君の瞳に恋してる // 06
「…もうそろそろ、いいんじゃない?」
彼女の機嫌を伺いながら尋ねてみる。
すると今までトマトを切っていた手がピタリと止まった。
(う、この雰囲気は…怒ってる?)
一瞬、空気が冷えた気がして僕は一歩だけ後退した。(だって手に包丁が!)
「オーリィ」
「な、何だい?ハニー」(ビクビク)
怖い。
ハッキリ言って、ものっそい怖い。
でも僕だって男だ。
引き下がれない事もあるのさ!(グッ)(握り拳)
僕は今、から大きな大きな、そう重すぎるほどの罰を受けている。
それは僕が浮気未遂しちゃった事と、ほんの少しの出来心で彼女の着替えを覗いちゃったという、何とも情けない罪のせいだ。
でも僕は浮気なんてしちゃいないし、覗きだって言ってみれば同棲している彼女の着替えだ。
どうして、ここまで重たい罰を与えられないといけないんだい?!(反省の色ナッシン)
だいたい一ヶ月以上もH禁止、キスも禁止、なんて恋人同士って言えるか?
そう!たまには僕だって強気で出てもいいはずだ!
何せ僕はのダァ〜リンなのだから!
と、声を出して言えないので心の隅(!)で叫んでいると。
彼女がクルリと振り向いた。
しかも…手には包丁を持ったまま――!(OH!MY!GOD!)
「何がそろそろいいの?」
「へ?」
振り向いた彼女はキョトンとした顔で僕の事を見つめている。
その姿はやっぱり可愛くて、思わず抱きしめて甘い口付けをしたぃ――!
いやいやいやいや!ここで勝手にチューなんてしたら、絶対にあの包丁でブスリと一突きされるに決まってる!(なぬ?)
この二人の愛の巣が血の惨劇となってしまうじゃないか!(どんな恋人だ)
ここは落ち着け、オーランド!
そう、彼女だって実は待ってるかもしれないんだ。
そうさ!それに前にもヴィゴから聞いたことがある。
男と同じで女にも欲求不満というものがあると…!(わぉ♪)(喜ぶな、俺)
そう!だって僕と同じで辛いはずさ!Hもキスも、ずーっとお預けだったんだから―――!
もう僕の頭の中はエロ一色…コホン、もとい。
愛一色で染められていた。(嘘つけ)
「あ、あのさ…だから残り三日くらいだし…そろそろキスくらぃ…」
最後の語尾が何気に小さ〜くなってしまったが、きっとには聞こえてるだろう。
その証拠に、ほら、彼女の頬がかすかに赤く染まってるじゃないか!
よし、ここは一気にたたみかけるんだ、オーランド!
「…!」
「きゃ…」
僕は一気にたたみかけるべくの手を引き寄せ思い切り抱きしめた。
その拍子に彼女の手に握られていた包丁が落ちて、ドス!という音と共に床に突き刺さっている。(ひぃ〜!)
「ちょ…オーリィ…包丁が…」
「いいんだ、そんな穴の一つや二つあいたって」 (内心、冷や汗タラタラ)
そう、今の僕は我が家がきっとマシンガンで襲撃されて(!)穴ぼこだらけにされようが、を離す気はなかった(待て)
何故なら、久しぶりに抱きしめた彼女の温もりで今の僕にはまともな思考は皆無に等しかったから。
「あ、あのオーリィ…」
「し…。このままでいて」
人差し指で唇を押さえると、は僅かに目を伏せた。
その可愛さといったら!
言葉では言い表せないよ。
しかも指に残った彼女の唇の感触に、僕の中で残っていた小さな小さな理性もガラリと崩れ去った。
グイっとの腰を引き寄せ、ゆっくりと顔を近づけていく。
その瞬間、彼女の体がビクっと反応し、顔を上げたの目が大きく見開く。
それでも構わずに屈んで唇を近づけていった。
ちゅ…
……………。
「…冷っ」
てっきりの柔らかい唇かと思えば…何やら冷たい感触が僕の唇を襲った。
恐る恐る目を開けてみると――
「何、する気だったのかしら、オーリィ…」
「う…そ、それ…」
目の前にはの怖ーい顔と真っ赤なトマト。
(どうやら彼女が赤くなってたのは照れてたのではなく、怒ってたからだったらしい)
「な、何ってキス…」
「ダメよ!まだ期間は三日もあるんだから」
「そ、そんな!たった三日じゃないか!Hはなくともキスくらい―」
「ダーメ!約束でしょ?」
「で、でもヴィゴが言ってたよ?女の子だって欲求不満になるって!もそろそろ―」
「な、何てこと言うのよっっ!」
ゴィン!
「うがっ」
真っ赤になって怒り出したは、僕の額めがけて持っていた、少し固めのトマトをぶつけて走り去ってしまった。
しかも慌てて彼女を追いかけようとした僕の足が、床に落ちた、そのトマトを踏みつけ―
グシャッ
「う!」
あげく床に刺さっていた包丁を避けようと体をひねった先にあったものは―
ダイニングテーブル、の上に並べてあった今夜の夕飯だった―!
ガシャ―ンッバリンッゴトッ…
「オ、オーリィ!!!」
凄い音を聞いてが戻ってきてくれたはいいが、彼女が見たのは頭からパスタをかぶった僕の情けない姿だった。
「ああ…もうー」
「ご、ごめん…」
呆れたように息をつくに正座して素直に謝る。
でもさ、これでも僕は一生懸命、を愛してるんだよ。
「ほーんとオーリィってぶきっちょね」
「…ごめん」
「まあ、でも…そこがいいところなんだけど」
は苦笑交じりで歩いてくると、床にへたりこんだ僕の前にしゃがんだ。
そしてパスタで汚れた頬を軽く拭いてくれる。
そこで顔を上げると、いきなり柔らかいものが唇に押し当てられて本気で驚いた。
「…?」
「…オーリィのそういうとこも全部、好きだから…仕方ない」
僅かに唇を離し、そう呟いたは照れくさそうに微笑んでいた。
その瞬間、思い切り彼女を抱きしめると、今度はも素直に抱きついてくる。
「ね…」
「ん…?」
「もう一回…キスしていい?」
「…いいよ」
一回も二回も、一度してしまえば罰にならない。
彼女は苦笑しながら、軽く背伸びをして僕の唇を塞いだ。
不器用な人間の精一杯
僕らは久しぶりに、甘いキスを交わした。
この続きは今日から始めた「SS・Dream・BLOG」にて公開中ですw
これはホント短いものを今、連載してる話から書いたり新しいものを書いたりしてます。
一種のリハビリみたいなものですかね。
興味のある方は覗いてみて下さいませ<(_ _)>
「Days」からも行けます。コチラ→「Endless dream」
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
感謝を込めて…
C-MOON管理人HANAZO
これはホント短いものを今、連載してる話から書いたり新しいものを書いたりしてます。
一種のリハビリみたいなものですかね。
興味のある方は覗いてみて下さいませ<(_ _)>
「Days」からも行けます。コチラ→「Endless dream」
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
感謝を込めて…
C-MOON管理人HANAZO