From me Dear you....Catch me if you canSequel...~
















ディカプリオ家の朝は、"おはよう"のキスから始まる。


俺は毎朝、隣にある温もりを感じて目が覚めると必ず、無意識のうちに手を伸ばしてその温もりを抱き寄せる。
そのまま目も開けずに、愛しい妻の可愛い唇に、おはよう…と言ってキスをした後は、そのまま成り行きに任せてしまう。
今朝も少しづつ目が覚めてきた頃、腕に温もりを感じた。


(ああ、腕枕したまま寝ちゃったんだっけ…)


寝ぼけた頭で、ふとそんな事を思い出しながら俺は普段と変わらず彼女を抱き寄せキスをしようと顔を近づけた…。














ベロリ……




「ぅ……っっ」





(この独特の口臭…っっ!!!)




「ハッハッハ……」




(そして無意味に荒い息……っっ!)








俺は朝から絶望すら感じて思い切り目を開けた―




















ACT.1...プロローグ~新婚生活の悲劇             












「うあぁっ!ジャ、ジャック.…っ!!な、な、何でお前がベッドに…っ。い、いやその前に何で俺の腕枕で寝てるんだよっ!」




隣に寝てたのは愛しい妻ではなく、真っ黒な顔をして赤い舌をへッへッへと出して
尻尾をフリフリしている最近飼い始めたラブラドールのジャックだった。
俺はガバっとベッドに起き上がり、軽くガウンを羽織ると後ろを振り返り、小さく溜息をついた。


「へッへッへ…」
「お前…いつの間に、と入れ替わったんだ?」


と言って軽く頭を撫でる。



「うあっ。いいよ、来なくてっ!」



ジャックはベッドの上で伏せをしていたが頭を撫でると、"嬉しいぃ~vv"という顔で
尻尾の振る威力を増しながら、ジリジリと近寄ってくる。


「ったく…、ちょっと構うとこれだよ…」


俺は苦笑しながらベッドを出てバスルームへと向かった。
軽くシャワーを浴びて顔もジャックのヨダレで汚れたので思い切り洗う。
チラっと曇りガラスのドアを見れば黒い影がチョコンと座ってるのが見えて、つい噴出してしまった。


「待ってるのかよ…」


俺はシャワーを止めると、バスタオルで体を軽く吹いてバスローブを羽織った。
俺がドアを開けようとしても一向に黒い塊はよけようとしない。
仕方がないので、そのまま勢いよくドアを開け放った。




ゴツン…ッ




鈍い音がして多分ジャックの鼻先にあたったのだろう。
俺が出た時にはジャックは鼻をブシュブシュ言わせながら、クシャミをしていた。


「ぷ…っ。お、お前、お約束な奴だよな、ほんと」


俺は笑いながらジャックの頭をポンポンとすると、そのまま寝室を出てリビングに下りて行った。
かすかに紅茶の香りが漂ってくる。
俺は、そのままリビングには向かわず、先にキッチンの方へ歩いて行く。
後ろからカチャカチャと爪を鳴らしながらジャックがついてきている。


「お前…ストーカーか?」


後ろを見ながらそう言えば話し掛けてもらったのが嬉しいのかジャックは、いつもの様に尻尾をブンブンさせている。
それを見て苦笑しながらキッチンを覗けば、そこに愛しいの後姿が見えて俺は笑顔になった。



「あ、レオ。おはよ…んぅっ」


笑顔で振り向いたの唇をすぐに塞ぎ、彼女の腰を抱き寄せた。
驚いた顔をしているを見てちょっとだけ唇を離すと、「おはよ」と呟き、また口付ける。


そのまま耳、首筋へも唇を這わせて行けばもさすがに逃げようともがき出した。


「レ、レオ…?ちょ…朝食作れない…」
「んー。でいいよ。俺は」
「ま、また、そんなことばっか言って…っ」


俺がの鎖骨にもチュっと口付けて顔を上げれば、真っ赤な顔の彼女と目が合う。
少しだけ唇を尖らせているに俺は優しく微笑んだ。


「おはようのキスは基本だろ?」
「…キスだけじゃないじゃない…」
「あれ…やだった?」
「………」


俺が笑いながら問い掛けると、はすぐ視線を反らしてしまう。
腰を抱き寄せていた腕を離して、の頬に添えれば、チラっと俺を見上げてくる。
そんな彼女の顔は朝からドキっとさせてくれる。


「そーんな顔してたら、すぐ押し倒しちゃうよ?」


俺は苦笑しつつも、そう言って最後にチュっと口付けると、もやっと笑顔を見せてくれた。
と言っても呆れ顔で、なんだけどさ。


「もう、レオってば、ちっとも変わらない」
「結婚して一ヶ月も経ってないのに変わったら怖いだろ?それとも…は俺に変わって欲しいの?」


の頬にもキスをしながら、そう聞けば、はクスクス笑うだけ。


「レオ、紅茶でいいの?」
「うん。と同じのがいい」
「解った。 ―あ、ジャック、ご苦労様!」


は、そう言ってさっきから足元で"仲間に入れてオーラ"を出していたジャックの頭を撫でた。


「え…?ご苦労様って…。もしかして…俺を起こすようにジャックをよこしたのって…?」
「うん、そうよ?ちょっと手が離せなかったからジャックにレオ起こして来れる?って聞いたら、
ワン!って言って走って二階に上がって行っちゃって…
冗談で言ったのに。この子、実は凄く頭がいいんじゃないかな?ね、そう思わない?」


はワクワクしたように俺を見た。


「頭…ねぇ…」


俺は、そのままチラっと足元の黒い顔を見ると、へッへっと言いながらジャックが笑顔(?)で見上げていて
尻尾を左右に振りつつダスキン効果を出している。


「その辺は何とも微妙だな…。今だって起こしに来たというより俺の腕枕で寝てたし…
それに、こいつ昨日も階段下りるとき、足滑らせて鼻から落ちたんだよ?ドン臭いにも程がある」
「あら、そこが可愛いでしょ?ねぇ~?ジャック」
「ワン!」
「ほら、返事するし、やっぱり頭がいいわ」


は嬉しそうにジャックの頭を撫でつつ、朝食の準備をして行く。
俺はの後姿を眺めながらダイニングテーブルに座った。
が先に淹れてくれた紅茶を飲みながら、こうして彼女と毎日会えるのが未だに信じられなかったりする。


一度は…別れを覚悟した恋だったのに…
今はこうして結婚までして一緒にいる。
は辛い思いをしてまで俺を守ってくれようとして、無理をして大怪我までした。
まだ心の方が不安定なんじゃないかと心配もしていたが魘される事もなくなった。


最近の彼女は、よく笑う。
まるで出逢った頃の彼女のように…
俺の言った何気ないジョークや、ジャックの仕草を見て大きな口を開けて笑っている。
それが俺には凄く嬉しい…そして幸せな瞬間だ。





…」
「ん~?」
「…愛してるよ」
「…………っ」





卵を割っているに、そう言えば彼女の手が止まり、恥ずかしそうに俺の顔を見る。
そして、ちょっと微笑むと、また作業に戻った。
こんな些細なことでさえ、凄く幸せだと感じる。




「ワンワン!!」
「んあー…ジャックも愛してるよ、うん…」




俺の膝に手を乗せて吠えてくるジャックに、仕方なく、そう言えば尻尾がブンブン風に乗るように振られて、
ピーンと伸ばされた後ろ足は、せわしなくジャンプしながら爪をカチャカチャ鳴らしている。


「わ、解ったから…。まずお前は落ち着け!お座りしてろよっ」


俺がそう言ってもジャックは言う事を聞かない。
ピョンピョンとジャンプをしながら終いには俺の膝の上に乗る勢いだ。


「ちょ…お前…朝からうっとおしいなー…っ」
「ワンワン!!」
「わんわんじゃないよ…。…こいつ訓練に出さない?」


俺は顔までジャンプしてきそうな勢いのジャックを何とか抑えながら、そう言うとも、こっちを見て笑っている。


「そうね?そろそろ訓練に出した方がいいかも…。でも…そういうのって性格だから…直るかな…」


はとうとう俺の膝に上ることに成功したジャックを見ながら苦笑交じりに呟いた―












俺が結婚した事で何だか雑誌もテレビも騒がしかった。
確かに普通に結婚するだけでも騒がれそうなのに、あんなスキャンダルのあった後でまた再び同じ女性と…
となるとマスコミだって放っておかないだろう。
結婚するまでは大人しくしててくれたマスコミも結婚後はそうは行かなかった。
新婚の気分を聞きたいのか何なのか、取材攻勢してきてるらしい。
それはジョーから聞いたんだけど。
新婚といえば…やっぱり二人きりで甘い時間を過ごすのが普通だろ?
しかも俺とは、あんな思いまでして、やっと結婚出来たんだから…
だからこそ少しの間はと二人きりで過ごしたかった。
なのに…何でこうなるんだろう?


「おぉ、何だかでかくなったな?この犬!一週間しか経ってないのにっ」
「ほんとだよねぇーーーっ。きっと二人が贅沢させてんだよ。ね?レ…」
「帰れよっ!」
「むっ。何でだよっ。せっかく遊びに来てるのに!」
「来なくていいよ!前に言っただろ、トビー!!」
「まあ、まあレオ。そんな怒るなって」
「ジョニーも!一週間前に来たばかりだろ?何で来るんだよっ」
「や…近くを通ったから…」
「あんたの泊まってるホテルはハイランドだろ?何で、こんなとこ通りかかるんだよ?」
「ま、まあ、それはだな、偶然、トビーに会って…」
「ハリウッドスターが偶然、出会う場所かよっ!」


俺はそう言ってソファーに座るとがビールを運んで来た。


「おぉ、さすがちゃん!気が利くねぇーーっ」
「ほんとだな?どこかの焼きもち亭主とは大違いだ」


トビーとジョニーはニコニコ顔で嫌味を言っている。
俺はとことん無視することに決めた。


、そんな人達は放っておいていいからこっちおいで?」
「で、でも…」
「いいって。こーんな時間に新婚家庭にわざわざ来るようなお邪魔虫は放っておけよ」


俺はそう言って美味しそうにビールを飲んでる二人を睨み、を抱き寄せた。


「おぉーこわっ。レオってさぁ、ちょっとキャラ変わったよねぇ?前ならこんな熱くなって怒ったりしなかったのにさあ」
「そう言えば、そうだな…。ま、これも愛する人が出来れば変わるんだろう?」
「そこ…。勝手に人の事を分析するな…」


俺は二人を睨みつけると、を膝の上に座らせた。


「ったく…さっきまで平和だったのに…」


俺がブツブツ言っているとは呑気にクスクス笑っている。


、笑い事じゃないだろ?」
「ご、ごめん…。だって…」
「もう…は二人きりじゃなくていいわけ?」
「…それは…二人でいたいけど…」


は恥ずかしそうにそう言って俯いた。


「じゃ、二人は置いといて二階に行く…?」
「え?」


俺がそう言っての腰を抱き寄せると彼女は顔を赤くした。
だがそれを外野が見逃すはずはなく…


「そこーー!!セクハラだ!」
「アホか!旦那が妻にどんなセクハラだよ!」


俺もついムキになって言い返してしまった。


「まあまあ、ケンカするな。レオも飲むか?」
「ジョニー…。あんたも自分の店で飲んで来いよ…」


俺は半目になりつつ軽く息を吐き出した。(ここは飲み屋じゃないっつーのっ)


「うーん。一人で飲むのはつまらないだろう?」
「だからって何で、うちに来るんだよっ」
「何でってお前…結婚してから、ちっとも飲みに出歩かないじゃないか。だから俺もトビーも、こうして出向いてやったんだ」
「頼んでないよっ。全く最悪だよ…」
「そんな怒るなって。そう言えば…二人は新婚旅行はどうするんだ?行かないのか?」


ジョニーが話題を変えてきた。
俺はちょっと肩を竦めて、「もちろん行くよ…」とだけ言っておく。


すると、すぐに、その話にトビーも食いついてくる。


「何?何?どこ行くの?」
「まだ決めてない。それにジャックもいるからが心配だって言うし…」
「そんなの預ければいいんじゃないの?」
「そうだけど…こいつ、まだ子供だから今すぐ預けるのもなぁ…」


俺は足元で腹を出して仰向けに寝ているジャックを呆れつつ眺めた。


「こいつ…ほんと緊張感ゼロだな…」


俺がそう呟くとが笑いながら立ち上がった。


「どこ行くの?」
「私もちょっと飲もうかなって。レオも飲む?」
と一緒なら喜んで」


俺が笑顔でそう言えば後ろで、「うあーやーな感じ!」とトビーのバカが叫んでいる。


「うるさいな…。なら帰れ」
「帰らない!」
「…チッ」
「あーー舌打ちしたぞ!レオママに言いつけるぞ!」


(時々、本気で殴りたくなるよ、こいつだけは…)


そこに悪魔の到来を告げるようなチャイム音が響いた。
俺は顔を顰めてソファーから立ち上がると、その音で目が覚めたのかジャックが伏せをしながら俺を見上げている。
ジャックの瞳はキラキラしてて俺の目には"僕が行ってあげようか?"と訴えているように見えた(!)
俺はニヤっと笑うとジャックの前にしゃがみ込んだ。


今朝ののように命令してみても行くかどうか…


「よし、行け」
「ワン!」


玄関を指差してそう言ってみればジャックはスクっと立ち上がり、猛然と走り出して玄関ホールまでかけて行った。
俺もその後をゆっくりとついていくと、ジャックがドアの前でジャンプをしてノブを手に引っ掛けている。
その勢いでカチャ…っとドアが開いた。





「ん…レオか…?うぁぁぁあっっ!」





ドアが開いたからと油断して入ってきたジョーは突然黒い塊に飛び掛られて後ろへひっくり返っている。
そのままジャックのベロ攻撃だ。


「アハハっ。ジャック、もういいよ?そんなの舐めても美味しくないだろ?」


俺が笑いながら声をかけるとジャックはニカっと笑って(そう見えた)俺の方に振り返り走って戻って来た。


「よしよし。お前、ほんと頭いいんじゃないか?」


俺がそう言ってジャックの頭を撫でているとひっくり返っていたジョーがムクっと起き上がった。


「な、な、何で犬が出迎えするんだ!」
「嫌な予感がしたから様子見て来いって言っただけだよ?」


俺は肩を竦めてすまし顔で答えるとジョーはくしゃくしゃのハンカチで顔を拭いている。


「どうでもいいけど、大きくなったな、そいつ」
「まあね、それより…。ジョーまで何の用…?」
「ん?俺までって…他にも誰か客がいんのか?」
「客?まさか!お邪魔虫が二匹だよ」


俺は顔を顰めてそう言うとジャックを連れてリビングへ戻った。


「あ、レオ、誰だったの?」


がトビーとジョニーに何やら、おつまみを出しながら振り返った。


、そんな構わないでいいから休んでなよ。トビー!お前がやれ、こんな事は!」
「む~俺はディカプリオ家の家政夫じゃないよ!」
「いいから、の手を煩わせるな」


俺はそう言ってを抱きしめると、そのままテレビ前の大きな二人がけのソファーの方へ移動した。


「おいおい、賑やかだな?」


ジョーが先に洗面所で顔を洗ってきたのかスッキリした顔でリビングに入ってきた。
だいたい人の家の洗面所を勝手に使うなと言いたい。


「あ、ジョー久し振り~」
「おぉ、トビーか、久し振りだな」
「やあ、今晩わ」
「ああ、ジョニーまで。これまた久し振り」
「ジョー彼女出来た?」
「うるさいよ!」


何だかジョーも加わり騒々しさが倍になった。





「はぁ…」
「レオ…?どうしたの?疲れた?」


俺の腕の中でが心配そうに見あげて来る。
それには笑顔を見せて首を振った。


「ごめんな?うるさいのばっか来て…。今度からチャイム鳴っても出ない事にしよっか。
それともレーザービームでもつける?」(!)
「そんな…ダメよ」


はちょっと笑いながら、「ジョーさんにもビール出してくるね?」と立ち上がろうとしたが、俺は慌てて腕を掴んだ。


「いいっ。いかなくて!」
「でも…」
「いいのいいの。は俺の傍にいて? ―おい、ジョー!ビールくらい自分で取りにいけよ?」
「はいはい…解ってるよ…」


ジョーはそう言いながらキッチンの方に歩いて行った。


「ったく…俺の家は溜まり場じゃないって…」


俺は、そうぼやくと心配そうに俺を見ているにニコっと微笑んで唇にチュっとキスをした―















「え?取材?」


俺は少し顔を顰めつつジョー見る。


「ああ。何だか多いんだよ。取材させてくれってさ」
「やだよ。そんな根掘り葉掘り聞かれるだけだろ?」


俺はそう言っての方をチラっと見た。
はトビーが散らかした場所を苦笑しながら掃除している。
それを何故かジョニーが手伝っていた。


の事だって…また書かれるのは嫌だよ」


俺はそう言ってもう一度ジョーを見る。


「まあなぁ…。この前の映画の取材だって言ってるけど…その辺のことも聞かれるだろうな。
ま、嫌なら今まで通り断っておくよ」


ジョーは、そう言ってビールを一口飲むと、ふと時計を見た。


「何?まだ仕事あんの?」
「え?あ、ああ…いや…そういうわけじゃないんだが…」


何だかうろたえながら視線を反らすジョーに俺は首を傾げた。


「ま、別に帰ってくれてもいいけど?どうせならトビーも連れていってくれれば助かる…」
「やだよ、あんな酔いっ払い!起きやしないじゃないか」


そう言って二人で、テレビ前のフカフカ絨毯の上で大の字になって寝ているトビーを見た。
ジャックが何故かトビーの股間に入って丸くなっていて遠くから見ると"太"←こんな感じに見えて思わず吹き出してしまう。


「何だよ、あいつら。写真でも撮ってやろうかな」


俺が笑いながら、そう言って煙草に火をつけると、突然携帯の音が鳴り響いた。


「おい、ジョー.…。お前いい加減、そのタイタニックの着メロやめろよ…」
「い、いいだろ!俺はセリーヌ・デオンが好きなんだよっ」
「"デオン"じゃなくて、"ディオン"だろ?おっさんだな、ほんとに!エセアメリカンめ…」
「ぬ。アゲアシを取るな」
「いいから早く電話出ろよ」
「ああっと、いけね…」


何だかジョーは慌てて携帯を取り出し、わざわざ玄関ホールにまで出て行った。


(何だ…?仕事の電話なら、ここで取ればいいのに…)


俺は、そう思いつつ煙を吐き出すと、の方を見た。
が、さっきまで居た場所にがいない。
ついでにジョニーも…


(ど、どこ行ったんだ?!)


俺は慌てて煙草を消してソファーから立ち上がった。
そして思い当たりキッチンまで行ってみると話し声が聞こえてきて急いでキッチンを覗けば…


「わぁージョニーってば、お皿洗うの早いですねーっ」
「まあ、一人暮らしも長かったから慣れてるんだよ」
「へぇー。あ、レオ」


は俺に気づいて駆け寄ってきた。
すぐに彼女を腕の中に納めると、俺はジョニーの方を見た。
ジョニーは皿を洗いながら俺を見ていたが、俺はジョニーのつけているのエプロンに目が釘付けだ…(前にはトビーも着用)


「おい、ジョニー…」


「ん?」


「そのエプロン…脱いでくれる…?」


「………」







俺は思わず半目になって、そう言ってしまった。




(何で皆、のエプロンをつけたがるんだ…?)





俺の最近の疑問といえば、こんな事だった…。



























「じゃ、また来るよ」
「もう来なくていい…」
「まぁまぁ、そんな冷たいことは言わずに」
「そぉーだぁ~!!レオは前にも増して冷酷男になったなぁ!」
「トビー…お前は寝とけ…」
「やぁだよぉ~ひっく…」
「お、おいっ!トビー重いぞ…?!」


ジョニーはフラフラのトビーを担ぎつつ、には笑顔を向けて、「じゃあちゃん、またな?」なんて鼻の下を伸ばしている。


「はい、お休みなさい。帰り気をつけて」
「ああ、大丈夫。ジョーに送ってもらうからな」


ジョニーはニヤリとすると後ろを振り返った。
ジョーはすでに車に乗り込んでエンジンをかけている。


「しかし…ジョーどこ行くんだろ」


俺はそう呟いてを見た。


「さあ…?だいぶ急いでたもんね?」


も苦笑しながらジョーを見ている。


そう…さっきの電話の後、ジョーは戻ってくるなり、「俺はもう帰るよ」と言い出し驚いた。


(いつもなら、しつこいくらいに居座るのに…)


何か用事?と聞いても言葉を濁すし、どことなく目まで泳いでいた気がする。
俺とは顔を見合わせて怪しい…と呟いた。


「じゃ、こいつ送ってくるよ。またな?」
「もう来なくていいよ…」
「そう言うなっ」
「言うよっ。新婚なんだから邪魔するなっ」
「お前達は、いつでも新婚だろ?じゃーなー」


ジョニーは最後までニヤニヤしながらトビーを抱えて車に乗り込んだ。
いつもなら先に酔うジョニーも今日はさすがに酔えなかったようだ。
パッパーとクラクションを鳴らしてジョーが車を発車させた。
俺は軽く手を上げると、車が門を出るまで見届けて、その後にシッカリとロックをしておいた。






「はぁー!やーっと邪魔者が消えた!」
「レオ…。また、そんなこと言って…」


は苦笑しながら残りのグラスやら皿を下げていく。
俺も一緒に、それらを運ぶと、洗うのを手伝った。


「レオ、いいよ?休んでても」
「何で?手伝いたいんだ」
「でも……んっ」


顔を上げたの唇をそっと塞げばが驚いて洗っていたフォークをカシャンと落とした。
ゆっくり唇を離せばの恥ずかしそうな瞳と目が合う。


「も、もう…驚くじゃない…」


は落としたフォークを拾いながら赤くなった顔を隠そうとしている。
俺はちょっと笑いながら拭いたグラスを棚に仕舞った。


「油断してるからだろ?」
「知らないっ。あっちでジャックと遊んでていいよ?」
「あれ…怒ってる?」
「怒ってない…」


は手を休める事なく素早く食器を洗い終えると、タオルで手を拭きながら振り向いた。
俺はそのまま彼女を抱きしめて額にそっと口付ける。


「レオ…?」
さ、旅行、どこ行きたい?」
「え?」
「新婚旅行だよ?」
「あ…でも…今はまだ行かなくても…」
「え?何で?」


俺が少し体を離して聞くと、は俯いたまま、


「実は…病院側から早く復帰してくれって言われてて…」


と呟いた。


「え?早くって…いつ?」
「来週…くらい?」


は言いにくそうに呟いて俺を見上げる。


「えぇ~?来週って、そんな早すぎない?体は大丈夫なの?」
「体はもう平気よ?それに…看護婦さんが二人ほど辞めちゃうんだって…。
キャシーが言ってたんだけど人が足りないから大変だって…」
「そうなの…?でもなぁ…。暫くはゆっくりしたかったのに…」


俺は少しスネた口調での顔を覗き込んだ。


「レオ…ごめんなさい…」


(そうやって謝られると俺も弱い…)


ちょっと息をついて、「解ったよ…。じゃあ…旅行はお預けね?」と言っての頬にチュっとキスをした。


するとがパっと顔を上げて、「いいの?!」と聞いてきた。


「だって…仕方ないだろ…?、放っておける性格じゃないしさ」
「ありがとう、レオ…」


はホっとした顔で微笑むと俺の胸に顔を埋めて来た。
そのままギュっと抱きしめると、「でも…時間出来たら、ちゃんと行こうね?」と言うとが小さく頷いた。


「じゃあ、それまでに、どこに行きたいか決めておいて?の行きたいとこに行こう」
「いいの?」


が大きな瞳を丸くして見上げて来て思わず笑顔が零れる。


「いいよ?」


そう言って優しく唇を重ねるとの手が俺の背中にそっと回された。
強く抱きしめてキスを深めていけば、俺の理性も脆いものですぐにが欲しくなってくる。
ゆっくり唇を離すとそのままを抱き上げて寝室へと向かった。


「あ、あの…レオ…?」
「ダーメ。逃げるのは許しません」


俺が笑いながらそう言うとは顔を赤くして首を振った。


「そ、そうじゃなくて…ジャックにご飯あげないと…」
「ジャック?ああ、でもさっきトビーのつまみ、一緒に食べてたんだし大丈夫だろ?あいつ食いすぎだよ?」
「そ、そっか…。太っちゃうかな…」
は、もっと太ってもいいけどね?」
「え?で、でも…重くなっちゃうし…」
が太ったって、まだ軽いよ」


俺はそう言って明かりも付けないまま寝室に入るとすぐにをベッドへ押し倒した。


「ん…レオ…」


何か言いかけたの唇を少し強引に塞ぐとやっとも体の力を抜いた。
最初から舌を侵入させて口内を優しく愛撫しながら、ゆっくり服を脱がせていく。
少しづつ唇を下降させて最後の一枚を脱がそうとした、その時…












ベロン.…




ゾワ…(鳥肌)












何かに首筋を舐められ、しかも気分が盛り上がってた時だからか一気に腰まで響いた。




「ぅ…っ」




がこんな大胆な事をするはずがない…)











と言う事は…"あいつ"しかいなかった…。







そっとの胸元から顔を上げて横を見ると暗い中にキラリと光る円らな瞳が見えた気がした。














「…ジャ、ジャック…っっ」


「え?」


「八ッ八ッハッ…」




俺の言葉にも驚いて体を起こせばジャックが嬉しそうに俺との間に割り込んできた(!)




「うぁ、お前、降りろって!」
「え…キャ…っ」
?大丈夫か…?」
「く、くすぐったいよ…っアハハハ」
「え??」





俺は目が慣れてきてそっとの方へ手を伸ばすとスベスベな毛に触れた。


「こ、これって…」


見ればジャックがのお腹に乗って嬉しそうにジャレていた…
は頬を舐められてくすぐったいのか、笑いながら必死にジャックを押しのけようとしている。
俺はちょっと息を吐いて、少しだけ太くなってきたジャックの体の脇の辺りをひょいっと持ち上げた。


、大丈夫?」
「う、うん…。やっぱりジャック、お腹空いてたんじゃ…」
「はぁ.…。そうなのか…?」


腕の中でだらーんと足を伸ばして未だへッへッと舌を出しながら尻尾をぐいんぐいんと振っているジャックを呆れ顔で見つめた。


「ワン!」
「あーもう解ったから…」


俺は観念してジャックにご飯をあげる事にした。


「ちょっと、こいつにご飯あげて来るね?」
「う、うん…。じゃ…私シャワー入る…顔中舐められちゃった…」


は苦笑しながらベッドから下りて服の前を合わせている。


「後でもう一回俺が舐めてあげるよ?」
「な、何言って…っ」


俺が笑いながらそう言えばは真っ赤になってバスルームへ駆け込んでしまった。


「あーあ。お前のせいで嫌われたぞ…?どうしてくれんだよ…」
「八ハッハ.……ワン、ワン!」
「へいへい…。お腹空いたんですか?今やるよ…。しっかし、お前息遣いがまるで変質者だな…」


俺はジャックを抱えたまま渋々寝室を出てキッチンまで向かうとすぐにジャックのご飯を出してやった。
いつもより多めにしといたのはこいつがすぐに食べ終わって、また邪魔しに来ないようにという配慮だった(!)




「全くさぁ…。どういう新婚だよ、これ…」




俺が、こうぼやきたくなったのも仕方のない事で…


人間だけじゃなく犬にまでとの時間を邪魔されて、俺はちょっと悲しくなった。


ジャックだけは何も知らず、ガツガツとご飯を美味しそうに食べている。




「やっぱ、あれか…?お前にも…ローズを飼ってやらないとダメってこと…?」




俺はジャックの前にしゃがみ込んでそう呟けば、ジャックは食べながら顔を上げフグッと変な声を上げた。


























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ACT.2...夫と妻と愛犬と…>>


ちょっとショートくらいから手始めに…v
Catch me if you can!の続編で御座います。
あまり長くはならないかもです。
これは思いついたら書いていくと思われ…^^;
あとWeb拍手SS用に、【ジョーの秘密プロジェクトA】公開中(笑)
この話の中で、ジョーが少しだけきょどってましたがその理由が解ります(笑)


本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...


C-MOON...管理人:HANAZO