強がりの降伏-03




「ハァ?お前、乙骨からしつこくされて困ってたんじゃねーの。何でそんな青い顔するほど心配してんだよ」

次の日になっても連絡がなく、ついには彼女の部屋へ久しぶりに顔を出した金次達にも乙骨の話をしたら、呆れ顔で言われてしまった。でも別にアプローチされてることを、そこまで困ってたわけじゃない。年下の彼から急に結婚を前提に、なんてぶっ飛んだ告白をされたから、動揺していただけで。
後は一度断った手前、意固地になっていた面もある。不安な思いが募っていたは、ついそんな本音を口にしてしまった。その瞬間、金次や綺羅羅が、互いに顔を見合わせ――同時に「ぷ」と吹き出した。

「ってか、それもう乙骨のこと好きってことじゃね?」
「あはは~結局、彼の狙い通りみたいになってんじゃん。押してダメなら引いてみろってやつじゃない?」
「………え?でも乙骨くん、そういうことするタイプじゃないし」
「まあ、そうかもだけど、その様子じゃもうとっくに好きになってたりして。乙骨くんのこと」
「…好き?わたしが…乙骨くんを…?そ…そう…なのかな…」

クズふたりから指摘され、そう言われるとそうなのかも、という気もしてくる。要は流されやすいのだろう。の脳内に「わたしは乙骨くんが好き」という明確な思いが浮かび上がる。これまでハッキリ見えていなかった、いや、見ようとしていなかったものだ。それを自覚した時、彼女は数秒、その場でフリーズしてしまった。
乙骨くんが好き。乙骨くんが好き。わたしは乙骨くんが――好き?!
一周回って再び「好き」に辿り着いた時、この何とも言えない不安感は、彼のことが単に心配だからというだけじゃないのか、と唖然としてしまった。

再び固まること数秒。そこへ――唐突に「さん!」という、聞きなれた声が彼女の鼓膜を揺らし、停止状態の脳を覚醒させた。
声に引かれるがまま弾かれたように振り向けば、開け放したままの部屋の入り口から乙骨が顔を覗かせ、手を振っている。遂には幻まで見え始めたか?と自分で自分が怖くなり、ゴシゴシと目を擦ってみた。そしてもう一度目を凝らして確認してみたが、相変わらず、そこには乙骨が立っている。ただし、ケガをしてるのか、彼の額や口元には血が滲み、心なしか制服もボロボロに見えた。

「ま…まさか…幽霊?」

口元を手で覆いながら、つい呪術師らしかぬ言葉を口走る。その瞬間「勝手にコーハイ殺すな!」という声と共に、後頭部へスパーンっと綺羅羅の手刀が飛んできたのは予想外だ。見た目は可愛い女の子でも中身はしっかり男なので、脳みそが揺れたかと思うくらい痛い。でもおかげで我に返ることが出来た。

「ほ、ほんとに…乙骨くん?」
「え?どういう意味ですか?」

がフラフラ乙骨の方へ歩いて行くと、彼は「任務報告前にさんに会いたくて来ちゃいました」と照れ臭そうに頭を掻いた。その言葉を聞く限り、今、帰校したのは間違いない。でも何故こんなに戻るのが遅いのか。いや、その前に何故一度も連絡を寄こさなかったのか、とは詰め寄った。この瞬間までの不安感が、一気に怒りへと変換されてしまった。
急に怒り出したを見て、今度は乙骨が驚く番だった。

「ど、どうしたんですか?さん…そんなに怖い顔して…」
「どうしたもこうしたもないでしょ!連絡もこないし、何かあったんじゃないかって――」
「ああ!実は――」

に言われて思い出したのか、乙骨は上着のポケットから自分のスマートフォンを取り出してみせた。それも何故か二つ。いや、真ん中から見事にへしゃげて割れてしまっている。

「任務先がド田舎の山奥で、ところどころ電波が届かなかったのと、現場に行ってすぐ電波を確認しようと思ったら、僕らに気づいてた呪いの奇襲攻撃でスマホ壊されちゃって…」
「………」

てへへ、と笑う乙骨を、彼女は呆気にとられた顔で見上げる。さすがにスマホが壊れたということまでは考えが及ばなかった。その様子だと祓徐もそれなりに苦労したんだろう。その証拠に乙骨の制服はあちこちが切れており、その箇所から血が滲んでいる。が幽霊かと勘違いしそうになったほど、額からの出血量も多かった。普通の人間なら重症と呼ばれるほどの怪我。なのに治療をするよりも先に自分に会いに来たなんて、と彼女は呆れたように彼を見上げて、薄っすら目を細めた。ただ、昨日まで訳も分からず心配してたことを思えば、とにかく無事で良かったと、今度こそ安心した。安心したら――何故か泣けてきた。

「えっと…さん?」

突然、自分を見上げながらポロポロと涙を流す彼女に乙骨も戸惑う。その後ろでは金次と綺羅羅がニヤニヤしているのに気づいたものの、この空気はどういうものなのかは乙骨も分からない。でも彼女の涙の原因が、何となく自分にあるような気がして、濡れた頬へそっと手を伸ばす。ほんの一瞬、勝手に触れてもいいんだろうか、とは迷ったものの、逃げる様子もない彼女の涙を指で優しく拭った。

「泣かないで…さんがそんな顔してたら悲しいです…」
「だ、誰のせいで…」
「えっと…僕…ですよね、きっと」

ガシガシと頭を掻きつつ、乙骨がへらりと笑う。自分に原因があるとは分かったものの、その理由までは思い至らず。つい彼女の背後にいるふたりへ救いを求めるよう視線を送った。正直、このふたりの先輩には――特に金次――普段から弄り倒されることもあり、若干の苦手意識はあったのだが、先ほどから何かを言いたそうにしてるのも気になった。ニヤついてるのもそうだが、いつもの空気とは明らかに違う。
金次は乙骨の視線に気づいた時点で何となく察したようで「ああ、のやつ、お前に何かあったんじゃないかって心配で寝れなかったみてえだぞ」と苦笑交じりで教えてくれた。

「え…心配って…」
「だから、丸一日お前からの連絡がないって――」
「き、金ちゃん!余計なこと言わないで」
「………だ、そうだ」

真っ赤になったから睨まれ、金次は仕方ないとばかりに両肩を竦めると、「おい、飯でも食いに行こうぜ」と綺羅羅を促し、部屋を出ていってしまった。きっとただでさえ素直じゃないが、自分達の存在がいることで余計に素直になれないと判断したのかもしれない。

「えっと…もしかして…僕のこと心配してくれてました…?」

金次の言葉で察しがついたのか、ふたりきりになったところで乙骨が恐々と彼女へ問いかけた。でも彼女は応えることが出来ない。実際、乙骨の言う通りなのだが、改めて口に出されるのは恥ずかしいのだ。ついでに突然ふたりきりにされたことで、何故か変な緊張が彼女を襲う。

「う、自惚れないでよ…別にそんなんじゃないし…!」
「ご、ごめん、なさい…」

言ったそばから後悔したのに、何故か乙骨の方が素直に謝罪を口にした。

「そ、そうですよね…さんが僕のことなんか心配するはずないのに…ははは」

自虐的なことを言いながらも、どこか寂しげに笑う乙骨を見ていたら、胸の奥にチリチリとした痛みを伴う。勝手に心配してたのは自分で、乙骨は任務を遂行してただけ。何ひとつ悪くはないのに、意地っ張りな女のひとことで、まるで自分が悪いみたいに謝る。
ただ無事に帰ってきたこと、連絡がこなかった理由が判明したこと、そして真っ先に自分に会いに来てくれたこと。
それら全てにホっとしているのは本当なのに、照れ臭くて冷たい言い方をしてしまったことを悔やんだ。
同時に、こんなことを思うのは、心はやっぱり彼に奪われてしまったんだろうかということ。現に今も後輩とか、年下と考えるより先に、一人の異性として乙骨を意識してしまってるのがいい証拠だ。認めたくないけど、もう認めざるを得ない。
――わたしは、乙骨くんのことが好きなんだ。
いつになく素直になれたのと、自分の中に芽生えた気持ちを認めたら、とても楽になった気がした。

「今のは…うそだよ」
「え…?」

気まずそうに頭を掻いていた乙骨の手が止まる。その状態で固まり、ジっとを見つめている表情が、今の言葉は空耳だったのでは、とでも言いたげだ。なので今度こそ素直な気持ちを口にした。

「……自惚れても…いいよ」

どうにか恥ずかしさを堪えて乙骨を見上げると、彼はきょとん、とした顔で彼女を見下ろした。ここまで言っても半信半疑なのだろう。もう一度「え」と短い声を上げる。

さん…?それって…どういう…」
「だ、だから…」

恥ずかしいのを我慢して言ったのに、もう一度言えとでも?と彼女は思ったが、これ以上、彼に対して冷たい態度は取りたくなかった。ただでさえ今までの乙骨に対する自分の塩対応を帳消しにしたいくらいなのだ。

「…昨日は…全然連絡もこないし…何かあったんじゃないかって…凄く心配したって意味!」

そんな思いが強かったせいで、今度こそハッキリと伝えることが出来た。さあ、これでどうだ、と言わんばかりに、彼女が乙骨を見上げると、彼もまたを見下ろす。その表情は、どこか惚けた様子だった。

「心配…さんが…?」
「…うん」
「僕のことを?」
「だから…そうだってばっ」

あまりに確認したがるので、は少々ムキになって言い返す。すると乙骨はしばしポカンとした顔で彼女を見つめていたが、不意に顔全ての筋肉が緩んだのでは?と思うくらいに破顔一笑の表情を見せた。

「どうしよう、嬉しすぎて顔の筋肉おかしいことになってる…」
「…そんなに?」

別に好きだと言ったわけでもないのに、と思ったのだが、乙骨は言葉の通り、ひたすら顔を緩ませている。ただ今も流血はしてるので、これ以上放置するのはマズいと思った。

「っていうか、乙骨くん、まずは傷の治療しに行こう」
「え、大丈夫ですよ、これくらい」
「ダメ!そもそも帰校してすぐ治療するべきでしょ?何でここに来ちゃうかな…」
「それは…さんに早く会いたかったし、声も聞きたかったし…昨日まるまる話せなかったから」

そんなことで?と思ったのだが、何故か彼女の頬まで緩みだす。乙骨の気持ちが、今は素直に嬉しい。

さん…?何か顏赤いけど…熱あるんじゃ…」
「ね、熱は…ない…ちょっと熱いだけだから」

ほんのり頬を赤く染めたを心配し、乙骨が身を屈めて顔を覗き込む。そのせいで余計に熱が上がってくるのだから嫌になってしまう。つい身を引いて「平気だってば」と顔を背けてしまった。前のように接することが全然できていない。
彼女のそんな態度も慣れているのか、乙骨は「なら安心です」と可愛い笑顔を浮かべた。その顏をちらりと盗み見た彼女の心臓が素直に反応する。
マズい。わたし本気じゃん、これ。
しっかり恋する乙女みたいな反応をする心臓は、とても自分の体の一部とは思えないほど、彼女の意志に反した速さで動く。そうなれば自然と頬の熱も上がってしまうのだ。

「と、とにかく…治療しに行かないと。硝子さんなら秒で治せるでしょ、その傷は」
「え?あ…いえ。これくらいの傷は自分で治せるし…」

照れ臭いのを誤魔化すため、は強引に乙骨の腕を引っ張った。しかし乙骨のひとことで、ふと我に返る。

「………あ、そっか。乙骨くんも反転術式使えるんだっけ…」
「はい。里香ちゃんがいなくなっても呪力術式共に問題ないんで、今は里香ちゃんの魂が抜けた"リカ"を使いこなす訓練中です」

彼の言うように折本里香は成仏したのだが、乙骨は現在も"リカ"という術式を使えている。子供の頃、里香の死を拒絶した乙骨が、彼女の魂をこの世にとどめるため、自分の術式であった"模倣コピー"を無意識に使用して作り上げた式神に、里香の魂を収蔵したものが去年までの里香だ。その折本里香本人の魂は成仏し、式神だけの状態になったものが、乙骨のいう現在の"リカ"だった。
ただし、前まで使用していた無条件での模倣は"最愛の人の魂をこの世に抑留する"という縛りがあったからこそ出来ていたもの。里香が消えた"リカ"では模倣する為には条件を追加しないと使用できなかったらしい。そもそも模倣は元々乙骨の術式だった。しかし今回"リカ"を作る際にそれを材料にしたとのことで、今は乙骨の術式は"リカ"となり、"リカ"の術式が模倣になるという。いわば外付けの術式なので使いこなすには時間が必要とのことだった。
以前、教えてもらったこれらの情報を思い出し、彼女は傷を治す乙骨を眺めた。里香解呪後、四級にまで落ちたのに、たった数か月で"リカ"を作り出すのだから、大した才能だと、彼女は感心した。

問題ないと言ってたように、乙骨は自己治療をあっという間に終わらせてしまった。おかげで気になってた額の流血もすぐに止まる。その治療の早さに驚きつつ、ほんとに術師になって、まだ一年未満なのか?と、若干尊敬の眼差しで見てしまった。

「これでいいですか?」
「う、うん、まあ…って言うか、自分で治せるなら早く治せばいいでしょ。ほんと呑気なんだから…」
「すっかり傷のこと忘れてたんで…。そんなことより早くさんに会いたかったし」
「………」

そう言われると、これ以上「何も言えねえ」by.北島状態になった。いや、古いんだけど、と自分で突っ込みつつ。改めて乙骨を見上げると、彼は相変わらずを見つめながら「今日も可愛いです」などとシレっと褒めてくるのだ。前なら「はいはい」と交わせたのに、今はストレートに心の臓を撃ち抜かれてしまった。結果、顏全体から熱が吹き出してくる。

「そ、そそそういうこと言うのやめて」
「え…どうして?」
「どうしてって…だって、その…」

恥ずかしいから。とは言えず、口の中でモゴモゴしてしまう。これまで男の子に対し、常に自分が優勢の立場で付き合ってばかりいたのに、ついこの間までは乙骨に対してもそうだったはずなのに、今は前の自分がどう受け答えをしていたのかすら思い出せない。わたしはこんな女だったっけ?と自分で自分のことも分からなかくなった。
だいたい誉め言葉など言われ慣れてたはずで、可愛いと言われて嬉しいとは思っても、今みたいに恥ずかしいなんて感情は一度も沸いたことがない。ここへきて初めての感覚を経験している気がした。
その時、乙骨がいつものように、ドストレートな告白をしてきた。

「僕はさんが好きなので、思ったことはすぐ口に出ちゃうんです。迷惑ですか?」
「め…迷惑…ってわけじゃ…」

好き、と言われたことで、ますます顔が火照ってしまい、は両手で頬を隠しながら乙骨に背を向ける。普段から言われてる言葉のはずなのに、前とは受け止め方も、その言葉の重さも、感じ方すら違うので、やたらと羞恥心が煽られてしまうのだ。と言って、今更わたしも好き、とは言いだせず、悶々とするはめになった。せめて、また「付き合って」と言われたなら、今度こそ素直に頷くのに、と歯がゆく思う。これまで散々「ごめんなさい」をしてきたのだから、乙骨もそう何度も言ってはくれないだろう、と、心のどこかで諦めていた。
すると乙骨が彼女の肩へ、そっと手を置くのが分かった。

「あの…さん」
「な、なに…?」

不意に触れられたことで、びく、と僅かに肩が跳ねる。それに気づいた乙骨は、あ、すみませんとすぐに手を放したものの、少しためらいがちに彼女の名前を呼んだ。

「こっち、見てくれませんか」

先ほどとは違い、少しだけ真剣な声色に気づき、は言われた通り、恐々と振り返る。静寂が居座る室内、乙骨と目が合い、また心臓が早鐘を打ち出す。あまりにドキドキとうるさいので、彼に聞こえないかと心配になってきた時だった。乙骨が静かに口を開いた。

さん…僕、さんのことが好きです。どうしても諦めきれない」
「……え…」
「やっぱり…今も僕と付き合うの…嫌ですか?」

真っすぐを見つめる乙骨は、真剣な顔、声で、何度目かの告白を口にしてくれた。それは彼女にとって願ってもないものだった。自分の気持ちに気づいた今なら、素直に受け入れることが出来る。年下とか、年上とか、そんな些細な理由はもう、どうでも良かった。

「…嫌じゃ………ない」
「………………えっ!」

返事を聞いてから、たっぷり数十秒ほど経った頃、やっと乙骨が"こっち"側へ戻ってこれたのか、驚きの声をあげる。どうやらまた断られると思っていたらしく、まさかのOKに幻聴なのでは、と自分の耳を疑っていたようだ。

「…嘘…じゃないですよね?ホントのホントに…あの…僕と結婚してくれるんですか…?」
「……ん?」

お付き合い、ではなく、結婚という言葉を持ち出され、は軽く小首を傾げた。乙骨も「え?」と戸惑い顔で首を傾げる。
しばし沈黙が流れた後、は口元を若干引きつらせながら、ニッコリ微笑んだ。

「ま、まずは…普通のお付き合いから…」
「……は、はいっ」

の言葉を受け、乙骨はそれでも素直に頷いた後、その場にへにょへにょと座り込んでしまった。嬉し過ぎて腰が抜けたという乙骨に、が慌ててしゃがみこむ。至近距離で目が合うと、互いに照れ臭そうに微笑みあった。

「…どうしよう。死ぬほど嬉しい。心臓の動き方がおかしいから死ぬかも…」
「え…死なないでよ」

遂には床に座り込んだ乙骨が、嬉々とした顔で微笑む。その笑顔がやけに眩しく感じるのは、彼のことが好きだと自覚したからだ。

「…はい。せっかくさんと付き合えるんだから、長生きしないともったいないですし」
「何それ…乙骨くん、変な人だよね、ほんと」

真顔で言うから彼女も軽く吹き出した。そんな彼女の指先へ、乙骨の手が触れたそうに伸びる。でも寸前で引っ込めた乙骨は、代わりに柔らかい笑みを浮かべると「絶対…さんのこと大切にします」という彼らしい言葉を送り、それを受けて彼女の顔が嬉しそうに綻んだ。
しかし――次の乙骨のカミングアウトで、彼女の可愛らしい顔が、恐怖新聞の作画のように変貌する。

「あ、そう言えば言い忘れてたんですけど…僕、昔、里香ちゃんが原因で不登校になってダブってるんで、実は歳で言えばさんと同じ歳なんですよね。だから一応、さんの嫌いな年下じゃないんで安心して下さい」
「………え?」

ここへ来て、まさかまさかの告白を受け、彼女は「えぇぇぇぇぇ?!同じ歳?!」と驚愕する。結果、「そういうことはもっと早く言って!」と彼女に怒られた乙骨が「ご、ごめんなさい…」と、またしてもへこむ羽目になった。
こうして――と乙骨憂太はこの日から先輩、後輩という関係を解消し、彼氏、彼女という関係へと変わった。

(怒ってるさんも可愛いなぁ…)