリウッドスターを映してくれますからv
他にもキャメロンディアスが来てたことがあったような・…
もちろんレオ様とは別ですけどね。違う日ですね。
他にもいーっぱいスター★を見れるかもです(笑)
NBA最高!ブルズが好きなのは、ええ私です(笑)
でも昔の王朝時代の頃のブルズですけどねv
ジョーダン、ピッペン、ロッドマン、カー・…一杯素敵な選手がいました…(遠い目)
今でも、あの頃のブルズをビデオで見ると・…燃えます!(笑)結果が分っていたとしても…!(炎)
ロッドマンのリバウンドが最高!でしたv もちろんジョーダンの二秒で逆転勝利という奇跡的ゴールも!(燃)
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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