呪殺-後編



「げ~疲れたぁ~喉乾いた~甘い物食いたい~」

レッスンが終わり、開口一番、そんな事を言って床に寝転ぶ五条くんに、夏油くんは苦笑を漏らした。

「普段いかにいい加減な歩き方をしてたか証明されたな」
「確かに…ってか慣れない動きしたから股関節が痛てぇ…」

床でゴロゴロしつつ顔をしかめながらそんな事を言い出した五条くんに私は思わず吹き出した。

「分かる。しばらく痛いよ、それ」
「マジ…?はぁぁ…舐めてた…モデルって大変なんだな…。ただ歩いてるだけかと思ってたわ」
「綺麗に歩く事は基本だから、普段から姿勢崩れないよう足の運び方には気は遣うの」
「ああ、だからは歩き方が綺麗なんだな…」
「あ…ありがとう…」

あの五条くんにいきなり褒められ、少し驚いたが素直にお礼を言う。
まさか歩き方を褒められるとは思わなかった。

「当たり前じゃない。はね~他のモデルさんより身長が低い分、そういう基本を頑張ってショーモデルやってんのよ」
「……お前がドヤ顔で言うな、硝子」
「黙れ、五条」
「まあ、でもみんなデカいもんなあ。さっきの夕海ちゃんだっけ?彼女も170以上あんだろ」

そう言いながら五条くんがふと私を見た。

「夕海は178センチ。初等部の頃から高かったし羨ましかったもん」
「へえ…でもヒール履いたら更にデカくなるんだよな」
「私なんか10センチヒール履いても、やっと夕海の身長になるくらいだし、私もあと5センチは欲しかったなぁ」

ショーモデルともなれば最低でも174以上なければ厳しいと言われる世界だ。
だからこそ、高身長の夕海がいつも羨ましかった。

「でもは手足が長いから他のモデルさんとの身長差を感じさせないのよね。初めてランウェイ歩いてる姿を見た時はすんごくカッコよくて、もっと身長もあると思ってたし」
「あ、ありがとう。硝子ちゃん」

ファンだという相手の声をじかに聞くのは照れ臭かったが、そんな風に見てもらえてたんだ、と知って、素直に嬉しかった。自分でも小さいというのは分かっているから、なるべくそう見えないよう動きや歩き方を意識しているだけに、努力してきて良かったなと思う。

「ああ、もうこんな時間だ。夕海ちゃん待ってるんじゃないか?」

ふと夏油くんが時計を見て言った。

「あ、いけない。電話しないと…って、そうだ。ケータイ電源入れても大丈夫かな…」

おかしな電話が来ることで、ずっと切っていたケータイを取り出し、夏油くんを見た。すると彼は五条くんと目くばせした後、真剣な顔で私を見た。

「その前に…に言っておく事があるんだ」
「え…?」
「夕海ちゃんのことだけど…」

夏油くんはそこまで言うと、小さく息をついた。

「彼女も…呪われてる」
「……ッ」

夕海が呪われている――?
思ってもみなかった事を言われ、鼓動が速くなる。
何で?どうして、という言葉がぐるぐる回って息が苦しくなってきた。

「何で…夕海が?本当なの?」
「ほんと。彼女から呪いの気配がしてた。多分あれはのケータイにマーキングしてるのと同じやつだと思う」

五条くんはそう言って肩をすくめると、

と彼女を呪う奴に心当たりは?」

そう訊かれても混乱していてすぐには思い浮かばない。私と夕海、二人で呪われるような共通点なんて良く分からない。ただ夕海が危険な状態である事だけが分かり、不安が大きくなっていく。

「…分からない。私は今度のショーモデルに選ばれたからだって思ってたけど、夕海はショーに出ないの」
「そうなの?じゃあ理由は他にあるって事か…。やっぱり本人と話してさりげなく共通点を見つけなきゃね」

硝子ちゃんがそう言うと、夏油くんも「そういうこと」と頷いた。<彼らのその様子を見て、ふと気づいた。

「あ…だからさっき誘われた時、二人ともOKしたの?」
「当たり前だろ。俺が本気で誘いに乗ったと思うか?」
「うん」
「おい!」

素直に頷けば、五条くんが素早く突っ込んできて思わず苦笑した。でも、確かに原因を見つけないと私だけじゃなく、夕海までが命の危険にさらされてしまう。それだけは絶対に嫌だった。

「じゃあ、そういう事でさりげなく彼女からも話を聞こう。後は他のモデルの子たちも確認しておいた方がいいな」
「え、それって…私と夕海だけじゃないってこと…?」

夏油くんの言葉にドキっとして尋ねると、

「二人呪われてるって事は他にも被害者がいるかもしれない」

そう彼が言った時だった。急にドアが開いて玲子さんが慌てた様子で入って来た。

、ちょっと来て」
「え、どうしたんですか?」

こんなに慌てている玲子さんを見るのは初めてで、私は急いで廊下に出た。ケータイを手にしながら玲子さんは顔面蒼白の状態で、彼女のただならぬ様子に心配になった。

「玲子さん、大丈夫ですか?」
「え、ええ…。あのね…今、岸くんから連絡があって…琴音が……」
「琴音さん?彼女がどうしたんですか?」

岸さんとは事務所の専務でスタッフが足りない時はマネージャーも兼ねている人だ。琴音さんは同じ事務所の先輩で、今度のショーにも出る事が決まっている。今日もてっきりリハに参加するものだと思っていたが、未だに姿は見ていない。何かあったのか、と玲子さんを見れば、彼女は震える声で呟いた。

「……死んだって」
「………え?」

玲子さんの言葉が一瞬理解できなくて、何を言ってるんだろうと思った。知っている人が死んだ、などと聞かされたところで、まず頭が追いつかない。いつもの調子で玲子さんが「冗談よ」と言ってくれるのを待っていたけど、彼女の表情を見ればそれが冗談ではないと悟った。

「なかなか…来ないから岸くんに自宅まで見に行かせたの…。そしたら……」

玲子さんはそこで言葉に詰まり、不意に泣き崩れた。

「れ、玲子さん…!大丈夫ですか?」
「ご、ごめんね……ショックで…」

背中をさすると、玲子さんは震える手で、私の手を握り締めた。

「き…岸くんが…見つけたらしいの…。琴音の……」
「琴音さんの……?」
「く……首…」
「――――ッ?」

玲子さんはそれだけ言うと気持ちが悪くなったのか、「ごめん」とだけ言って走って行ってしまった。その後ろ姿を見ながら今聞いたのが現実の話なのかと疑いたくなったけど、玲子さんの様子を見ればそんなのは明らかだ。

(首…って?どういう状況になればそんな――)

「呪いだな」

不意に背後で声がして振り向くと、ドアのところに夏油くんと五条くんが立っていた。

「の…呪い?じゃあ…まさか…琴音さんまで呪われてたって…」
「そういう事になるな。現場に行ってみないと分からないけど、多分間違いない」

ハッキリと言いきる五条くんはいつもと違って真剣な顔だ。そこで初めて実感が沸いて来た。あの夜、私を襲ってきた化け物が脳裏を過ぎり、同時に親友の顔が浮かんだ。

「夕海…!夕海も危ないんじゃ――」
「落ち着いて、。呪われてるからって今すぐ襲われるというわけじゃない」
「で、でも私だって急に襲われたんだよ?夕海も危ないんじゃ…」
「とにかく、今は彼女の話を聞こう。同じ事務所のモデルが亡くなったんだ。その話題から関係ある話を聞けるかもしれない。ね?」

夏油くんはそう言って優しく微笑んだ。動揺している私を落ち着かせようとしてくれてる。そう感じて私も何とか頷くと、震える手でケータイを取り出す。

「大丈夫」

夏油くんはそう呟くと、私のその手に自分の手を重ねた――。







の友人である石川夕海という少女は、先輩モデルが亡くなった事を聞くと、ポカンとした顔で「嘘、だよね?」と言った。

「さっき玲子さんから聞いたの。家に迎えに行った岸さんが…その…遺体を見つけたみたいで今、警察で事情説明してるって」
「嘘…何で…?昨日はあんなに元気だったのに……何で死んだの?」
「死因は…まだ分からないみたい」

は彼女に説明しながらそっと涙を拭っている。特別親しくはないと話していたが、やはり同じ事務所で普段から顔を合わせている人間が突然死ねば、ショックも大きいだろう。
特に、今回のような状況では。

先ほど高専の方へ連絡を入れ、高専から警察へ連絡をしてもらった。私たちが関わってる案件と関係がありそうな場合、こちらにも情報が開示される事になっている。そこで琴音というモデルの事件の詳細が分かった。

琴音が時間になっても来ない事で、彼女の担当もしていた岸という事務所の専務が自宅へ様子を見に行ったが、チャイムを鳴らしても応答がない為、管理人へ連絡し、合いかぎで開けてもらい中へ入った。そこで廊下に転がっていた彼女の頭部を発見、警察へ通報。その後、鑑識が入り、部屋中を探したが、頭部以外の遺体は見つからなかったらしい。

私からすれば、頭部が見つかった事だけでもマシな方だと思った。
呪殺された人間の遺体はだいたいは損傷が激しく、もとは人間だったと思えないものが多いからだ。
現場を見てみないと分からないが、やこの夕海という少女を呪っているものとおそらく同じだろう、と思った。
とりあえず私たちは約束があったので、補助監督を呼んで硝子と一緒に現場を見に行かせた。
ただ一つハッキリしてるのは、ここまでの周りが呪われているとなれば、やはりモデル事務所の中に呪いを引き寄せている犯人がいる。早く共通点を見つけなければ、が危ない。
そう思いながら目の前の夕海という少女を見る。

「何か…信じられないね。琴音さんがもういないなんて…」
「うん…」
「せっかく巧と付き合いだしたばかりなのに可哀そう…」

夕海はそう呟くと深い溜息をついた。するとが驚いたように顔を上げる。

「え、巧くんって綾香と付き合ってたんじゃ…」
「え、知らないの、。琴音さん、巧にべた惚れだったでしょ?で、あの手この手で色仕掛けまでして綾香から寝取ったって話だよ?」
「嘘…そんな事になってたの?で、綾香は?」
「かなりキレて、一昨日だっけな。琴音さんと殴りあいの大喧嘩になっちゃって大変だったんだから」
「そうなの?知らなかった…」
「だってに電話かけても電源入ってなかったからさあ」
「ごめん…ちょっとどこに置いたか分からなくなって、そのうち充電切れちゃったみたいで…」

はそう誤魔化していたが、私はその琴音というモデルとケンカをしてた相手の事が気になった。向かいに座る悟を見れば、同じことを思ったのか、目で合図をしてくる。

「ねーねー。その二人のケンカどうなったの?」
「え~?五条くんって女同士のケンカに興味あるの?」
「だって面白そうじゃん。女のケンカって最後はどう決着するのかと思ってさ」

そんな事を言いながらニッコリ笑顔まで見せていて、私は内心苦笑した。ここに硝子がいれば「五条キモい」と突っ込んでいたかもしれないが、今は死亡したモデルの家を調査しに行っている為、いつもの光景は見られない。案の定、夕海は頬を赤くし、まんざらでもない顔だ。(悟も暴言さえ出さなきゃ意外と騙せるもんなんだな)(!)

「それがどっちも引かなくて最後は死ねだの殺してやるだの罵り合いで、結局玲子社長が間に入って止めてたわ。でも巧だって悪いと思うんだけど」
「その巧ってのは?」
「ああ、巧も今、人気のモデル。五条くんほどじゃないけど、カッコよくって私もちょっと気になってたんだけど綾香と付き合いだしたしね~」
「へえ…そうなんだ。は仲いいの?その巧ってモデルと」
「え…?」

悟が不意にへ話を振った。多分、共通点を探すためだろう、と、私もに「そいつと仲いいの?」と訊いてみる。
すると彼女より先に夕海が口を開いた。

「あれ~夏油くん心配なんだ。が他の男と仲良くしてると」
「そりゃあ、はモテるからね。心配くらいするよ」
「げ…夏油くん…っ」

シレっと応えた私に、が顔を赤くして睨んでくる。モデルとして堂々とランウェイを歩けるくらい度胸はいいのに、こういう事にはシャイな一面を見せる彼女が素直に可愛いと思う。
だがが話す前に、夕海が「ほんとそうなの」と話に乗って来た。

「実は巧って狙いだったんだよ?」
「え?嘘でしょ?」
「ほんと!だけどってば全然その気ないのか誘われても断ってたじゃん」
「……ああ。ご飯行こうって何度か誘われたけど…巧くんも軽い感じで誘ってきてたし、私ちょっとあのノリ苦手だから」
「もったいない!だから巧、自分に気がある綾香と付き合ったんだと思うなあ。あ、彼氏の前で言う話じゃないか。ごめんね、夏油くん♪」
「いや…心配ではあるけど、を信じてるから」
「うわーのろけられちゃった。いいなあ、は。夏油くんみたいなカッコいい彼氏にこんなに愛されてて」

夕海はそう言いながら笑うと、真っ赤になっているを肘でつついている。だが私はもその巧というモデルと少なからず関わっていた事を知り、少し心配になった。
それも原因の一つの可能性として頭に入れておく。

「でもさあ、綾香が琴音さんの死に関係してるって事ないよね?この前のケンカで死ねとか言ってたし…」
「ま、まさか!」
「でも警察に事情聴取されるんじゃない?二人のケンカは大勢が目撃してたもん」

夕海はそう言いながら肩をすくめると、不意に隣に座る悟を見た。

「五条くんは彼女いないの?」
「俺?いないよ」
「嘘ー!信じられない。そんなにカッコいいんだもん。女の子の方から寄って来るでしょ?同じ学校の子とか」
「そんな事ないよ。俺、学校の"女子"には嫌われてるから♡」
「うっそー何で何で?手を出しすぎて逆に嫌われたって感じ?」
「…ぶっ」

我慢も限界で吹き出すと、悟が半目で睨んでくる。
隣にいるも下を向いて笑いをこらえているのか、かすかに肩が震えていた。

「え、何で笑うの?二人して」
「いや…別に。まあ……悟が嫌われてる理由は―――」
「俺が最強だから」
「え?どういうこと?何が最強?あ、ケンカ?」
「ま、そういう事にしておこうか」

私がそう言うと、夕海はますます分からないといったように首を傾げたが、すぐに笑顔を見せると、

「私、ケンカ強い人好きだから、良かったら私と付き合わない?」
「…ちょっと夕海!何言って…」

はギョっとしたように腰を浮かしたが、夕海は意外にも本気なのか、熱っぽい目で悟の顔を覗き込んだ。

「ダメ?」
「ダメ…って言われても…俺、忙しいからなぁ……めちゃくちゃ」

さすがの悟もこの攻撃には参ったのか、私に目で助けろと合図を送って来た。
で、親友が心配なのか、「五条くんはダメだよ」なんて本気で言っている。
このまま話していたらボロが出そうだ、と思い、私は苦笑しつつ席を立つと、

「そろそろ迎えの車が来る時間だし戻ろう」

と言った。案の定、夕海だけは不満そうだったが、がまた今度4人で会おう、と約束し、その場はお開きとなった。




「あ~早速メール来た」

帰りの車の中、悟がケータイを見ながら呟いた。
先ほど夕海からしつこくメアドを聞かれ、情報収集も出来るという事もあり、悟は渋々教えていた。

「…今度二人でデートしよう、だと」
「うげ~その子、見る目ないわ~!」
「うるせーな。こっちは大変だったっつーの」

現場の調査をしていた硝子も合流し、今は来る時と同じ顔触れでの別荘へと帰る途中。
そのも疲れたのか、今は隣で寝てしまっている。

「はあ…五条が枕営業できるとは今頃アルマゲドンかな」
「枕はしてねーだろ!それ言うならの彼氏のフリが上手かった傑だ」
「それはやきもちか?悟」
「はあ?んなわけねーだろッ」

私の言葉にムキになる悟に苦笑を零すと、

「それより…現場はどうだった?硝子」
「ああ、そうそう。残穢あったよ」
「例のやつか」
「そ、同じだった」

硝子の言葉に私と悟は互いに顔を見合わせ、「やっぱりな」と息をついた。
その琴音というモデルも同じ呪霊にマーキングでもされていたのかもしれない。

「でも男の取り合いで、その綾香ってモデルが死んだモデルを呪っただけなら分かるけど、何でや関係なさそうな夕海って子まで呪われてんだ?」
「そうなんだよな。それに時系列が合わない。さっき聞いた話だと巧ってやつが綾香ってモデルを振ったのはごく最近だろ。でもに異変が起きたのはもっと前だ」
「確かに。じゃあ男絡みじゃないのかな。だいたい彼氏が食事に誘っただけで呪う?しかも付き合う前の事みたいだし」
「呪うだろ。女の執念って怖いもんなあ?」
「何で私を見るのよ」
「んご…ッ!…痛ってぇな…そういうとこだろ?」

怯えたように自分を見た悟の腹に、硝子が肘鉄を喰らわせている。
だが私は釈然としない気持ちのまま、のケータイを手にした。

「硝子…」
「なに?」
「その琴音ってモデルのケータイってどこにあった?」
「ああ…警察が押収してたけど…見つけた時は血だまりの中に落ちてたらしいわ。まあぺしゃんこに潰れてたって言うから復元するのも大変だろうけど」
「……そうか」

血だまりにあった、という事は元々本人がそのケータイを手にしていて、そこを襲われたという事だろうか。もし彼女にもと同様の不審な電話がかかって来ていたとして。ただのイタズラだと思って重要視せず、みたいに電源を切って警戒する、という事をしていなければ。

「やはり回数…か?」
「どうした?傑」
「いや…そのモデル、呪いを発動させる条件を満たしたのかもしれない」
「ああ…なるほどね」
「もし、そうなら少しは対処できる。も今のとこ無事だしな。あの夕海って子に変な電話がかかってきてないかメールで聞いてくれるか?」

悟は徐に顔をしかめたが、「仕方ねぇな…」と渋々ケータイを取り出した。

「もしかかってるようならケータイの電源を切っておくように伝えるのも忘れるなよ」
「へいへい…。あ、そう言えば藁人形を見せてもらうの忘れてねぇ?」

慣れた手つきで素早くメールを打ちながら、悟が私を見た。琴音というモデルが亡くなった事で事務所は騒然となり、それどころの話じゃなくなったのだ。
このままだと、ショーが開催されるかどうかもわからないといった様子だった。

「仕方ない。次に行った時、見せてもらおう。その藁人形を調べれば呪った相手の残穢が必ずあるはずだしな」
「だな。とにかく…呪殺が始まった以上、急がないと、も危ない」
「ああ」

そう頷きながら、を見て、手元に落ちたブランケットを彼女の肩にかけ直す。
安心したように眠る彼女を見ていると、自然に笑みが零れた。

「絶対に殺させない…」

そう呟いて、力なく座席に置かれた彼女の手を、そっと握り締めた。



五条先生と夏油くんの関係、ほんと好きです。
過去編ほんと深くて泣ける…