君の瞳に恋してる // 01
恋愛とは不思議なものだ。
小さなキッカケ、些細な偶然から思わぬ恋が芽生えたりする。
もしくは"恋愛したーい"なんて思ってる時や片思いしてる時ほど何の兆候もなければ、想いが実らなかったりする事だってある。
でもそんな気持ちが薄れた頃、思いがけない真実が目の前に現れる事もあって…。
私と彼の場合も、そんな感じで始まった。
「また別れたの?」
「だって…」
「だってじゃないわよ。今年に入って何人目?」
そう言って冷たい目を向ければシュンと頭を項垂れた隣の男は学生時代からの友人で俳優なんてやってるオーランド・ブルームだ。
今や彼はデビューしてから飛ぶ鳥を落とすくらいの勢いで売れっ子となったハリウッドスターであり、こんな庶民の私と一緒に飲むなんて普通ならありえない。
なのに彼は昔と変わらず、帰って来た時は定期的に連絡をくれるし、こうして飲みに誘ってくれる。
「また浮気したんでしょ」
「浮気って言うか、さ。ちょっと他の子と食事に行ったりしただけで…」
「それを浮気と言わずして何と言うのよ」
「……」
呆れたように溜息をつけば、オーランドは何だか捨て犬みたいに瞳を潤ませる。
「でも友達だよ?」
「向こうはそうじゃないと思うけどね」
「…何だか今日のはキツイね」
「オーリーがバカだからよ」
「それもキツイ」
こんな言い合いはいつもの事で、私とオーランドはこれで上手く行っている。
と言って私たちの間に恋愛感情なんてない。
と言うか、昔はそんな淡い想いもあったかもしれないけど、とっくの昔に忘れ去ったもの。
…のはずだった、今日のこの時までは。
「…何で一人の子をずっと大切にしてあげられないの?オーリーってば学生の頃からそうだったじゃない」
「うん、そうだね…」
(…あらら…珍しく素直。本気でへコんじゃったかな…?)
いつになく大人しいオーランドを横目で見ながら私はビールを飲み干した。
でも、こんな事を言ってあげられるのって私しかいないし、(どうせコイツは芸能界でチヤホヤされまくってるんだから)
いけない事はいけないと怒ってあげないとね。
なんて偉そうなことを考えていると、いつの間にかオーランドが顔を上げて真剣な顔で私を見ていた。
「…何?」
言い返すくらいの元気は出たのかな。
そう思って少しだけホっとしていると、今度は軽く目を伏せるオーランドに私は首を傾げた。
「どうしたの?オーリー」
「…俺さ」
「うん?」
急に口を開いたかと思えば小さな声だから、私は少しだけ彼の方に体を寄せた。
するとオーランドは真剣な目でチラっと私を見て小さく溜息をつく。(失礼な)
「……何で…誰と付き合っても上手くいかないのか、最近ずっと考えて…で、分かった気がしたんだ」
「…そんなのアンタが気が多いだけ―」
「のせいなんだ」
「…はい?」
何を言い出すのかと思えば…
何でアンタの浮気グセが私のせいなわけ?
そう思いながらオーランドの言葉に眉を寄せる。
でもコイツときたら急に私の方に顔を向けるもんだから至近距離で目が合ってドキっとさせられた。
「オ、オーリィ…?」
「俺…学生の頃、の事ずっと好きだったんだ」
「―――な」
何を言ってるの?この男は!
いきなり思ってもみない告白に私は本気で目が点になった。
「ちょ…オーリー大丈夫?何か変なものでも食べ―」
「食べてない」
「じゃあ飲みすぎ―」
「でもない」
ことごとく返してくるオーランドに私はだんだん追い詰められてしまった。
「あ、あのね、オーリー。そんな悪い冗談は…」
「冗談なんかでもないし、だいたいに冗談言って笑わす気分でもないんだ」
…何でそんな真剣な顔をするのよ。
今までみたく笑えないじゃない。
そもそも…この突然のカミングアウトのキッカケはオーリーが何で誰と付き合っても上手く行かないか、だった訳で。
そこにどうして私が出てくるの?
あ、でも間違えちゃいけないのが学生の頃好きだった、というオーランドの言葉。
これは過去形というやつで、という事は今は違うわけで…ああ、もう訳が分からない!
「…、今あれこれ考えてるだろ」
「当たり前でしょ!意味が分からないのよっ」
動揺している私に小さく噴出したオーランドにムカっと来てそう怒鳴ると、彼は今日初めて楽しそうに笑った。
「笑い事じゃないし」
「だってのそんな顔見た事ないからさ」
「……からかってんの?」
「まさか。俺は至って真剣だよ」
オーランドはそう言うと私の頭にポンと手を乗せた。
「あの頃はさ、今の関係を壊すのが嫌で言えなかったし、も俺の事は男として見てないなーって思ってたから友達のフリしてた」
「な…」
「で、俺も大人になって、俳優になって色々な子と付き合ってくうちに…その想いも消えたと思ってたんだ」
「……」
何だか憑き物が落ちたみたいに清清しい顔で過去の話をするオーランドを見ていると、だんだん顔が赤くなってきた。
「でもさ…どの子と付き合っても…やっぱりの事を優先しちゃう自分がいて、その事で責められて結局フラれるんだよなぁ」
「…ちょ、ちょっと!私を優先ってどういう意味よ?」
その話にはビックリして顔を上げると、オーランドは苦笑交じりで肩を竦めた。
「実は…今までとこうして会う約束した時って、ほんとは彼女とのデートと重なったりした事があったんだ」
「え…?」
…そ、そんな話聞いてないわっ
だって…だって…オーリーが私に連絡してくる時は彼女は仕事だからって言ってたじゃない…
今までの出来事を思い返しながら混乱した頭であれこれ考える。
そこで私も気づいた。
たまに私から誘ったりした時、だいたいが急な話なのにも関わらず、オーリーがその誘いを一度も断った事がないと言う事を。
「やっぱ気付いてなかったか。って鈍感だもんな、それも極度の」
「な、何よ、それ―」
「だって学生の頃から俺の気持ちになんて気付いてなかったろ?」
「……そ、それは…」
だって…だってあの頃は必死で私も友達を演じてたから――
あの頃の想いが今になって燻り始める。
鈍感だって言うなら、オーランドだって同じだ。
「…。もうあの頃の俺じゃないし子供でもないから今度こそ言うよ」
やけに真剣な顔で真面目な事を言うオーランドに、さっきからドキドキが止まらない。
「俺はが好きだ。昔も、今も。もう"友達"は解消したい」
あの頃、届かなかったものが今、目の前にある。
もう忘れたつもりでいたのに。
ほんとムカツク男だ。
「…泣いて…るの?」
「…バカオーランド…」
「…へ?」
グイっと涙を拭いて彼を睨む。
私だってあの頃、アンタと同じ、辛い想いを抱えてたんだからね―
未だ分かっていないオーランドの唇に、思い切ってキスをした(軽くだけど)
その時の彼の顔ったら。
今までで最高に可愛かった。
「…最初からやり直そう」
ホントは、こんな軽い男の恋人なんて嫌だったんだけど。(だって彼の恋人にいつも同情してたし)
浮気グセのある男なんて最悪だって思ってたんだけど。(彼の恋人に心から同情してたし)
でも、やっぱり…私も忘れられないから。
愛の言葉を口にしてあげるよ。
だから――
答える代わりに、笑って
私の大好きな、いつもの笑顔で
何でかオーリーのプチ連載なんぞ…(笑)
アンケート処に「気の強い元気なヒロインとオーリーの話が読んでみたいです。」とあったのと、
拍手お礼ドリで書いた感じの話が書きたくなったので思いつきのままスタートです(;^_^A
そう、それにもうすぐオーリー来日ですしね!ふふふふ(危)(しかも今日は民法で旅の仲間が放送されてるし!)
あ、でも凄ーく短い話になるか、思いついたら書くというシリーズになるかも…(好評だったら、の話)(オイ)
そんな甘々ではないと思います;;(多分)
タイトルはそんな深い意味もなく…何となくノリで(オイコラ)
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
感謝を込めて…
C-MOON管理人HANAZO
アンケート処に「気の強い元気なヒロインとオーリーの話が読んでみたいです。」とあったのと、
拍手お礼ドリで書いた感じの話が書きたくなったので思いつきのままスタートです(;^_^A
そう、それにもうすぐオーリー来日ですしね!ふふふふ(危)(しかも今日は民法で旅の仲間が放送されてるし!)
あ、でも凄ーく短い話になるか、思いついたら書くというシリーズになるかも…(好評だったら、の話)(オイ)
そんな甘々ではないと思います;;(多分)
タイトルはそんな深い意味もなく…何となくノリで(オイコラ)
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
感謝を込めて…
C-MOON管理人HANAZO