Let's make a promise.18



2018年、9月。


虎杖と七海の猛攻撃を受けながら、人型のツギハギ呪霊は余裕の笑みを浮かべつつ、その肉体の形を自在に変える。
時には毬栗のような鋭い針だらけの物体、または幼い子供のようにその体を小さくする。
は空中でその攻防戦を眺めつつ、来るべき好機を待っていた。

「ちょーっとお姉さん。高みの見物?」
「まーねー」

子供の姿で校庭を走り回っているツギハギ呪霊が、宙に浮かぶを仰ぎ見て笑う。
その間に七海と虎杖が弱点を導き出している事だろう、とはツギハギ顔を見下ろしながら笑みを浮かべた。

「全く…君たちは天敵だよ…」

ツギハギ呪霊は苦笑気味にボヤくと同時に、その口から何かを吐き出した。
それは改造された元人間。
まだストックを持っていたのか、と七海は軽く舌打ちをした。

「短髪のガキを殺せ」

改造人間にそう指令を出したのを見て、七海は「さん!」と頭上にいるへ声をかけた。
だがはすでに動いていた。
虎杖を囲むように追いかけていく改造人間を風の遠心力で拘束した後、中の空気を圧縮させれば一瞬で消滅する。
だが虎杖にくっついていた一体だけ取り逃がした。

「悠仁にあまり殺らせたくないけど…仕方ないな」

虎杖は優しい。元人間だと分かっている改造人間の前ではどうしても動きが鈍る。
体を改造された時点で死んでるも同然なのだと、割り切って戦うにはまだ幼く、圧倒的に経験値が足りない。

「あのツギハギ…わざと悠仁にアレを…性格悪いヤツ!」

そもそも負の感情から生まれる呪霊に性格のいい呪霊がいるわけもないのだが、そう言いたくもなるほどツギハギ呪霊は狡猾だった。
まだ火山頭のオッサンの方がマシだった、とは唇を強く噛んだ。

「悠仁!その一体だけアンタに任せる!」
「……ッ」
「…出来る?」
「…ああ」

ころして、と涙を流す改造人間に押し倒された虎杖は、悲しみに顔を歪ませている。
それを確認しながらはツギハギと戦っている七海に意識を向けた。

(七海の攻撃はアイツに通用しないと言ってた…自在に形を変えられるなら弱点も移動させるとか?)

情報が足りない。
唯一、七海がツギハギ呪霊と一度戦い、その身を以って何かを掴んだのならとしても情報を共有したいところだったが、別行動をさせられてた分、じっくり聞く暇もなかった。
七海のヤツ、後で覚えてろ、とは舌打ちをしながら校庭へ移動する。
だが七海がツギハギ呪霊に拘束されているのを見て、思わず苦笑した。

「…何してるのよ、ナナミン」
「その呼び方はやめてください。ぶん殴りますよ?…というか遅いですよ」

ツギハギ呪霊の手が体以上に膨張している。
七海は校舎の壁とその膨張した手に挟まれ、身動きが取れない状態でを睨んだ。

「あーあ、お姉さんが改造人間やっちゃったんだ。アイツ、人間殺せないだろうしね」

ツギハギ呪霊が楽しそうに嘲笑い、七海を見上げ舌なめずりをした。

「次はアンタを襲わせようと思うんだ。今度は泣いちゃかなあ?現実と理想の擦り合わせが出来ていないバカなガキは――」
「それは違います。彼は今まさにその擦り合わせの真っ最中。どちらかと言えば…バカはアナタです」
「that's right!」

七海の言葉にも笑う。
その瞬間、七海とツギハギ呪霊の頭上から虎杖が飛び出して来た。

「殺して来たか…!」

虎杖は七海を拘束している膨張した手の上に落下し、それを外す。
自由になった七海はすぐさま攻撃態勢に入った。
反撃の間を与えないほど、七海と虎杖は交互にツギハギ呪霊を殴り続ける。
形ある物を殴る鈍い音を聞きながら、はその瞬間を待っていた。
ダメージを与えるほどに呪力は消費されていく。
膨大な呪力量を誇る乙骨憂太や、常に反転術式をまわして呪力が途切れる事のない五条悟でない限り、この畳みかけるような打撃を受け続ければ特級呪霊と言えど、ソレは削られて行くはずだ。
その証拠に二人から殴られ続けているツギハギ呪霊の力が急速に縮んでいっているように感じた。
あと一押しでこの呪霊は祓える。
そう確信したは自身のエネルギーを最大にまで高めていった。

「七海くん、悠仁!」

その声を合図に二人がツギハギ呪霊から離れた僅かな隙に、はその膨大なエネルギーを放出させた。
空気圧が膨らみ、晴天だった青空が一瞬で黒い雲に覆われたように見えるが、それは"帳"の内側にだけ現れた。

「な…何だ、これ…っ」

立っていられない程の強風にさらされ、虎杖は慌てて校舎の窓枠にしがみつく。
七海も吹き飛ばされそうになりながら「中に避難しましょう!」と虎杖の腕を掴んで窓から校内へ転がり込む。
それでもなお吹き付けて来る激しいトルネード上の風圧で二人は壁に叩きつけれた。

「ナナミン!何だよ、これ…嵐?!」
「これは…さんの最大能力です…!彼女が天候を操るのは?」
「し、知らねー!初めて見たっつーの!」
「ヴァンパイアは不思議な力を使います…!引力に強く影響されるのと何か関係あるのか分かりませんが…」

壁に張り付きながら七海は眼鏡が飛ばされないよう指で押さえると、激しい上昇気流、そして下降気流が同時に発生し豪雨が降り出した校庭を見つめた。
その嵐は一つの巨大積乱雲が生み出している。

「あんなものを同時に…めちゃくちゃですね…。さすがはさん…」
「あ?誉めてる場合?!俺達もやべーんじゃね?」

虎杖は必死で枠にしがみつきながら、風に持って行かれそうになるのを耐える。
苦笑気味に呟くと、七海は「…これは私でも初めて見ますよ」と虎杖に言った。

「上昇気流の領域と下降気流の領域…まさにサイクロン…いや、下降気流が治まって来た…これはスーパーセルといった方が正しい」
「は…?すーぱー?何?」
「スーパーセルというのは大きさで定義されてはいませんが、その大きさは様々です。特徴として大量の雹、集中豪雨、強いダウンバースト、そして時に竜巻を発生させることが知られている」
「こんな時に気象の勉強いいからっ」

黒い渦の中心で、もはやトルネードとも呼べない程の風圧にすりつぶされて行くツギハギ呪霊を見下ろしたは、その赤い唇に緩やかな弧を描き、サングラスを外した。

「Supercell is coming....」







2013年12月。



"悟がそうしたいなら、いいよ―――"

五条の耳に思いがけない言葉が飛び込んできて一瞬だけ固まった。
普段からキスをするのは、いつも五条からで。
解放的な性格のクセに、はそういうところが五条も驚くくらいにシャイだった。
そのから珍しくキスをしてきたというのも、五条にとっては思考が僅かにでも停止するくらいには驚くことだった。

と付き合いだした頃から、五条の中に"二人でゆっくり過ごせる場所が欲しい"という漠然とした気持ちが生まれた。
それはから「私たちの事はまだ皆に内緒にしたい」と言われたのが大きな理由かもしれない。
高専という狭い箱の中は隠しごとが殆ど出来ない環境だと思う。恋人同士なら尚更。
何だかんだ校舎には補助監督や教師、フリーで呪術師をやっている者達、そして生徒達が出入りしている。
その中で恋人同士が二人きりになれる場所と言えば、寮の狭い部屋の中だけだ。
だがそれも完全にプライベートを隠せるかと言えばそうでもない。
実際誰でも出入り自由なのだから部屋で密会していたところで突然来る訪問者まで制限できるはずもなく。

先日も五条の部屋でと寛いでいた時、突然ドアを叩く者がいた。
二人の交際は秘密なのだから、その不意打ちには慌てだし、ベッドの下に隠れるかバスルームに隠れるかで五条とモメた。
結局、部屋に来たのは夜蛾学長の息子(仮)のパンダで、寮に帰ってるはずのが部屋にいなかった事で尋ねて来たらしい。
五条は「ここには来てない」と誤魔化して何とか帰したが、怪しまれた感は否めない。
せっかく二人でのんびり過ごしてるのに、いつ誰が来るか分からないという状況は五条にとっても落ち着かない事極まりなく。
そこで寮とは別に二人きりで過ごせる場所を作ればいいという考えに至った。

次の日から早速任務の合間に物件探しを始め、どうせなら任務で行く事の多い都内のマンションがいいと思いつき。
賃貸は後々何かと面倒なので、ならいっそ買ってしまおうという結論に達した。
ちょうどいい立地に最高の物件を見つけて、家具やら大きな物は五条が一人で選んで決めた。
短い期間でどうにか住めるように整えて、本当ならクリスマス辺りにを招待しようと思っていたのだが、もともとせっかちな五条は早くと二人の部屋で過ごしたくて、そのサプライズを今日にしてしまった。
最初は驚きの方が強かっただったが、五条がどうしてこんなマンションを購入したのか理由が分かると、凄く喜んでくれた。
それだけでも満足だったのに、今度はからまさかのサプライズ発言が飛び出てくるとは思わない。
さすがの五条もしばし呆気に取られた。

「…えっと…悟…?」

ゆっくりと唇を離したは、何も言わない五条に痺れを切らして恥ずかしそうに肩へ手を置いた。
女の自分からOKを出すのはとても勇気がいったのに、予想とは違う五条の反応に少々むくれ気味だ。

「…悟?」
「え?」

何も応えない五条に困り果て、は蒼い双眸の前で何度か手を振り、ついでに頬を指でつつく。
そこでやっと我に返った五条は、スネたように唇を尖らせている恋人をその視界に捉えた。

「もう…何で返事してくれないの…?」
「あ、ごめん…ちょっと…いや…かなり驚いて」
「驚きすぎ…」

頬を赤くしたは僅かに目を細めると、ソファのシートに背中を預け深い溜息をつく。
せっかくいいムードになったというのに、これでは盛り上がった気持ちも萎んでしまう。
なのに五条は未だ放心したような顔でに視線を向けた。

「えっと…今、なんて?」
「…もう言わない」
「え、どうして」
「だって…勇気出して言ったのに悟ってば何の反応もしてくれないし…」
「いや、それくらい僕には衝撃的な言葉だったから」
「…っ聞こえてるんじゃない」
「いや僕の欲求不満による幻聴かな?と思って」

五条のとぼけた返しに、は思わず吹き出してしまった。
予定外の反応ではあったが、それだけ意外に思って驚いてくれるのは、五条がの気持ちを理解してくれていたからだ。
そう思うとやっぱり嬉しくなった。

「じゃあ幻聴って事にしとく」
「…えっ」
「そ、そんな驚かなくても…」

苦笑しながら五条を見上げると、すぐにキスが降って来た。

「ん…ちょ、悟…」

唇、頬、鼻先、瞼、額、そしてまた唇、と次々にちゅっと音を立てながら口づけて行く五条に、は恥ずかしそうに抗議した。

「んー今はキスだけでいいから好きなだけさせてよ」

額をくっつけながら甘えるような声を出す五条は、の返事を聞く前に再び唇を塞ぐ。
ふんわりと触れながら角度を変えて優しく啄むキスにの胸が音を立てる。
いつもの奪うような激しいキスでなく、想いを乗せるような愛情溢れる口付けに、自然と体の力が抜けていく気がした。
ゆっくりと離れていく唇に寂しいと思うくらい、今のキスに酔わされたは、ふと自分が先ほどアルコールを口にした事を思い出した。

「ご…ごめん…私、お酒臭いでしょ…」

唇を離してもなお、五条の優しい眼差しに見つめられ、は照れ臭そうに目を伏せる。
思いもよらない場所に連れてこられた驚きで、すっかりお酒を飲んでいた事を忘れていたのだ。
普段五条と会う時はアルコールを一切口にしなかったが、今日は女子会だと思って早いうちから焼酎を何杯か飲んでしまっている。
そんな状態でキスをしたら下戸の五条にしてみれば匂いが気になるのでは、と心配になった。
だがの予想と反して五条はその綺麗な碧い眼を僅かに瞬かせてから、小さく吹き出している。

「な、何で笑うの…?」
「だって今更なこと言うから」
「そ、れは…そうだけど…忘れてたんだもん…」

モゴモゴと口の中で呟けば、五条は更に笑いを噛み殺し、の唇へちゅっとキスをする。

「ちょ、悟…」
「別に気にならないよ。なら何でも甘く感じる」
「……っ」
「あーでもが気になるなら…」

五条は不意に立ち上がってキッチンへと歩いて行く。
何をするのかと目で追えば、五条はメタリックで大きな冷蔵庫のフレンチドアを開けて何かの箱を取り出した。
それを手にの所へ戻って来ると「、口開けて」とにっこり微笑んだ。
よく分からないが言われた通り口を開けると、中へ何かを放り込まれる。

「ん…甘…チョコ?」
「そ。家具入れ作業の時とか立ち会ってたんだけど、その時につまんでた僕のオヤツ♡」

そう言って五条は手にしていた箱をへ見せた。

「あ…これジャンポールのチョコ」
「前にバレンタインでもくれたよね」
「だって悟、あそこのチョコ好きでしょ?」
「他のショコラティエが作るチョコとは少し違う美味さがあるしね」

五条はそう言いながら箱をテーブルに置くと、再びの口元へ自身の唇を寄せる。

「な、何…」
「これでお酒臭くないでしょ」
「え?あ…だからチョコ?」
「まあアルコールの匂いがあっても焼酎ボンボン食べたと思えば」
「何よ、それ」

クスクス笑うに、五条は「あれ、今は焼酎ボンボンあるの知らない?」とスマホで検索しながら出て来た画像を見せる。
木箱に入った高級そうなチョコに、は笑顔で「美味しそう!」と喰いついた。

「酒とチョコ好きなにピッタリだな。今度買っておくよ。という事で―――」

と五条はスマホをテーブルに滑らせると、再びを抱き寄せた。

「そろそろキスタイムね」

と、言いながら五条はすぐにの顎を指で持ち上げ唇を寄せる。
だがは慌てたように五条から少しだけ距離を取った。

「え、こ、ここで…?」
「ん?ここって…はどこでキスしたいの?」
「そ…そういうんじゃなくて…だ、だから…」

途中から有耶無耶になってはいたが、さっきはやっと五条に抱かれる決心をつけたのだ。
このままキスをしていれば否が応でもそんなムードになるんじゃないかと思った。
となればソファの上というのは抵抗がある。
そういう意味で言ったのだが、五条はキョトンとした顔でを見ている。
が、不意に何かに気づいたように笑みを零した。

「ああ…もしかしてってばここで襲われるとか思ってる?」
「え…?」
「大丈夫だよ。言ったろ?キスしたいだけ♡」

五条は笑いながらの頬にも口付けた。

「…キ、キス…?」
「まあ…真面目な話、さっきは嬉しかったけどね」
「…悟」

せっかく覚悟を決めたのに、と思っていると、五条は優しく微笑み、の額に自分の額をくっつけた。

「だっては僕とエッチしてもいいって思ってくれたんでしょ?」

五条の問いにドキっとしたが小さく頷く。
あれほど抱かれるのが怖かったはずなのに、その決心すら鈍るほど今は五条に惹かれている。
そういった自分の想いをもハッキリ言って持て余しているのだ。
が頷くのを見て、五条は嬉しそうな笑みを浮かべると、その体を強く抱きしめた。

「僕もともっと深く繋がりたいって思ってるのは同じ。でも最近さー僕もちょっと怖くなって来たんだよね」
「怖い…?」
「うん…ま、と同じ理由なんだけど」
「同じって…」
を抱いたら…今よりも更に好きになって手放せなくなって苦しくなりそうっていうか、さ」
「悟……」

五条の心の内を聞いて、の胸が何かに貫かれたような痛みが走る。
どれほど想いあっていても永遠には一緒にいられない。
だからこそ今まで一線を引いて恋をしてきた。
そして今までと違うのはにとって五条は初めて本気になれた相手だ。
その五条と肉体でも結ばれた時、この恋慕はどこまで強くなってしまうんだろうという恐怖がこれまでの比ではないくらい強くなった。
だから体の関係はなし、と決めてしまったのだが、まさか五条も同じように感じていたとは思わなかった。

(そっか…だから最近は前ほど強引なスキンシップをしてこなくなったんだ…)

そこに気づいた時、は余計に五条と結ばれたいと思ってしまった。
恐怖はまだある。
だけど愛しいという強い想いが溢れてきて、もう触れ合うだけじゃ心の隙間を埋められない。

「ん……?」

五条の頬を両手で包み、さっきと同じようにから口付ける。
驚いた五条は僅かに唇を離すと、その蒼い双眸を徐に細めた。

、僕の言ったこと聞いてた…?」
「…だって…嬉しかったから」
「はあ…そんな目で見られると、せっかくの我慢が台無しになる」

泣きそうな潤んだ瞳で、しかも子供のように上目遣いで見られれば、五条もたまらなくなってくる。

「だからもう我慢しなくていいってば…」
「簡単に言うなよ…」
「む…簡単になんて言ってないもん」

まさか五条の方が二の足を踏んでこようとはも思わなかった。
やっと決心をしたのに、という思いがこみ上げ、プイっと顔を反らして不貞腐れる。
そんなを見て、五条は苦笑するしかなかった。

「そんなスネなくたって…」
「スネてるんじゃないの。怒ってるの」
「…怒るって…。何、そんなに僕とエッチしたかったの?」
「……ッ」
「知らなかったなあ~♡」

真っ赤になったを見ながら、五条は意地の悪い笑みを浮かべて腰に回した腕に力を入れる。
そのままソファに押し倒すと、はギョっとしたように五条を見上げた。

「さ、悟…?」
「ん?、したいんでしょ?」
「し、したいとか、そーゆーんじゃなくて…」

唇を近づけて来る五条から顔を反らしながら必死に体を捩る。
だが不意に五条が吹き出して、の頬にちゅっとキスを落とした。

「嘘だよ。今すぐここで抱こうとか思ってない」
「…な…っ」
の気持ち、嬉しかったよ?僕も」
「悟…」
「ただ、さっき僕も怖くなったって言ったけど、もう一つはが僕に気を遣って言ってくれてるのかなって少し心配だったのもある」
「え?」
「まあ…欲求不満だーなんて散々言っちゃってたしね」
「ち、違うよ…私は気なんか―――」
「うん。分かってる。っていうか、さっきからキスしてくれた時に分かった。あーも僕と同じ気持ちなんだなって」

五条はの額にもキスをしながら微笑んだ。
優しい瞳に見つめられ、の顏が薄っすら赤く染まる。

「だから…」
「…だ、だから?」

おずおずと視線を上げたを見下ろしながら、五条は艶のある唇を楽しげに上げると、

「僕の誕生日に、をもらう」
「た…誕生日…?」
「こういうのって何かの記念日がいいかなと。ダメ?」

可愛く首を傾げて訊いて来る五条に、は真っ赤になりながらも首を振った。

「ダメじゃ…ない」

五条は満面の笑みを浮かべて「良かった」との鼻先に軽くキスをする。

「じゃあ来たる12月7日、予定を空けておいて下さい。さん」

わざと畏まった言い方をしながら、五条はもう一度、真っ赤になったの唇へ優しいキスをした。





 


ただただイチャイチャちゅっちゅさせたいだけの回…笑
そして焼酎ボンボン、なかなか美味なんですよ、意外にも笑🍫